ここから本文です。

2022年01月17日

本質を理解し、DXを制す 変革者たちからの招待状Vol.3

 デジタル技術によって大きく変化した社会。生活者たちが求めるニーズは大きく変化し、企業は、これまでのビジネスのままでは成長を続けることが困難になっている。では、どのようにビジネスを変革していくべきか。デジタルによる変化に立ち向かう力もまたデジタルである。つまりDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。DXが提唱されるようになって以来、既に多くの人たちが、本質を理解しようと思考を巡らし、様々な挑戦を繰り返してきた。彼らの体験談や成功論は、DXに取り組むすべての企業にとって貴重な言葉となるはずだ。ここでは、そんな金言を張り巡らせた3つのDXコンテンツを用意した。

Vol.1:ビジョン、テクノロジー、人材 変化に立ち向かうリーダーたちのDX論とは
Vol.2:価値の源泉は無形資産にある ~事例に見る“これからをモノにする”アプローチ~
Vol.3:DX推進に不可欠なキーテクノロジー その最新動向やビジネス変革への道筋に迫る

DX推進に不可欠なキーテクノロジー
その最新動向やビジネス変革への道筋に迫る

 DXにて、いかに新たなサービスやビジネスモデルを創出するか。これは多くの企業にとって共通した課題だといえるだろう。ただし、その実現に向けては、DXを構成する多様なテクノロジーの理解が必要不可欠となる。そこで、本稿ではForbes JAPAN Web編集部編集長の谷本 有香氏がNECの顔認証技術の“生みの親”であり、現在はフェローとしてDXテクノロジー全体を統括する今岡 仁へインタビューし、生体認証、AI/アナリティクス、5G、クラウド、ヘルスケア、量子コンピュータなどの本質やトレンド、ビジネスシーンにおける適用実例や可能性について話を聞いた。

NECが誇る世界No.1の生体認証技術

Forbes JAPAN
Web編集部編集長
谷本 有香 氏

谷本氏:
 本日は顔認証技術で世界をリードしてきた今岡さんを迎え、DXに必要不可欠なテクノロジーにフォーカスしたお話をお聞きしたいと思います。いま企業や組織が最も興味をお持ちなのが、様々なテクノロジーをビジネスや業務にどう活かせるかだと思います。

 NECが持つ幅広いテクノロジー、さらにはその具体的な適用例などを教えてください。

今岡:
 私は、現在「DXのフェロー」としてデジタルテクノロジーを統括していますが、その前は20年近く顔認証を中心に研究してきたこともあるので、まずはNECの生体認証からご紹介します。

 NECは顔認証以外にも、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、耳音響、声など幅広い生体認証を取り扱っており、「Bio-IDiom」として体系化しています。これだけ多くの生体認証を扱う企業は世界でも希な存在です。さらにNECの生体認証技術は、それぞれが世界トップレベルの精度に達しています。顔認証と虹彩認証は2021年にそれぞれ世界No.1の評価を獲得し2冠を達成しました※。顔認証は計6回、虹彩認証は計2回、指紋認証は計8回の世界No.1に輝いています。個々の生体認証で世界レベルの評価を受けている企業は他にもありますが、これだけ総合的なバイオメトリクスを品揃えし、いずれも高い評価を獲得しているのは世界でもNECだけだと思います。

(※)NEC、米国国立機関による顔認証精度評価で第1位を獲得
https://jpn.nec.com/press/202108/20210823_01.html

NEC、顔認証に続き虹彩認証でも米国国立機関による精度評価で第1位を獲得し、2冠を達成
https://jpn.nec.com/press/202109/20210902_01.html

谷本氏:
 そうした実績から、2021年に日本で行われた世界的なスポーツイベントでも、NECの顔認証技術が使われたそうですね。

今岡:
 全競技会場・選手村に、大会関係者が入場する際の顔認証による本人確認システムを納入させていただきました。日本人だけでなく、世界各国の人々をきちんと見分けられるシステムが、セキュリティ強化に非常に役立ったと聞いています。

