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2017年05月23日

第6回IoT/M2M展 特別講演

共創が導くIoTの未来
~NECが考えるデジタルトランスフォーメーション~

世界最先端のAI技術を用いて「見える化」を推進

 次にNECの価値提供について説明します。実世界にデジタルを活用して価値に変えていくためには、社会の現状を「見える化」し、デジタルの世界に取り込まなければなりません。NECでは「見える化」を含む最先端のAI技術群を「NEC the WISE」と名付けています。NEC the WISEは、顔認証、群衆行動解析、物体指紋、光学振動解析など、個別技術の集合体であり、お客様の課題に合わせ、それぞれの技術を組み合わせて価値を提供する点が特徴です。もちろん、その根底にNECの基礎技術があることは言うまでもありません。

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 今回は「見える化」技術の中から「顔認証技術」を紹介します。NECの顔認証技術は世界的にも評価が高く、2017年3月にはアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が実施している顔認証の性能を測るベンチマークテストで4回連続の1位を獲得しました。今回の受賞は、これまでの3回で行われた静止画での性能評価と大きく異なり、動画環境での性能を評価されたものです。

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 顔認証には、対象となる人の協力を得て正面から認証を行う「積極認証」と、対象者本人が意識することなく認証される「非積極認証」の2種類があり、動画は後者にあたります。非積極認証では、対象の顔が横を向いていたり影になっていたりする場合もあれば、顔を伏せたり隠したりしている場合もあります。そのため、照合処理の難しさが格段に上がりますが、NECでは実運用に向けた技術の確立を目指して研究を進めた結果、今回の動画での顔認証においても1位を獲得することができました。将来的にはこれまでにも活用されてきた保安のような分野に加え、エンターテイメントやマーケティングなど、これまで以上に広い分野で活用されることが期待されています。

 「見える化」技術を活用したその他の事例として「群衆行動解析」をご紹介します。地震などの災害が起こった際には、避難者を正しく安全に出口まで誘導しなければなりません。NECでは、この状況を支援するため、防災カメラで撮影された群衆映像から混雑状況の把握・異常検知を行う総合防災システムを、東京都豊島区に構築しました。

 巨大ターミナルである池袋駅を擁する豊島区では、2011年の東日本大震災の際に帰宅困難者が駅周辺にあふれ、すみやかに対策をとることができませんでした。その教訓をふまえて豊島区が導入したのが、今回の総合防災システムです。区内の救援センターや主要駅周辺、幹線道路などに51台の防災カメラを設置し、災害時にはこれを利用して被害状況をリアルタイムに収集しつつ、群衆行動解析によって異常混雑や滞留状況を自動的に解析。帰宅困難者対策など迅速な初動対応を可能にしています。

デジタル産業革命時代の社会価値を創造するNECの取り組み事例

 ここからは、NECが取り組んでいる社会ソリューション事例を3つ紹介します。

 1つ目は、スマートシティの取り組みです。ニュージーランドの首都、ウェリントン市では、2040年に向けた経済・技術戦略として「Smart Capital」構想を掲げています。この構想を支援すべく、NECはスペインに「クラウド・シティ・オペレーション・センター(CCOC)」を設置。これを核として、ICTやIoTの技術を駆使しながら、さまざまな種類の車両の流れを把握して都市開発や道路修復計画の立案に役立てたり、センサーによって温度、湿度、CO2などの情報を収集し、よりよい都市づくりに活用したりしています。

スマートシティへの取り組み

 2つ目の事例は農業です。NECはカゴメ様と協業し、加工用トマトの収穫量の最大化、栽培効率化を実現するための取り組みを進めています。トマトは地球上における7大農作物の1つで、野菜の中では地球で最大量の生産を誇ります。カゴメ様では世界的な人口増にともなうトマトの需要増に対応するため、新たな農業技術開発による既存産地においての単収(面積あたりの収穫量)アップや、これまで主要産地ではなかった国での新たなトマト産地育成などに取り組まれております。そこでNECでは衛星写真や生産現場から得られるデータを活用しながら、コンピュータで実際の圃場の状態をシミュレーション。最適な作付け、肥料のやりかた、水のやりかた、収穫のタイミングなどを予測しカゴメ様と収穫量の最大化、栽培効率化、さらには収穫量や収穫時期の最適化に向けて取り組んでいます。

農業ソリューションへの取り組み

 3つ目の事例は、アサヒビール様と取り組んでいる需要予測です。アサヒビール様では、一般的に困難と言われる新商品の需要予測にAIやIoTを活用し、新しいコンセプトの商品を出したときに市場でどのような需要行動が起こるかを、商品特性、地域特性、気象情報などさまざまな要素から予測しています。その結果、1~10%程度の誤差で正しい需要が予測できることが確認されており、生産、在庫、物流の最適化などの実現を目指しています。

需要予測への取り組み

 ご紹介したこれらの事例は、どれもNEC1社だけでは成し遂げられませんでした。これからの社会課題の解決にも、このような「共創」が欠かせません。国連が進めているSDGs、サステナブルな社会の実現についても同様です。

 IoT、AI、クラウドの世界が拡大していく中、単独の企業が圧倒的な力を行使して社会に価値を提案する時代は終焉を迎えました。これからは消費者やビジネスパートナーの方々と共に地球をサステナブルなものにしていくことが重要です。そして、その際に「共創」を進めることこそがNECが皆さまにできるお約束であると考えています。

 NECは皆さまとの共創を通じ、サステナブルな社会を支えます。

第6回IoT/M2M展2017 春 特別講演会場の様子

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