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NEC Visionary Week

未来をつくる共創の場。「対話」を生むイベントへの挑戦

 20年にわたって続いてきたNECの大規模カンファレンス「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO」が、今年から「NEC Visionary Wee」とタイトルを一新し、生まれ変わる。コロナ禍を受けて今年の同イベントはオンラインへ完全移行。国内外のゲストをつないで多種多様なコンテンツを企画しながら、「対話」のための空間をつくるという。社会が揺れ動いていくなかでいま企業のイベントはどう変わり、何を目的に実施するのか。実施概要と共に、NEC Visionary Weekに込めた想いをNEC 執行役員兼CMOの榎本 亮が語った。

現在ではなく、未来を見る

 2020年。COVID-19の世界的な感染拡大によって人々の移動は制限され、ひとつの場所にたくさんの人々が集まることも難しい世界へと一変した一年となった。これまで、企業が開く大規模なイベントも多様な人々が直接会うことで生まれる価値を重視していたが、オンラインへの移行によりその意義を見直さねばならない局面に陥っている。

 NECが20年にわたって続けてきたイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO」(以下、iEXPO)も例外ではない。iEXPOは毎年約3万人が参加し国内外からさまざまなゲストが登壇する大規模なイベントだったが、コロナ禍を受け、今年からは「NEC Visionary Week」と新たな名のもとで、iEXPOと大きく異なる方向へ進化していくのだという。

NEC 執行役員兼CMO 榎本 亮

 「コロナ禍で誰もが苦しんでいるなかでは、これまでのようにただNECのケイパビリティを訴求するだけでは意味がありません。これからはお客さまの夢や前に進もうとする気持ちを徹底的に応援していきたい。NECが行うイベントも“いますごいことを披露する場”ではなくて、“魅力的な取り組みが始まっていく場”として生まれ変わる必要があると思っています」

 CMOの榎本はそう語る。不安定で先行きが見えない時代にあって、それでもなお未来を思い描くこと。未来へのビジョンをつくるための期間として「NEC Visionary Week」は設計されていくのだという。振り返ってみればiEXPOとは情報社会へのシフトを牽引するために始動したイベントだったが、開始から20年が経ち、世界は当たり前に情報化されていった。その変化に伴いNECも自身の役割は「社会価値創造」にあると再定義し、社会と新たな関係を結ぼうとしている。そんな時代にあって、iEXPOからNEC Visionary Weekへの進化は不可避のものだったと捉えることもできる。

「創ろう明日を、描こう未来を」

 榎本が「コロナ禍によってDX(デジタルトランスフォーメーション)が促進された側面もある」と語るとおり、現在の社会の状況を踏まえてNEC Visionary Weekはすべてオンライン上で開催されることが決定している。デジタル化したことで時間・空間の制約から解き放たれ、10日間の会期中に行われるセッションは80を超えている。40以上のオンライン展示、参加者数は数万人以上を見込んでおり、その規模は極めて大きい。「創ろう明日を、描こう未来を」というメインテーマに沿って企画された講演もじつに多種多様だ。

 デジタル改革担当大臣・情報通信技術(IT)政策担当大臣・内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度) 平井 卓也 氏が登壇するセッションでは、COVID-19で加速した人の生活を良くするための日本のDXについて講演する。

平井 卓也 氏
デジタル改革担当大臣
情報通信技術(IT)政策担当大臣
内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度)
ジェレミー・リフキン 氏
『限界費用ゼロ社会』著者
米国出身の未来学者、経済理論家

 2017年度から国内外の有識者と行っている「NEC未来創造会議」には『限界費用ゼロ社会』で知られるジェレミー・リフキン 氏が登壇。New Normalを支えるコミュニケーションを説くZoomビデオコミュニケーションズインク 創設者 兼 CEO エリック S. ユアン氏のセッションもあるほか、国際社会の課題解決やSDGsに目を向けたセッションとして、「国際連合世界食糧計画(WFP)」、「国際連合工業開発機(UNIDO)」、ワクチンプログラムを推進している「Gaviアライアンス」、ビル&メリンダ・ゲイツ財団等が集まり多拠点をつなぐパネルディスカッションも行われる。

 「NEC Visionary Weekでは、お客さまやパートナーのみなさまが主体となっていけるよう、今年は社会の視点からカテゴリーを設けています。『創ろう明日を、描こう未来を』と呼びかけるようなコピーなのも、いろいろな人と未来をつくりたいからです。NECだけでできることは限られていますし、これからは利害関係ではなく共創関係をつくっていきたいと思っています」

 こうした姿勢を反映し、日ごとに「ひと」「まち」「産業」「テクノロジー」とテーマを振り分けて80以上のセッションが実施される。NECが実際に共創を進めているパートナー企業を招いて行われるセッションはモビリティ、観光、オフィス、金融、医療、行政などテーマ領域もさまざまだ。榎本の言葉のとおり、どのセッションも単に先端的な技術を訴求するものではなく、わたしたちがどんな未来に向かって進むべきなのか議論する場として設計されている。

