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2019年09月05日

コンセプトは“共に創って共に売る”
顔認証を軸に新しい価値と未来を創造したい

 顧客ニーズが多様化・高度化の一途をたどり、価格・スピード面での競争が激しさを増す中、顧客が求めるソリューションのすべてをベンダー1社でカバーすることは難しくなりつつある。こうした中、NECではパートナー企業との共創により顔認証ソリューションの充実を図るべく、「NEC 共創コミュニティ for 顔認証」を提供している。このプログラムに参加することでパートナー企業やその先にある顧客はどのようなメリットが得られるのか。ここではその概要や実例について紹介したい。

顧客ニーズの多様化・高度化に向け「共創」が重要なキーワードに

 進化の著しいデジタル技術を自社の競争力として取り込みたい――。こうした考えからデジタルトランスフォーメーションを推進する動きが加速している。最近ではコスト削減や業務改善といった守りの領域だけではなく、製品やサービスの革新、売上拡大といった攻めの領域にデジタル技術を活用するケースも増えた。

 しかしその一方で必ずしも成功する企業ばかりではない。実証実験を繰り返すばかりで力尽きたり、デジタル技術をどのように活用すれば、自社の付加価値を高めることができるのかがわからないと頭を抱えたりする企業も少なくないはずだ。

 こうした中、企業のデジタル変革をサポートする、ソリューションプロバイダーへの期待は日増しに高まっている。とはいえ、顧客ニーズが多様化・高度化の一途をたどり、価格やスピード面での競争が激しさを増す中、顧客が求めるソリューションのすべてをベンダー1社のリソースでまかなうことは、ますます難しくなっているのが実情だ。

 例えば、映像分析の分野においては、「セキュリティ強化を目的とした監視カメラや録画レコーダーの設置」が、提案の主流だった。だが、こうした機器の普及が進むにつれ、顧客ニーズはセキュリティ対策から「録画したデータの利活用」へとシフトしつつある。小売店に設置した監視カメラの映像を分析して、来店客の属性や行動パターンを割り出せば、有効な販促やプロモーションなどの施策を打つことが可能となるからだ。

 こうした新たなニーズにどう対応するべきか。ここで重要となってくるのが多様なパートナー企業との「共創」だ。

 「ソリューション提供において最も重要なことは、パートナー様と共にお客様が抱える課題をいかに解決し、お客様の価値を高めるかという点にあります。しかし、それを1社のリソースですべてをカバーすることは難しい。例えば、『録画データの利活用』を実現するためには、顔認証システムやネットワークカメラ、監視用のビデオ管理システムを組み合わせた、映像分析のトータルソリューションが必要です。しかしNECでは、顔認証のソフトウェアや基盤となるハードウェアは提供しているものの、ネットワークカメラやビデオ管理システムの自社開発は行っていません。つまり、パートナー企業と連携することに加え、両社連携によるシナジーを生み出し、付加価値や新しいソリューションを創造することが重要と考えています」とNEC プラットフォームソリューション事業部の松川 潤は語る。

NEC
プラットフォームソリューション事業部
映像・新規ソリューションビジネス推進グループ
主任
松川 潤

プログラムのコンセプトは“共に創って共に売る”

 こうした背景から、NECが展開しているのが、「NEC 共創コミュニティ for 顔認証」だ。このプログラムは、ソリューションパートナーが持つ技術や、製品・サービスとNECの顔認証システムを組み合わせ、多様な顧客ニーズに対応したソリューションを共創し、顧客企業向けに展開することを狙ったもの。現在、約200社が入会もしくは入会を検討しているという。

 「“共に創って共に売る”のが、このプログラムのコンセプト。なかでも特徴的なのが、“創って終わり”ではなく、“売るために何をすべきか”まで、当社がパートナーと一緒に考えさせていただく点です。共創ソリューションの販売を担当するのは、ソリューションパートナーだけでなく、NECの販売店様、NEC直販部隊も含まれます。例えば、当社がソリューションパートナー様の製品を仕入れて販売させて頂くケースもありますし、定期的に開催する展示会などにご参加いただき、マーケットを広げるきっかけにしていただくことも可能です」と松川は語る(図)。

図 「NEC 共創コミュニティ for 顔認証」
コンセプト“共に創る、共に売る”。NECの顔認証とソリューションパートナーの製品・サービスを組み合わせることで、潜在化したニーズに対応したオリジナルの顔認証ソリューションを共創していく
画像を拡大する

 プログラムへの入会に当たっては、入会を検討中の企業とNECが事前に協議を行い、共創ソリューションの内容と実現可能性を検討。連携を想定している製品の内容や価格帯、ターゲットとなる業種などについて話し合いながら、共創の可能性を探っていく。

 入会後は、パートナー企業が主体となって共創ソリューションの開発を進め、β版が完成した時点で、NEC主催の展示会への出展や、顧客へのシークレットセールスを開始。必要な機能強化の要件を洗い出し、ソリューションの最終的な完成を目指す。それと並行して、NECでは、販促ツールの整備やパートナー企業向けの営業研修を担当。NECとパートナー企業が、互いのリソースと販路を活用しながら、協力して販売を行っていく。

NECとパートナーが協力して、新たな市場を開拓

 既に「NEC 共創コミュニティ for 顔認証」を活用することで、顧客企業に対し、新しいビジネス価値を提供した事例もある。その一例が神例造船に向けたオービックビジネスコンサルタント(以下OBC)とNECの共創だ。