 また、この4月には三井住友フィナンシャルグループ様が開業されたSMBC豊洲ビル全体に、マスク対応の顔認証入退館システムが導入されました。マスクを着用したまま高精度な本人確認が行えるため、新型コロナウイルスなどの感染症拡大リスクを低減しながら、何も持たないスムーズな入退館を実現しています。

NEC
フェロー
今岡 仁

 社員証の盗難・紛失などによるなりすまし入退館などを防止でき、利便性とセキュリティを両立しているのが大きな特長です。

谷本氏:
 2メートルを超える高身長の選手から車椅子の選手まで世界中から集まった様々な方を着実に認証できるってすごいことですよね。しかもマスクをしていても本人を見分けられるなど、すごい精度なのですね。

今岡:
 NECの顔認証は従来からマスク着用に対応していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、新しい顔認証エンジンを開発しました。様々な色や柄、形のマスクに対しても99.9%以上の認証率を誇ります。

 さらに顔認証と虹彩認証を組み合わせた「マルチモーダル型」の生体認証端末も実用間近に迫っており、顔と左右の目で異なる虹彩、合計3つの特徴を用いて、誤認率100億分の1以下の認証精度を実現しました。これは世界の総人口をカバーできる数値で、将来的には厳格な本人確認が必要な金融決済や医療現場にもグローバルで活用できると思います。

図1 進化を続ける顔認証 ~ニューノーマル社会へ貢献~
画像を拡大する
図1 進化を続ける顔認証 ~ニューノーマル社会へ貢献~
NECの顔認証技術は、2009年以来、世界的権威である米国国立標準技術研究所(NIST)が行う顔認証技術のベンチマークテストでNo.1を獲得※。マスク着用時でも高い精度を実現するため、ニューノーマル社会に欠かせない技術となっている
(※)NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません

幅広いニーズに適用できる多様なAI群

谷本氏:
 NECはAIでも、様々な技術を開発していますね。

今岡:
 いまお話しした顔認証やマルチモーダル生体認証もAIの1つです。NECはAIの研究開発に50年以上取り組んでおり、機械認識、データマイニング、自然言語理解など、数多くの先端技術を「NEC the WISE」というブランドのもとで開発してきました。「データドリブン経営」に向けビジネス変革を支援するAIを取り揃えています。

 例えば、「データ意味理解」というものがあります。これまで専門家が非常に長い時間をかけて行っていた複数の異種データの統合作業を高速・高品質に自動化するもので、隠れたインサイトを発掘し、営業リコメンデーションなど、ビジネスをより優位にするのに役立ちます。

 最新の事例では、NECの「インバリアント分析技術」が米国のロッキード・マーティン社の開発する宇宙船や人工衛星のプロダクト・ライフサイクルで採用されました。NASAの有人月面探査計画「アルテミス」で使われる有人宇宙船「オリオン」では、機体に取り付けた約15万個のセンサーから得られるデータをAIで分析し、様々なテストの効率化を支援します。この技術は、工場などの設備を監視して異常予兆を検出する技術としても使われています。

 もう1つ、いま私たちが話している会話をリアルタイムにスラスラとテキスト化しているのが、AIを使った「音声認識技術」です。オンライン会議やコールセンターなど、発話自由度が高いケースや雑音下の環境でも対応可能です。

谷本氏:
 先ほどからみなさんの画面の下に、字幕のように次々と言葉が表示されているのが気になっていたのですが、まさに話している内容がそのまま変換されていたのですね。認識精度の高さに驚いています。私も仕事柄、インタビューや座談会をテキスト化するのにかなり苦労していますが、この技術を使えば本当に楽になりますね。

図2 NECのAI技術群
画像を拡大する
図2 NECのAI技術群
NECはAI関連技術の開発を50年以上にわたり進めてきた。人とAIが協調しながら高度な英知で解決していくという想いを込め、AI技術群を「NEC the WISE」と名付けている

