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2018年11月26日

「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2018」レポート

理想的な暮らしを実現するために必要な社会のデジタル化とは

 人口減少による労働力不足という社会課題を抱える日本が国際競争力を強化していくには、行政と企業の生産性を飛躍的に向上させることが必要です。この解決の一助となるのが、社会全体のデジタル化です。

 2018年1月に政府が発表した「デジタル・ガバメント実行計画」では、従来の社会の仕組みを利用者目線で抜本的に見直す方針を掲げ、「行政サービスの100%デジタル化」を目指すとしています。官民がデジタルで連携する社会が近く、現実のものとなるでしょう。「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2018」で、その近未来の具体的なイメージを紹介しました。

行政サービスが100%デジタル化された2030年の企業と私たちの暮らし

 展示ゾーンのメインステージでは、スクリーンに映し出された2030年の世界で暮らす山本さんとステージ上のナレーターの対話を通して、近未来の姿が紹介されました。

 以前、東京で働いていた山本さんは、母親の介護のために地元に戻り、2030年の現在はシニアの方の食事や運動など健康な暮らしをサポートする会社を立ち上げました。起業の手続はオンラインで完結したといいます。介護の手続も、国や地方公共団体、企業のサービスから自分に最適なものが簡単に見つけられるだけでなく、AIが申請までを代行してくれるそうです。2030年には行政も企業も100%デジタル化されているので、あらゆることがワンストップで実現します。

メインステージ採録動画
「デジタルガバメントの実現で暮らしやすくなる社会の姿」

 地方の自宅での業務も不自由に感じることはなく、お客さまから健康診断の結果やバイタルデータなどを本人同意後すぐにオンラインで受け取ると、最適な運動プログラムをAIが提案してくれます。それをもとにお客さまと相談しながら新たな運動プログラムを決め、そのままオンラインで申し込みも済ませられます。AIが得意な部分はAIに任せつつ、相談などの人ならではという部分を人が担います。

 2030年には官民の枠を超えたデータ連携の仕組みが整備されており、健康診断のような個人情報の共有やそれに伴う本人認証も、セキュリティ面を担保しつつオンラインで可能となります。行政やほかの機関が持つデータもすぐに入手することができます。企業は、これらのデータと自社が保有するデータを組み合わせてAIで分析することで、潜在顧客の調査・分析、さまざまな条件と予測に基づいたコストと売り上げのシミュレーション、人材のマッチングなどがわずかな時間で行えます。

 このように近未来では、人と企業、行政が安全につながり、情報を最大限利用することで、企業も行政もこれまでできなかったさまざまなことが可能になり、新たなビジネスチャンスが生まれるようになるでしょう。

行政機関のDXで官民を巻き込んだワンストップ化を実現

 NECの番号事業推進本部で本部長を務める小松正人は「デジタルガバメントで変わる近未来 ~デジタル化でつながる企業と行政~」と題した講演をし、冒頭で、行政手続のオンライン化は日本が後れをとっていると指摘しました。「国の行政手続オンライン利用率」の国際ランキング(OECD)で、日本は36カ国中35位(*1)だというのです。

NEC
番号事業推進本部長
小松 正人

 日本は「e-Japan戦略」の名のもとで2000年から電子政府・電子自治体の実現に取り組んできました。ただし、行政の縦割り組織を踏襲していたために、地方公共団体で交付された各種証明書をさまざまな行政機関に提出する必要があるなど、利便性がそれほど向上していないのが現実でした。「デジタル・ガバメント実行計画」では、この状況が改善される見込みです。官民を含めたワンストップ化の実現を目指しているからです。小松はデジタル・ガバメントを「行政機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)」だと評します。

デジタル・ガバメントとは
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 デジタル・ガバメントの主要な要素として、小松は「行政サービスのデジタル化」「クラウド・バイ・デフォルト」「官民データ連携」の三つがあると指摘します。