演出は敢えてシンプルに。誰もが参加でき対話を生むためのイベント

 空間の制約を受けないオンラインだからこそ可能ともいえる多数のコンテンツを企画している一方で、榎本は「重要なのはコンテンツの量ではない」と語る。「一番のポイントは、“対話”の価値を最大限に高めていくことだと考えています。もちろんセッションや展示による情報発信も重要ですが、その発信を起点として多様な方々との対話を起こしていかなければ意味がないのです」

 こうした榎本の姿勢は、NEC Visionary Week全体の演出とも不可分につながっている。オンラインだからといって3D空間のクリエイティブに拘るのではなく、テーマ設定と対話の設計にこそ注力しているのだという。コロナ禍においては産業を問わず多くのイベントがオフラインからオンラインへと移行し差異化を図るべく趣向を凝らした演出に取りくんでいるが、榎本はこうした潮流に疑問を呈する。

 「わたしたちも当初はお客さまを感動させるリッチな3D空間をつくらねばと思っていたのですが、単に空間の演出を行なうだけではすぐに飽きられてしまうことに気づきました。そのためセッションの演出もなるべくシンプルかつベーシックなものに統一し、お客様や未来のパートナーと会話すること、知りたいことを知れることを実現できる環境をつくろうとしています。オンラインならチャットを通じて質問を投げかけやすく、セッションを聴いている方々も議論に参加しやすいですよね。デジタルテクノロジーは、双方向的な議論を生むためにこそ使われていくべきです」

 オンラインゲームの空間を使ったライブ演出などたしかにエンターテインメントの領域においては趣向を凝らした演出が鑑賞者の体験価値を高めるが、NEC Visionary Weekはあくまでも未来のビジョンを描いていくことを主たる目的としている。ならばリッチな演出など必ずしも必要はないというわけだ。

 しばしば見落とされがちだが、情報量の多い演出を行なえば行なうほど、参加者の環境への負荷も高まっていく。加えて今回はさまざまな企業の社内環境からアクセスされるため、通常のコンシューマー向けコンテンツよりもセキュリティ対策は複雑だ。安全・安心・公平・効率の実現を掲げてインクルージョン&ダイバーシティの豊かな社会を考えるNECにとっては、誰もが快適にアクセスできるような環境をつくることが重要だろう。NEC Visionary Weekは、現在加速しているオンライン化の流れに乗りつつも、オンライン化そのものの意義を問い直すものでもある。

100年先からのバックキャスト。NEC Visionary Weekは“スタート”の場

 「Visionaryという言葉をつかっているとおり、わたしたちはこのイベントを通じて、100年以上続くサステナブルな社会のあり方を考えていきたいと思っています。現在わたしたちが直面しているさまざまな課題を解決するためには、100年先からバックキャストして社会のあり方を考えていく必要があるはずです。このイベントを“ゴール”とするのではなく、未来をつくっていくための“スタート”の場にしたいのです」

 そう榎本が語るとおり、NEC Visionary Weekはコロナ禍の要請を受けて生まれたものであるものの、決して今年だけで終わるようなものではない。これから社会はさまざまな方向へと進みうるが、ビジョンを描いて一過性のイベントとして終わるだけではなく、描いたビジョンに責任をもって取りくんでいくことが重要なのだと榎本は続ける。

 「NEC Visionary Weekはただのイベントではなくて、あくまでもわたしたちとお客さまのコミュニケーションの一部であり、ここからさらに議論をつづけていかねばと。その結果お客さまが夢を実現できたときに初めて、NEC Visionary Weekは、本当に先を見通した(=Visionary)時間であり、あの場からすべてが始まったのだと思ってもらえるものになるはずです」

 iEXPOが始まった20年前から、世界は大きく変わった。情報環境や企業のあり方が変わっているのはもちろんのこと、人々や企業が思い描く未来も幸せも多種多様なものになっている。そんな時代にあっては、企業の行なうイベントのあり方も見直されねばならない。ビジネスや研究の成果を発表するだけではなく、多様な人々とともに活発な議論を生んでいく場――新たな共創を生むきっかけの場をつくることが、これからの企業の役割となるのだろう。「創ろう明日を、描こう未来を」。NEC Visionary Weekの呼びかけは、デジタル空間を通じて世界中に広がろうとしている。ここから生まれる「対話」こそが、次なる社会の礎となっていくはずだ。

NEC Visionary Week 開催概要

タイトル: NEC Visionary Week
形  態: 登録制によるオンラインイベント
開催日時: オープニングセッション 11月12日(木)、11月13日(金)
テーマセッション 11月24日(火)~11月27日(金)
12月 1日(火)~12月 4日(金)
主  催: NEC
同時開催: NUA主催「NEC ユーザーフォーラム」
※事例論文、研究会のコンテンツは、上記日程内で実施予定

【オープニングセッション】

11月12日(木)、11月13日(金)

【テーマセッション】

11月24日(火)~11月27日(金)、12月1日(火)~12月4日(金)

~テーマセッションのDay毎のテーマ~

  • 11/24(火)、12/1(火)
    「ひと」 一人ひとりのわくわくする毎日を創る
  • 11/25(水)、12/2(水)
    「まち」 誰もが住みたくなる街を創る
  • 11/26(木)、12/3(木)
    「産業」 これからの産業のかたちを創る
  • 11/27(金)、12/4(金)
    「テクノロジー」 できたらすごいを創るテクノロジー

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