ここから本文です。

若きリーダーが熱く語る
ICTを活用した「市民に時間を返す」行政改革とは?

2017年9月26日

 千葉市がICT活用の積極的な推進で、自治体運営に大きな変革を巻き起こしている。マイナンバーカードへのワンカード化による利便性の高い市民サービス、ビッグデータ・オープンデータの利活用、クラウドによる柔軟な情報システム基盤の整備など、先進的な取り組みを急ピッチで進める若きリーダーが、民間出身の市長・熊谷俊人氏だ。熊谷市長が推進する行政改革の狙いと現時点での成果、将来像について話を聞いた。

"市民の皆さんに時間を返す"ための積極的なICT活用

 行政と市民が協働するまちづくりを目指す千葉市。同市は、全国の政令指定都市の中でも積極的なICT活用を推進していることで注目されている。例えば2013年には、行政が持つ膨大なデータを民間に提供し、新産業創出や経済活性化につなげる「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会」を4市共同で設立(平成27年4月に「オープンガバメント推進協議会」に改称。現在12の県と市が参画)したことはその1つだ。また、2014年には行政サービスの基盤に低コストで柔軟性の高いクラウドを導入。2016年にはモノやサービスが必要な人と提供者をICTでつなげる「シェアリングエコノミー」の推進を5市共同で発表している。

 そして2017年には、マイナンバーカードを使った利便性向上施策の一環として、コンビニでの証明書交付サービスや図書館利用サービスの「ワンカード化」もスタートさせた。

 これらの施策を次々と実現させた気鋭のリーダーが、ICT企業の社員から市議を経て市政トップに転身した熊谷俊人氏だ。現在市長として3期目を迎えている。2009年に市長初当選を果たした当時、熊谷氏は31歳。全国最年少の市長として話題になったが、2017年現在も政令指定都市では現職最年少の39歳という若さだ。自らの選挙ではネット上でカンパ資金を逐一開示したり、市民と日々Twitterで対話しながら新たな施策を検討するなど、自らも積極的にICTの活用を行ってきた。

千葉市長 熊谷 俊人氏

 なぜ市政にICTを積極的に活用するのか。それについて熊谷氏は次のように説明する。

 「これらの施策はすべて"市民に時間を返す"行政改革の一環です。例えば、市民生活に必要な手続きをマイナンバーカードにワンカード化し、本人確認とセキュリティを担保しながら、様々な手続きを簡素化できれば、何度も窓口に足を運ぶ時間や手続きにかかる時間を市民の皆さまにお返しできます」。

 千葉市における様々な行政サービスのデジタル化は、単純なコストカットを目指したものではない。自治体特有の情報のブラックボックス化を解消し、市民の利便性を高め、対応する職員の生産性を向上させることで、新たな市民サービスにリソース(財源・人員)を再配分していくことに主眼が置かれているのだ。そしてそれは「行政にかかるコストや効率を考える市民参加型の行政運営には不可欠」だと熊谷氏は語る。

ガバメント2.0による市民協働のまちづくり施策

 そうした市民参加型の取り組みとして、2014年から本格稼働したのが「ちば市民協働レポート(ちばレポ)」だ。これは市民が道路や公園、ごみなど、地域の不具合を見つけたらスマートフォンで撮影して通報し、市が迅速に問題解決を図るという、ガバメント2.0の実践ともいえる市民協働のまちづくり施策である。

 通報は24時間受け付けており、市民の投稿もネット上に可視化し、自身が投稿した課題は修繕の進捗状況も確認できる。そのため、とかく対応が遅れがちな行政の動きをガラス張りにする効果がある。市でも地域の不具合をシステム上で迅速かつ一元的に把握でき、修繕管理システムとして活用できるメリットがある。また、市民と職員がコミュニティの問題にプロアクティブにかかわることで、ともに住みやすく安全なまちづくりを考え、主体的に行動する意識改革にもつながる仕組みだ。

 「人口の多い政令指定都市は、どうしても行政と市民との距離が遠くなりがちです。その距離を近づける手段の1つがICTです。Twitterによるコミュニケーションもそうですが、より積極的にまちづくりに参加するという観点でも『ちばレポ』は有効な手段となっています。地域の課題をオープンにしながら、自分の要望が現在どのようなスケジュール感で反映・改善されているのかも実感できるからです。今後は課題解決の手段としてだけでなく、まちの美しいスポットをレポートし、ランキングするなど、市民の情報共有インフラとしても活用していきます」と熊谷氏は語る。

関連キーワードで検索

さらに読む

本文ここまで。
ページトップ