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「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」レポート

「共創」とは?三井住友銀行とNECのFinTechサービス事例に学ぶ

2016年12月09日

「FinTech」において、革新的なサービスを開発するには異業種との「共創」が重要とNECは考えています。三井住友銀行とNECがともに開発した新しいコンビニ収納サービスは、まさにそれを具現化したサービスです。C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016のセミナーと展示のレポートを通じて、サービスの内容や可能性を紹介します。

「紙」がベースのコンビニ収納サービスが抱える潜在的な課題

三井住友銀行とNECがともに開発した新しいコンビニ収納サービスを取り上げる講演では、三井住友銀行の池澤 正光氏、ブリースコーポレーションの佐藤 洋史氏、NECの岩田 太地が、サービスの内容と可能性について語りました。ブリースコーポレーションは、新サービスの開発・提供元で、三井住友銀行は国内屈指の顧客基盤と金融ノウハウを、NECはICT技術力をブリースコーポレーションへ提供し、同社の事業を支えます。

金融とICTの融合を図る「FinTech」は金融機関の事業変革を促し、ビジネスチャンスが大きく広がる可能性を秘めています。技術力やビジネスモデルの構築を武器に、異業種の参入も促進され、新市場の創出や金融市場の活性化も期待されています。

そのような中、三井住友銀行とNECは共同出資してブリースコーポレーションを設立。約1年半にわたるサービス開発および事業化検証を経て、2017年2月以降、スマートフォンによる新たなコンビニ収納サービスを開始します。

左から
株式会社三井住友銀行
池澤 正光 氏

株式会社ブリースコーポレーション
代表取締役社長
佐藤 洋史 氏

NEC FinTech事業開発室 室長
岩田 太地

現在、通信販売の代金や公共料金などの支払いにおいて、クレジットカード決済を利用することも可能ですが、紙に印刷された払込票をコンビニのレジに持ち込み、現金で支払うコンビニ収納サービスを積極的に選択する人も少なくありません。

背景にはクレジットカードのオンライン利用に不安を覚える人が相当数いることが挙げられます。内閣府の調査によると「できればクレジットカードを使いたくない」と考える人は約6割にのぼると言われています。

「実はコンビニ収納サービスの市場は、毎年およそ3~4%ずつ伸長しています。2015年度の取扱金額は年間約10兆円、取扱件数は年間約10億件の規模まで拡大しています」とブリースコーポレーションの佐藤 洋史氏は述べます。

一方、コンビニ収納サービスは、潜在的な課題も抱えています。

「払込票そのものを紛失してしまうと支払いができません。また、紛失した場合の個人情報の漏洩も大きな懸念材料です」と佐藤氏は指摘します。

事業者側の負荷も問題です。請求件数分の紙の払込票を発行・郵送するには、当然、手間とコストがかかります。収納管理を行い、期日までに支払いがないものについては督促や払込票の再発行も行わなければなりません。

コンビニ側も払込票へ押印し、領収書を手渡しするというオペレーションがあるだけでなく、控えを本部に送付して管理しなければならないなど、大きな手間をかけています。「混雑時はお客様を待たせてしまい、レジ回転率が低下してしまいます。処理した払込票控えの管理・照合など、事務作業の手間もかかります」とNECの岩田は話します。

スマホでバーコードを提示しペーパーレスで支払いが可能

今回ご紹介する新たなコンビニ収納サービスは、こうした課題を解消します。

具体的に、新コンビニ収納サービスは、専用アプリをインストールしたスマートフォンに対して、請求情報が記録されたバーコードを配信。このバーコードをコンビニのレジのスキャナーで読み込み、現金で支払うといった仕組みです。

「利用者は、スマートフォンと現金さえあれば、いつでも支払いができます。紙の払込票を持ち歩く必要がなく、紛失の心配もありません。事業者は、紙の払込票を印刷して郵送する手間とコストを抑制でき、コンビニ側も払込票の処理や管理の負担を軽減できます」と佐藤氏はメリットを述べます。

しかもコンビニ側で特別な機材を用意する必要も、レジのスキャナーで読み込むというオペレーションを変えることもない。コンビニ店舗への導入のハードルが極めて低いことも大きなメリットです。

