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2020年05月29日

社会価値創造レポート Sustainable Earth

情報活用がカギとなる
「逃げ遅れゼロ」を目指す防災対策の今

 近年、地球温暖化等による気候変動を背景に、世界各地で自然災害が頻発・激甚化しており、社会、企業、そして人々の生活に多大な影響をもたらしています。このような自然災害の変化への対応として、従来の防災インフラや施設設備を主軸とした「ハード対策」に加え、迅速で適切な避難行動を促す、情報活用等の「ソフト対策」が注目されています。一方、人々の防災に対する意識にも変化が生じはじめており、従来の「公助」「共助」だけでなく、一人ひとりが具体的な行動を起こし、自らの命は自らが守るという「自助」の意識が高まりつつあります。そうした自助の意識のさらなる醸成に向け、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)といった最新技術を活用した公助、共助の取り組みも全国の自治体によって進められています。本レポートでは、近年の自然災害による社会生活への影響、国の方針や人々の意識の変化等を紹介するとともに、「逃げ遅れゼロ」を目指すNECの防災に向けた取り組みや最新技術についてご紹介します。

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 以下、本レポートの前半部分を掲載しています。
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世界で深刻さを増す自然災害のリスク

世界共通の脅威である「環境的要因リスク」

 近年、地球温暖化等による気候変動を背景に、世界各地で自然災害が頻発・激甚化しており、社会、企業、そして人々の生活に多大な影響をもたらしています。

 世界経済フォーラム(WEF)*1が発表した「グローバルリスク報告書2020年版」では、「今後10年間で発生の可能性が高いグローバルリスク」として、これまで「国家間の紛争」等の地政学的要因や、「サイバー攻撃」等の技術的要因も上位に含まれていたのに対し、今回同調査の開始以来、初めて上位5つの全てを環境的要因リスクが占めるという結果が示されました。中でも、自然災害に関連するリスクとして「異常気象の発生」「気候変動の緩和、適応の失敗」「大規模自然災害の発生」の3つが挙げられており、頻発・激甚化する自然災害は、今や世界的に共通する差し迫る脅威となっています*2

過去30年で自然災害の被害総額は600%以上も増加

 事実、世界各地で自然災害による被害は拡大の一途を辿っており、様々な国際機関の調査結果からも、その甚大さが示されています。

 世界銀行は、予測困難な気候変動によってもたらされる自然災害の被害は悪化傾向にあり、1980年以来、自然災害により200万人を超える人々の命が失われ、3兆ドルを超える損失を生じさせていると報告しています。また、1980年代には年間230億ドルだった総被害額も、直近の10年間で600%以上も増加し、年間1,500億ドルに達するとしています。

 さらに同行は、自然災害が2,600万人を貧困に追いやり、毎年5,200億ドルもの経済損失を世界的に発生させているとも推定しています*3

 また、国連防災機関(UNDRR)*4によれば、2018年には全世界で1,720万人もの人々が自然災害により住まいの立ち退きを余儀なくされており、そのうち90%が気象や気候関連の災害に起因していると報告されています*5

 このように近年の異常気象や自然災害は多大な経済損失とともに、人命や人々の生活基盤を脅かしています。年を追うごとに脅威の度合いを増している自然災害は、地域を問わず世界全体として早急に取り組まなければならない課題となっているのです。

*1 WEF:World Economic Forum

*2 出典:世界経済フォーラム「The Global Risks Report 2020」

*3 出典:世界銀行ホームページ「Disaster Risk Management 」( 2019年9月)

*4 UNDRR:United Nations Office for Disaster Risk Reduction

*5 出典:国連防災機関「Disasters displace more people than conflict and violence」( 2020年2月)

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自然災害の頻発・激甚化が、更なる被害拡大を招く

大規模火災が招いた洪水や土砂災害

 異常気象や自然災害の頻発・激甚化は、同時期に複数の自然災害が発生し、被害を更に拡大するリスクをも高めています。その一例が、オーストラリアの大規模森林火災と、その後の豪雨です。2019年9月から2020年2月までの長期に渡って発生した、この大規模火災は広域に拡大し、野生生物の生態系に多大な影響を及ぼすものとなりました。さらに、火災後の雨が一転して豪雨となったことで、長期化していた森林火災を鎮火させる一方、洪水や土砂災害を引き起こしています。これは、火災により土地の保水能力が低下した状態で豪雨が発生し、更なる災害が誘発されたものと考えられます。

