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2015年07月31日

日本企業必見!興隆アジアの新ビジネス事情

ベトナム進出の前に知っておきたい「ビジネス習慣10選」

 成長著しいアジアの新興国の中でも、特に日本とのビジネスでの結びつきが強いのが「ベトナム」です。2014年におけるベトナムの主要輸出入国で、日本はアメリカ、中国に次ぐ第3位。また同国では、日本語を話せる人材を増やそうとする政策が推進されています。

 こうした背景から、ベトナムへの進出を検討する日系企業も増えています。そこで今回は、インターネットで調べただけでは知り得ない、しかし進出する前に知っておきたい、現地ならではの「ビジネス習慣」を、現地で活躍する日本人ビジネスパーソンへの取材を交えてご紹介します。

 今回お話を伺ったのは、広告会社マイクロアドのベトナムにおける系列会社代表の十河宏輔さんと、リクルートのベトナム駐在を経て退職後、そのまま現地で人材系サービスを起業したGetJobDone代表の矢積悠紀子さん、某物流会社勤務の駐在員の佐々木淳平さん(仮名)です。

ベトナム最大の経済都市ホーチミンの街並み(出典:Flickr)

「仕事の関係作り」編

1.簡単な現地語の習得がローカルの仲間との距離を縮める

 「ベトナムにも敬語のような言葉を使う文化があるのですが、彼らの習慣に沿うことで、より親しみを感じてもらえます。例えば、年上の男性には”アノイ”、女性には”チオイ”と名前の前に、年下の男女には”エモイ”と名前の後につけます。また、仕事がスケジュール通りに進めないことも多く、現地採用の社員は”チョイオーイ”(なんてことだ)とよく言います。こうした社内で飛び交うローカル用語を習得することが、社員との人間関係の構築を楽にしてくれることがあります」(佐々木さん)

2.ベトナム人にとって家族との時間は最優先

 「ベトナム人にとって、”家族”と”家族行事”は最優先であるということを心得る必要があります。ベトナム人は、どんな人でも数ヶ月に1度は家族行事で数日~1週間程度、仕事を休むことがあります。冠婚葬祭の行事が主ですが、そのほかにも”Family Issue, Family Trouble”と言い、急遽故郷に帰省することもあります。そのようなとき、私は事情の詳細は聞かないようにしています。また、その期間中、本人が自発的によいと言わない限りは、仕事の連絡はしないようにしています。ベトナム人にとって、家族との時間や親戚が集まる行事はとても神聖なものです。そこへの配慮は、特に人を雇う立場の経営者にとってとても大事です」(矢積さん)

3.日本の飲みニケーションは有効

 「マイクロアドの社員は平均年齢が25歳と若く、社内の飲み会の場になると、社員が”アグレッシブ”になります。例えば、上司の私に対しても一気飲みを誘ってくる文化があり、そのときは私もそれに応えるため、体を張って飲みます。ベトナム人は、人柄はとてもよいのですが、本心を隠す傾向にあります。飲みの場のような、彼らの本心を聞くことができる場は貴重ですから、社内の飲み会の場はとても大切にしています」(十河さん)

「部下・パートナー企業のマネジメント」編

4.「嫉妬深い」からこそ評価の基準を明確化

 「ベトナム人の性格は、一般的に嫉妬深い傾向があります。特にキャリアへのモチベーションが高い人ほど、その傾向は強いと感じます。ですから、社員への対応には特に気をつけており、上司としてすべての社員に対して、表向きは常にフェアに保つことを意識しています。経営者は立場上、すべての社員に対して同じように接することは難しいのですが、評価の基準を明確にしてあげることはとても大切です」(十河さん)

5.マイクロマネジメントを当たり前だと思える適応力

 「日本なら、ビジョンと方向性を提示して大まかに指示を出せば社員が動いてくれることも多いのですが、ベトナムにおいては、それでは物事は進みません。相手に何をしてほしいのかを詳細に指示して、やっと思った方向性に物事が進みます。ですから、マイクロマネジメントが必須です。そうした状況にストレスを感じず、それが当たり前だと思える適応力を培うことが大事だと思います」(矢積さん)

6.残業、長時間労働はしない

 「ベトナム人は礼儀正しくおしとやかで、気質も日本人と似ているでしょう。しかし、大きく異なるのは働く時間の長さです。彼らは家族や友人を大切にするため、基本的に長時間労働はしません。残業をするのは稀なので、定時までに彼らがタスクを終われるようなマネジメントスキルが求められます」(佐々木さん)

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