デジタル・ガバメント主要三要素
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 一つ目の行政サービスのデジタル化とは、各種証明書をデジタル化した上で、組織を超えて情報を共有する仕組みを構築することです。具体的には、例えば、地方公共団体が保有する行政情報をバックオフィスで連携させるとともに、添付書類を省略します。行政手続のワンストップ化の基盤となる取り組みだと位置付けられます。

 こうすることで、例えば、パスポートの取得をする際は、必要書類の取得のためだけにわざわざ自治体窓口に行くことなく、最初から旅券事務所にのみ申請しに行けばよい、ということになります。webやスマートフォンだけで手続を完了させられることも増え、窓口に行く必要性もなくなっていくでしょう。

 二つ目のクラウド・バイ・デフォルトとは、新たにシステムを構築する際に、官公庁でも著しく進化しているパブリッククラウドをあたりまえに利用することを指します。これまでは、データセンターが外国に設置されていたことも多く、政府でのパブリッククラウド採用は困難でした。しかし、運用負担軽減、コスト削減、セキュリティ対策、災害対策などの観点から、クラウド利用を推進する方針が打ち出されました。ただし、官公庁におけるクラウド・バイ・デフォルトを実現するには、総務省などのセキュリティやクラウド利用に関して公表しているガイドラインの変更が必要になると小松は示しました。

 三つ目の官民データ連携とは、官公庁と企業がそれぞれ保有しているデータをAPI経由で連携させる取り組みです。これによって、官民を巻き込んだワンストップサービスが実現します。例えば、引越しをした際には地方公共団体だけでなく、電気・水道・ガスなどの公共料金、銀行やクレジット会社などの金融機関など、さまざまな機関で住所変更の届け出が必要です。しかし、この取り組みが進めば、インターネット上の一度の手続で、すべての機関にある自分の住所が一括で変更可能になります。

 小松は「NECは、住民や官公庁の職員、企業を含めたすべての人にやさしいデジタルガバメントの実現を目指しています」と語り、講演を締めくくりました。

*1 出典:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室
IT新戦略の策定に向けた基本データ集 平成30年4月7日 40ページ

企業と地方公共団体の両面に向けたソリューションを展示

 展示コーナーでは、「人にやさしいデジタルガバメント」に関する二つのデモンストレーションを実施しました。一つは、行政や各事業者が保有する個人の情報を、企業が本人同意のもとで組織間連携させて紙や対面の手続を不要にし、すべての処理をオンラインで完結させたイメージのデモンストレーションです。例えば、近未来の人材サービスでは、官公庁や資格事業者、教育機関などとAPIで連携したオンラインサービスを実現することで、入社する人材や企業の人事担当者の煩雑な手続を不要にすることが可能になります。

官民データ連携が実現する手続ワンストップ化のデモ展示
煩雑な手続や申請がワンストップで完了する就職・転職サービスを例にご紹介しました

 もう一つが、行政窓口の手続を100%デジタル化したデモンストレーションです。この「NEC 窓口改善ソリューション」は、住民が、手続や申請に必要な情報を事前にスマートデバイスなどから入力する仕組みになっています。窓口ではそのデータをもとに、氏名などの漢字を異体字に修正し、RPA(Robotic Process Automation)で基幹システムへ自動転記します。これにより住民は行政窓口での待ち時間が削減され、行政は職員によるデータ入力の手間を削減できます。そのため、行政はより高付加価値な業務へ人材をシフトでき、住民にも職員にもやさしいデジタル化が実現できます。

NEC 窓口改善ソリューションのご紹介
行政窓口に出向く前に住民がスマートフォンなどから申請内容を入力することで、窓口での混雑緩和を実現します

 人と企業、行政が安全につながり、情報を最大限利用することで、一人ひとりがより生き生きとした社会を実現するために、NECではこれらのソリューションやサービスの提供を通じて、デジタルガバメントに貢献します。

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