新コンビニ収納サービスの概要
新しいサービスでは、電子バーコードの発行、読み取りによって請求、支払い

電子バーコードは、何件あってもアプリ上で一括管理が可能。支払い期限が近付いたものを通知する機能もあります。「スマートフォンの利用がここまで広がった今、あって然るべきサービスだと自負しています」と三井住友銀行の池澤 正光氏は語ります。

お互いの強みを持ち寄り、自前主義では実現できないイノベーションを創出

先に述べた通り、新サービスは三井住友銀行とNECの「共創」によって実現したもの。メガバンクの1つである三井住友銀行の金融ノウハウ、大手ICTベンダーであるNECの技術力による相乗効果が大きな推進力になりました。

「新たなFinTechサービスを展開するには、金融業界の知見だけでなく、アイデアを形にする実現力やスピードが重要。異業種との連携で互いの強みを持ち寄り、役割を全うすることで、単なるアンバンドルされた業務の継ぎはぎといった、『0.5+0.5=1.0』といったものではなく、『1+1=3』になるような化学反応が期待できます。今回の新サービスはそれを具現化した好例と言えるでしょう」と池澤氏は述べます。

新サービスのキモである電子バーコードの実現はその象徴です。現在のコンビニバーコードは44桁と情報量が多く、スマートフォンでバーコードを表示させても、画面の反射などにより正しく読み取ることが難しかったのです。

そこで、さまざまな検証を実施。「50種類以上のスマートフォン、7種類のPOS端末を使って、1000パターン以上のテストを繰り返しました。これにより、既存のスキャナーで、スマートフォンに表示された電子バーコードを正しく読み取れる技術による新サービスへの展開が可能となったのです」と池澤氏は強調します。

変革の理念やビジョンを共有できたことも成功の大きな要因の1つです。合意形成を図り、互いが1つのゴールを目指すことで、やるべきことが明確になりました。「責任感も高まり、緊張感をもってプロジェクトを進めていくことができます。新しいことにスピード感をもってチャレンジするには共創が不可欠であるとの思いを強くしました」と佐藤氏は振り返ります。

新サービスは通販やECサイト事業者、公共料金の収納業務を担う自治体や事業者などの需要を見込んでいます。また大手コンビニチェーンに働きかけ、全国のコンビニでのサービス対応を推進していきます。

「さらに、政府系機関等が提供するサービスとの連携も視野に入れ、関係各所へ働きかけていきたい」と佐藤氏は、講演の最後にサービスの展望を述べました。

体験コーナーで、新しいFinTechサービスにトライ

C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016では、展示会場の一角に、この新コンビニ収納サービスの体験コーナーを設置しました。

まず、ECサイトの「支払方法の選択」において、クレジットカード、代金引換、コンビニ振込表ではなく、「breesでお支払い」を選択すると、デモ用のスマートフォンに電子バーコードが配信されます。バーコードを受け取ると、その旨が通知され、アプリを開くと、払込が必要なバーコードや、その件数、支払い期日などが確認できるようになっており、支払いを予定しているバーコードをスマートフォンに表示し、それを店員役のスタッフがスキャナーで読み取ると、アプリ画面の未納件数が減り、受領証が発行されます。

新たなコンビニ収納サービスの利用イメージ
利用者はレジで電子バーコードを表示したスマートフォンを提示するだけ。店舗では既存のスキャナーで電子バーコードの読み取りが可能です

生活に身近なコンビニ収納を変革する新サービスを体験しようと、多くの来場者が列を作りました。「確かに、利用者の支払い管理も楽になるし、事業者側の手間やコストも削減できそう。ただ、紙を電子バーコードにするだけで、これほど大きな変化があるとは、驚きました」という来場者もいました。

FinTechの流れは今後もますます拡大していきます。その中で新たな価値創出を図るには、業種・業界の垣根を超えたチャレンジが不可欠です。今後もNECは、新コンビニ収納サービスのようなオープンイノベーションによる共創を加速し、さらなるFinTechサービスの創出を推進していきます。

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