 神例造船は徳島県に本拠を置く、1872年創業の造船会社。同社では静脈認証により、協力会社の作業員の出退勤管理を行っていたが、冬場は寒さの影響で血管が収縮するため、約25%の割合で読み取りエラーが発生していた。エラーが出ると、作業員は出退勤時刻を紙に記入し、その数字を管理部門が勤怠管理システムに手入力。あまりにエラーが頻発したため、ピーク時には打刻機の前に待ち行列が発生し、管理部門では月約10時間もの余分な事務作業が発生していたという。

 そこで、NECの顔認証システムとOBCの勤怠管理システム「就業奉行」を組み合わせた共創ソリューションを導入。本社工場に、顔認証用のタブレットを置き、打刻機として運用することにした。

 新システムでは、作業員がタブレットの前に立つと、内蔵カメラがデータベースに登録された顔写真と照合して、顔認証を行う。照合の結果、本人であることが確認されれば、その顔認証ログが勤怠管理システムの出退勤時刻に活用される仕組みだ。従来頻発していた認証エラーは、高度な顔認証技術により激減。1人当たり1秒で照合が完了するため、出退勤時の待ち行列も解消し、管理部門での事務作業も大幅に減らすことができた。

 「この事例では、NECの顔認証システムとOBCの勤怠管理システムを組み合わせることにより、出退勤時の本人確認と勤怠打刻を実現。業務効率の向上とセキュリティ強化、作業員のストレス軽減につなげることができました。この共創により、ソリューションパートナーであるOBC様、NECとOBC様の共通の販売パートナー様、NECが本ソリューションを横展開し、“共に創って共に売る”を実践して新たな市場開拓につなげています」(松川)

 もう1つ新しいソリューションの創造で、ビジネス価値を拡大させた事例がある。それが、穴吹工務店、フルタイムシステム、NECの3社の共創事例だ。

 穴吹工務店は、香川県に本拠を置く創業1961年の不動産デベロッパー。全国でマンションの分譲を行っているが、近年、入居者から「鍵の紛失や置き忘れ」に対する相談が増加。鍵を持ち歩かなくともスムーズに入館できるようにするため、顔認証の導入を検討することになった。

 同社は、以前から住宅向けセキュリティシステムなどの共同開発に取り組んできた、宅配ボックス最大手のフルタイムシステムに相談。フルタイムシステムはNECにコンタクトをとり、「NEC 共創コミュニティ for 顔認証」に参加した。

 そこから生まれたのが、NECの顔認証技術を使って、マンション共用部分のオートロック解除やエレベーターの呼び出し、宅配ボックスの中の荷物の取り出しを行う、日本初の「顔認証マンションセキュリティシステム『F-ace』」である。このシステムを導入したことで、エントランスや宅配ボックスのロックを解除する際の本人確認がスムーズになり、マンションの安全性と利便性を大いに高めることとなった。

 「今回、マンション共用部分のオートロック解除と宅配ボックスのハンズフリー化をまとめてご提案いただいたことは新たな市場の開拓にもつながり、また、業界初の取り組みとして市場をリードされております。フルタイムシステム様では、この仕組みをほかのマンションにも横展開し、さらなるビジネス拡大に取り組まれています」(松川)

コラボレーションで想定外のソリューションを生み出す

 これらの事例にみるように、顧客・ソリューションパートナー・NECの3社連携が、当初の想定を超えたソリューションを生み出す例は少なくない。それを可能にする要因の1つに、NECの充実した支援体制がある。

 「プラットフォームソリューション事業部は、もともとパソコンやPCサーバーなど、汎用的なIT製品・ネットワーク製品の販売支援を担当してきた部署。現在、500社以上の販売店様と協力しながら、ビジネスを広げてきた歴史があります。例えば、販売店様のSE向けには技術認定制度を設けて、サーバーの基本操作やメンテナンスを修得していただくための支援をしておりますし、営業向けには販売講習会や売り方のアドバイスを行い、セールスツールも多数ご用意しております。こうした長年培った支援メニューづくりの経験と、顔認証システムの実績ノウハウをこの支援制度に活かし、パートナー様との連携を一層深めていきたいと考えています」(松川)

 NECでは、ソリューションパートナーを対象とした技術講習会や展示会、セミナーなどを定期的に開催している。こうした機会は、他社の知見を得るだけでなく、ほかのソリューションパートナーと関係を深める貴重な出会いの場でもある。「NEC 共創コミュニティ for Partner」を通じてパートナー同士が結びつき、想定外の価値あるソリューションが生まれることも珍しくない。

 このプログラムがスタートしてからの2年間で、既に38件の共創ソリューションが誕生。セキュリティゲートや窓口受付、スマートロック、ロボットからイベント管理に至るまで、顔認証ソリューションの品揃えは着実に拡大しつつある。

 「今後もこの顔認証技術を活用して社会課題を解決するために、既存ソリューションの付加価値の向上に加えて、新規性の高いソリューションを創出していきたいと考えています。そのために、NECが蓄積してきた顧客課題やユースケースなどのナレッジやアセットも活用し、共創ビジネスをより発展させていきます。例えば、顔認証だけでなく、AIやIoTなどパートナー企業向けプログラムを強化していく予定です。これにより、パートナー企業は必要に応じて、必要なアセットを自由に選択したり組み合わせたりすることが可能になりますので、より多くの技術を組み合わせたソリューションの創造が可能になります。デジタル技術によって新たな付加価値を生み出したいとお考えの企業様は、ぜひご活用いただければと考えています」と松川は最後に語った。

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