ネットワークとAIを融合し、新たな価値を創出

谷本氏:
 さて、DXではAIやIoTといった技術を支える情報通信インフラとして、5Gやその先にあるBeyond 5Gがデジタル変革の重要なカギを握るとされています。NECではこのテクノロジーをどのようにとらえていますか。

今岡:
 高速大容量、低遅延、多数同時接続などを特長とした5Gは、これからIoT機器やセンサリング技術、AIと連携することで、産業、医療、交通、教育など、様々な分野のDXに欠かせない社会インフラになっていくでしょう。例えば、ネットワーク経由で建機やロボットを高精度に制御する適応遠隔制御という技術を組み合わせると、距離やタイムラグを解消する価値は、これまでの4Gでは実現できなかったものになるはずです。実際にNECは重機の遠隔操縦サービスを2021年10月から提供しています。そうした世界を目指すため、NECは通信キャリアをはじめとする国内外のパートナーとのエコシステムで、グローバルの5G導入を加速させているところです。

 特に重要なのがAIとの融合です。ネットワークによって実世界をくまなくデジタル化できるようになったり、超大規模問題をクラウド処理で高速化できるようになるなどAIの進化が期待されますし、ネットワークもAIによって運用や性能の進化を支えます。NECでは、AIとネットワークが共に影響しながら進化していく「共進化」に取り組んでおり、10年先のBeyond 5Gではそれがより具体化されていきます。例えばBeyond 5Gでは、「0.5秒を先読みする技術」が実現するはずです。一手先の状況を先読みするAIとネットワークの進化により、人・ロボット・車が同じ空間で自律し協調する世界や、人がよりリアルに仮想空間に没入できる世界が実現できます。

谷本氏:
 DX戦略ではスピード感も重要です。ネットワークの速さだけでなく、DXに必要なテクノロジーリソースをワンストップでシームレスに扱えるプラットフォームへの期待も寄せられています。

今岡:
 おっしゃるとおりです。そこでNECは独自の「NEC Cloud IaaS」とパートナーのクラウドである「Amazon Web Services」、「Microsoft Azure」、「Salesforce」からなるマルチクラウド環境のトータルサポートを、計画、構築、運用の各段階において進めています。これにより、お客様のデジタルシフトへの対応、データの見える化、分析シミュレーションなどを、あらゆる拠点から柔軟に行えるようになり、新サービスの創造や意思決定の迅速化、オペレーションの最適化を支援していきます。また、官公庁向けのクラウドサービスも提供しています。セキュリティ評価制度(ISMAP)に対応した、オープンで信頼性の高いマルチクラウドにより行政の迅速なデジタル化に貢献していきます。

谷本氏:
 これまでご紹介いただいたDXテクノロジーの具体的な活用事例を教えてください。

今岡:
 アメリカ・ハワイ州の主要5空港は、NECの生体認証・映像分析技術とサーマルカメラを組み合わせた感染症対策ソリューションを導入しました。体表温度が高い人物の検知と空港内での移動経路の見える化により、安全にハワイを訪れる仕組みの運用が開始され、観光産業の回復に貢献しています。DXコンサルティングを皮切りとした共創活動により、わずか1カ月で限定された場所でのサービス稼働を開始し、その後ハワイ5空港内全域に対象範囲を拡大し、空港間情報連携や管理機能を段階的に強化いたしました。

谷本氏:
 最先端のテクノロジーを活用したビジネス変革が、既に各地で動き出しているわけですね。そうなると気になるのが、少し先の未来を創るテクノロジーです。NECではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

今岡:
 例えば、AIを活用したヘルスケア・ライフサイエンス事業に取り組んでいます。実は、ヘルスケア・ライフサイエンス領域では、日本初のレセプトシステム納入からはじまり50年以上の経験と実績を有します。電子カルテシステムとITの融合などを経て、2019年にはAI創薬事業を開始しています。最近では、罹患者が多い大腸がんの早期発見を支援する内視鏡画像解析AIを開発しました。これは内視鏡検査中に病変が疑われる部位をAIが自動検知し、病変の検出を支援するもの。世界No.1※の顔認証で培った経験とノウハウが惜しみなくつぎ込まれています。

