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2019年06月25日

地域再生・活性化の成功のヒントはどこに? デジタル活用に見るまちづくりの未来予想図

 いかに地域再生・活性化を実践していくか。これは定住人口の減少や都市部への人口流出といった課題に悩む多くの地方公共団体にとって重要な課題です。ただし、最近では潮目も変わりつつあります。インバウンドの増加や地域イベントの効果によって、地方を訪れる人が増えつつあるからです。ここで重要なのは、単に受け皿を用意するだけでなく、「また来たい!」と思わせる顧客体験の提供です。ここでは、第1回【関西】統合型リゾート産業展/第1回夢洲 次世代まちづくりEXPOの出展をもとに、地域外からの人の集まりによる経済の活性化や、地域の人が健康で暮らしやすいまちづくりのヒントについて、すでに取組みを始めている地方公共団体の事例を紐解きながら考察します。

デジタルによる”おもてなし”で地域活性化に貢献する

 観光立国を目指す日本への訪日外国人数は2018年に3119万人を記録し、過去最高を更新しました。2019年9月に開催されるラグビーの世界大会や、2020年の東京での一大スポーツイベント、そして2025年には大阪での国際博覧会を控え、訪日外国人数は今後ますます拡大する見込みです。インバウンドだけではありません。国内でもご当地グルメの祭典やスポーツ大会、自然・文化などの地域資源を活用した各種イベント企画運営によって多くの人が地方にも訪れるようになりました。

 こうした潮流は全国の地方公共団体にとって大きなチャンスです。地域の魅力を国内外に発信するとともに”おもてなし”の充実を図る。感動を一過性のものとせず「また来たい!」と思える、より良い顧客体験を提供する。それが持続可能な活気ある地域社会づくりにつながっていきます。

 効率的かつシームレスな顧客体験の提供のために欠かせないのが、デジタル技術の活用です。そこでNECはデジタル技術を活用した持続可能なまちづくりを支援しています。

 安全・安心とスムーズ・快適な顧客体験を実現する「スマートホスピタリティサービス」はその1つです。これは世界トップクラスの精度を誇るNECの顔認証技術を活用し、ホテルを起点に周辺エリアをフリクションレスにつなげ、回遊を促し、エリア活性を向上させるサービスです。

 例えば、事前に登録した顧客の顔データと、ホテルに設置したカメラの映像をリアルタイムに照合することで、即座に本人確認が可能です。この顔認証の活用で、お客様を待たせることなく、チェックイン/チェックアウトの手続きを行うこともでき、ホテル内のレストランや売店では、お財布やルームキーなどを持たずに手ぶらで食事やショッピングができるようになります。また、他の観光施設などと連携すれば、快適に過ごせる範囲が広がり、エリア全体の活性化に繋がるでしょう。

 このサービスは施設の運営事業者にも大きなメリットがあります。それは、受付業務や物販業務の自動化によって、運営業務の省人化を実現できる点です。人手不足が大きな課題となる中、今まで人が実施していた作業をICTで代替すれば、従業員の方は施設のホスピタリティ向上を目指した業務に専念することができ、より満足度の高い施設運営が実現可能になります。

カジノに欠かせないマイナンバーカードによる本人確認を実現

 スマートホスピタリティサービスを支える顔認証は、様々な仕組みと連携可能です。その1つとして考えられるのはマイナンバーカードです。

 昨今は地域振興策の1つとして、統合型リゾート(Integrated Resort:以下、IR)の設置が注目されています。2016年12月15日には衆議院本会議で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、いわゆるIR推進法が成立。IRの目玉の1つであるカジノの法制度化への道が開かれることになりました。

 カジノの入退場時には、国内居住者はマイナンバーカードによる本人確認が義務付けられています。この時、公的証明書であるマイナンバーカードに記録されている顔データを併せて活用すれば、確実な本人確認に加えてスムーズな入退場管理を実現できます。この顔データをもとに、大勢の中から個人を特定することも可能となり、例えばカジノ施設で滞在時間をオーバーした人を顔認証で検知する、といったことも可能となるでしょう。

 なお、キーとなる顔データは、マイナンバーカードのほか、運転免許証や旅券等からも取得できます。IRはカジノだけでなく、会議場・展示施設、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設などが一体になった複合観光集客施設。IRが実現すれば、有力な観光資源となるばかりでなく、地域の芸術・文化の発信基地として、また経済活動の拠点として重要な役割を担うことになります。様々なお客様も数多く訪れる産業関連のイベントや展示会では、マイナンバーカードのほかに、運転免許証や旅券の顔データを活用することで、来場者の裾野を広げ、地域全体で一貫したおもてなしを提供できるようになるでしょう。