台風通過後の大地震により北海道全域で停電が発生

 日本においても、同時期に自然災害が重なり、大きな被害をもたらすケースが見られます。その1つが、2018年9月に連続して発生した台風21号と北海道胆振地方東部地震です。9月4日に日本に上陸した台風21号は、近畿・東海・北陸・北海道で記録的な暴風を発生させ、特に近畿地方を中心に甚大な被害をもたらしました。台風が日本を通過した翌日には、北海道胆振地方東部で最大震度7を記録した地震が発生。さらにその後、発電所の被災に伴って北海道全域に渡る大規模停電「ブラックアウト」を引き起こしました。これらの連続的に発生した災害に対して支払われた保険金額は、約1.1兆円にも達しています*6

 また、翌2019年には9月、10月と連続して台風15号と19号が襲来し、日本全土に大きな被害をもたらしました。首都圏を直撃した台風15号は、千葉県で最大瞬間風速57.5m/s という記録的な暴風を観測。まだその被害の影響が残る中、続けて台風19号が首都圏等を直撃。広範囲に記録的大雨と暴風をもたらし、各地で河川の決壊や氾濫による大規模浸水を発生させました。2つの連続した台風によって死者100名、重軽傷者531名、住家の全半壊、一部損壊も合計142,651棟という極めて甚大な被害が生じました*7

 このように、同時期に重なり発生する自然災害は、従来の備えだけではカバーしきれない被害をもたらしています。そして、人命や生態系、経済活動へのインパクトだけでなく、災害復旧に向けた人々の心理状態にも大きな影響を与えるものとなっています。今後も増加が予想されるこのような自然災害への対策も視野に入れ、改めて防災に取組まなければならない時期を迎えています。

*6 出典:日本損害保険協会 統計「自然災害での支払額」( 2018年度)より算出

*7 出典:内閣府「令和元年台風第15 号に係る被害状況等について」「令和元年台風第19 号等に係る被害状況等について」より算出

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日本における防災意識の変化

ハード対策とソフト対策の組み合わせ重視へ

 台風や地震といった自然災害が多い日本では、これまでも防災や減災対策が注力されてきました。近年、自然災害や社会の変化に伴い、国・自治体の取り組みにも変化が見られます。

 旧来、日本における防災は「ハード対策」を主軸としたものでした。つまり、河川や海岸の堤防、土石流対策の砂防堰堤、土砂崩れ対策の山間斜面の法面工事、また道路、橋梁、トンネル等の強化、避難施設、避難路の設置といった「インフラ」や「施設整備」を中心とした対策です。しかし、2011年の東日本大震災を始めとした近年の大規模な自然災害に相次ぎ直面する中、国土交通省等は「構造物の防災機能」のハード対策に加えて、ハザードマップの整備や活用、避難訓練の実施等、迅速で適切な避難行動によって被害の軽減を図る「ソフト対策」も重要と述べ、「ソフトとハードを適切に組み合せた、より効果的な対策を目指すべき」という方向へ国・自治体の方針も変化しています。

防災対策に向けて高まる「自助」の意識

 防災対策は、行動する主体の違いによっても大きく3つに分類されます。自分自身を助ける「自助」、周囲の人々やコミュニティ内で相互に助け合う「共助」、公的機関が自助、共助では対応できない部分を担う「公助」です。これらの対策の重点の置き方についても、近年人々の考え方に変化が見られます。

 「令和元年版 防災白書」は、内閣府が実施した世論調査を引用し、防災対策に関する人々の意識の変化について指摘しています。2002年には2割にも満たなかった「自助に重点を置いた対応をすべき」とする回答は、2017年には全体の約4割を占めるほどになりました。

 また同白書は、広域的な大規模災害が発生した場合には、公助の限界が懸念されていることも指摘しています。今後は公助に依存するのではなく、一人ひとりが具体的な行動を起こし自らの命は自らが守るという防災意識が醸成された地域社会の構築が重要と述べています。

 近い将来、同時期に複数の自然災害が重なり、被害の拡大を招くような変化に対応していくためには、ハードとソフト対策を両輪に据えて推進するとともに、防災対策を自分自身のこととして捉える 「自助」 を中心に、「公助」「共助」とも連動した対策を行うことが求められます。

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