

「働き方改革」、まずは正確な勤務記録の把握から
――顔認証を打刻手段に用いる新たなアプローチ
顔認証技術を用いて、勤怠管理の精度を高める
NECソリューションイノベータの取り組みにも見られるように、日本企業は政府が主導する「働き方改革」の動向をにらみながら、虚偽の申告やなりすましを防ぐ、より客観的な勤怠データの取得に力を入れる。
こうした動向を踏まえ、NECでは世界No.1※2の認証精度を有する自社開発の顔認証AIエンジンと「勤革時」を組み合わせた、「顔認証タイムレコーダーアプリ」というシステムを製品化した。これは専用アプリケーションをインストールしたiPadの内蔵カメラで顔を撮影するだけの操作で本人を認証し、出退勤時刻を記録できるというものだ。
打刻専用機や管理用PCを用意する必要はなく、iPadのみで勤怠データをクラウド上に保存・管理できる。1IDあたり月額300円という低廉な料金、残業時間のしきい値などを設定できるアラート機能など、「勤革時」の長所はそのまま踏襲している。本人確認のためにICカードなどを発行する必要はないため、カード発行コストと管理工数を削減できる。短期で雇用する非正規従業員の勤怠管理にも適している。
NECソリューションイノベータでは、顔認証と勤怠管理の連携の可能性を探るため、2017年6月にiPadによる簡易なテスト環境を社内に設け、人財企画部のメンバー数名をモデルに、「顔」による認証と打刻を体験した。「なりすましがなく、確実に本人であると認識できる点が、他の打刻手段にない優れた点だと思います」と、本多氏は評価する。続いて神谷氏は、「我々が重視している、勤怠データの客観性を担保できるソリューション。行政からの残業時間管理の要請に対応しやすく、産業界のニーズにもマッチしています。アプリのダウンロードやライセンスコードの登録も簡単で、利便性が高いと感じました」と話す。
外食産業、外国人勤務オフィス…機密情報を扱う研究所などでの活用が、今後広がっていく
勤怠管理システムを手掛けるICTベンダは数多く存在するが、NECの大きな強みは、自社開発の生体認証技術を用いた打刻手段を提案できる点にある。これまでにも、指紋と静脈を組み合わせた「指ハイブリッド」という高度な認証方式を「勤革時」の打刻手段として提供している。打刻操作の簡易性や、誤検知率0.00001%以下という優れた照合精度が、導入企業からは高く評価されている。反面、この認証方式がなじまない事業所もある。たとえば外国人は、指紋による認証に抵抗感を持つ場合が多い。また、飲食店などでは、指紋認証ユニットに直接指が触れることに対し衛生面の懸念を示すケースもある。「顔認証タイムレコーダーアプリ」なら、これらの課題を払しょくできるため、外国人従業員の比率が高い事業所や、衛生管理を重視する外食産業などでの活用が今後広がっていくと、NECは見ている。
一方、医療機関や研究施設といった、セキュリティを重視する事業所からの関心も高い。NEC 産業ソリューション事業部 主任 齊藤 佳子は次のように話す。「世界首位の顔認証エンジンを補完し、より確実な認証を行うために、二次元カラーバーコード(カメレオンコード)と組み合わせた二要素認証のしくみを用意しています。現在、機密情報を扱う研究所と製薬業界から、二要素認証で運用したいという相談をいただいています」。

主任
齊藤 佳子
勤怠データの客観性・確実性を高めようとする動きは、とりわけ上場企業で加速していくことが予想される。各社の統合報告書やCSRレポートに設けられた「労働慣行」の項目では、長時間労働の是正など働き方改革への取り組み内容、および成果についても、充実した内容が期待される。この点を投資家がいっそう重視することは、ほぼ間違いない。齊藤も、「従業員の総労働時間と企業収益を関連付けて評価していく動きが出てくるだろう」と見る。
「顔認証タイムレコーダーアプリ」は顧客企業のニーズに応じてスマートフォンにもアプリをダウンロードし、打刻機としての活用を可能にする計画を持つ。打刻時の位置情報と組み合わせることで、現場勤務やサテライトオフィス勤務の従業員であっても、正確な勤怠データの取得が可能になる。
NECでは、今回のような生体認証技術を用いたソリューションによって、多様な勤務環境に即した信頼性の高い勤怠管理や、場所・時間にとらわれない”自由な働き方”を、これからも支援していく考えだ。
- ※1 開発元:株式会社ヒューマンテクノロジーズ。同社の「KING OF TIME」をエンジンに用いている。
- ※2 米国国立標準技術研究所による顔認証技術ベンチマークテストで、4回連続の第1位評価を獲得している。