カジノ入場手続きのイメージデモ画面
カジノ入場手続き時の顔認証による本人確認のイメージ

 このほか、歩きながら顔認証を可能とする「ウォークスルー顔認証」を活用した入退管理ソリューションも提供しています。これは事前に撮影・登録した顔データと、入退場ゲートに設置したカメラで撮影した顔データを照合して施設入場者の本人確認を迅速、確実に行う仕組み。立ち止まることなく、厳格かつスムーズな本人認証が可能になることから、混雑緩和につながります。

(参考)プレスリリース
成田空港の新しい搭乗手続き「OneID」にNECの顔認証システムが採用決定

「ウォークスルー顔認証」の写真

地域全体の活性化を目指す取り組みも幅広く支援

 顔認証技術を組み合わせたスマートホスピタリティサービスを、IR内の複数の施設や観光地エリアなど広範囲に広げることで、メリットはさらに大きなものになります(図1)。例えば、最寄りの空港や駅にも組み込むことで、公共交通機関のスムーズな乗り降りを実現できます。エリア内の様々なサービスも顔認証だけで利用できるようになり、キャッシュレスでの「手ぶら観光」も可能になります。利用者に対し、これまでにない顧客体験を提供できるのです。

スマートホスピタリティサービスの全体イメージ

 顧客の顔認証情報を共有することで、ホテルや展示会場を起点として、周辺施設でもキャッシュレスで様々なサービスを受けられるようになります。また、タイムリーな情報発信により、集客効果も高まり、エリア全体の経済活性化にもつながります。

加古川市、南紀白浜地域で進むスマートシティ

 地域全体の活性化に向けた動きは、各地ですでに始まっています。加古川市、南紀白浜地域で進むスマートシティの実現に向けた取り組みはその代表例です。

 「子育て世代に選ばれるまち」を目指す兵庫県加古川市は、その一環として通学路を中心に見守りカメラ・見守りサービス検知器を市内1500カ所に整備中で、子どもや行方不明のおそれのある高齢者など、市民を見守る支援をしていきます。そのほかにも、かこがわアプリを活用し、市からの重要なお知らせの通知や、避難勧告などの防災情報の確認など、地域課題解決に向けた新たなサービスの提供を推進しています。

 さらに車両走行データなどを活用することで、「かこばす」ロケーションシステムを提供。市が保有している防災関連施設や人口統計などのオープンデータをAPI連携で利用できる「行政情報ダッシュボード」も構築し、有識者や民間事業者、市民ボランティアとの連携による”住民目線の行政サービス”の提供を目指しています。

 一方、和歌山県の南紀白浜地域では「IoTおもてなしサービス実証」が進行中です。同地域は日本三古湯である白浜温泉や世界遺産の熊野古道など、魅力的な観光資源が非常に豊富。この強みを活かして、空の玄関口である南紀白浜空港を中心に、地域と一体となって、紀南地域全体の経済活性化を目指しています。

 具体的には、事前にアプリで顔やクレジットカード情報を登録すると、南紀白浜地区の様々なサービスを顔だけで利用できるというもの。宿泊先のホテルではカギや財布を持たずに外出し、施設外でもキャッシュレスで食事やショッピングを楽しむ。パンダで全国的にも有名なアドベンチャーワールドも実証に参加となり、チケット購入もキャッシュレス、スムーズに入園できます。

 このように、地域の魅力を快適に楽しむことができるような取り組みが進んでいます。NECも地域・他企業様と共創しながら、これらの取り組みをご支援しています。

経済活性化と健康都市づくりの両輪で地方創生を目指す

 持続可能な活気ある地域社会づくりには、地域外から人を集めることはもちろん、その地域に暮らす市民が豊かで健やかな生活を営めることも、重要な要素です。

健康都市づくりの全体写真

 NECはAIや生体認証などの先端技術を活用してスマートシティを実現する「NEC Safer Cities」、人やモノ、プロセスを産業の枠を超えてつなぎ、新たな価値を創出する「NEC Value Chain Innovation」を注力事業として取り組んでいます。

 今回紹介したソリューションもこの2つの事業の一環として提供するものです。地域外からの人の集まりによる経済の活性化を目指すとともに、地域の人が安全・安心かつ健康で暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。今後もNECはこの両面のアプローチを推進することで、安全・安心・効率・公平な次世代まちづくりの取り組みを強力に支援していきます。

 また、2019年7月には、「NEC Safer Cities」と「NEC Value Chain Innovation」の取組みをさらに広くご紹介するNECのプライベートイベント「NEC iEXPO KANSAI 2019」が大阪で開催されます。実際に体験いただけるデモ展示のほか、「デジタル時代の住みよい街づくりとは」をテーマとしたパネルセッションや、今回の記事でもご紹介した南紀白浜エアポートのお客様事例講演も予定されていますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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