(※)2009年以来、米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストで第1位を獲得。NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません。
https://jpn.nec.com/biometrics/face/index.html

 もう1つが量子コンピュータです。1999年、NECは世界で初めて、固体素子を使って量子ビットをつくれることを示しています。世界の熾烈な開発競争の幕開けでした。その後2003年、2ビット固体素子量子ビットの動作に成功し、現在も内閣府やNEDOの量子コンピュータ開発のプロジェクトをけん引しています。

 量子ゲート方式と並行して、量子アニーリング方式の開発と事業化を進めています。NECのベクトル型スーパーコンピュータを活用したシミュレーテッド・アニーリング技術をクラウドサービスとして提供し、10万量子ビット相当の大規模な組合せ最適化問題に対応しています。これらをDXやAIのアクセラレーターとして活用することで、製造、交通・物流、金融などの様々な経営課題の解決に貢献していきます。

グローバルな研究開発体制と卓越した研究人財

谷本氏:
 カバーする技術領域が本当に広いですね。どうしてNECは、そういった幅広い最先端テクノロジーを提供することができるのでしょうか。

今岡:
 NECは世界7カ所にR&D拠点を設置しており、グローバルな知見と人材のダイバーシティ(多様性)がNECの研究開発の強さの要因の1つと考えています。研究開発、新事業創出、知財の機能融合がさらに進み、先端技術から次世代のコアビジネスを創出する機能も強化されました。

 世の中を変えるデジタル技術の創出には卓越した研究人財がカギとなります。国際的にも高い評価を受けている研究者がたくさん在籍しており、30代の若い力も台頭しています。AI・機械学習の難関学会論文採択数は国内トップです。各研究領域でグローバルに認められる研究実績を継続的に創出できる環境と体制を整えることで、深い技術に根差したDXテクノロジーを生み出しているのです。

図3 世の中を変えるデジタル技術の創出には卓越した研究人財がカギ
画像を拡大する
図3 世の中を変えるデジタル技術の創出には卓越した研究人財がカギ。国際的にも高い評価を受けている研究者がたくさん在籍している

谷本氏:
 NECには世界の英知が集まっているわけですね。それによって今後、どのような未来を創っていきたいと考えているのでしょうか。

今岡:
 NECのDXにおけるリーダーとして、みなさんと手を携えながら、テクノロジーの力で社会課題や経営課題の解決を成し遂げていきたいと考えています。NECが目指すのは、「地球上のあらゆる場所の人・ロボットが、時間・空間を超えて、自律し協調しあう社会」、人々には人間本来の知的創造活動に集中してもらい、人々がより豊かに暮らすことができる社会です。

 もちろん、AIやデータ利活用の社会実装やルールメイキングなど先導し、テクノロジーをより安全にかつ、安心して使ってもらえるような環境づくりに貢献していきます。

図4 社会全体のデジタルシフトに向けて
画像を拡大する
図4 社会全体のデジタルシフトに向けて
ニューノーマル社会に向けてデジタルシフトが急速に進展している。必要となるのは、より強い社会・企業を取り戻すための本質的な改革への検討であり、スピード感だ。NECはDXへの取り組みを強化し、デジタルの力でより強い社会・企業の実現に貢献していく

谷本氏:
 変化のスピードと複雑性が増す中で、いかに競争優位を保てるか、企業・組織に新しい経験価値を提供できるかが厳しく問われる時代となっています。その中で、一緒に未来を創造できるパートナーとしてNECがいかに大きな可能性を持っているかが分かりました。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

日経電子版広告特集(2021年10月)より転載

関連キーワードで検索

さらに読む

この記事の評価


コメント


  • コメントへの返信は差し上げておりません。また、いただいたコメントはプロモーション等で活用させていただく場合がありますので、ご了承ください。
本文ここまで。
ページトップ