2015年10月30日
日本企業必見!興隆アジアの新ビジネス事情
インドネシア進出の前に知っておきたい「ビジネス習慣10選」
総人口約2.5億人とASEAN地域で最も人口が多く、天然資源にも恵まれていることからも、これからの経済成長が期待されている「インドネシア」。日本との関係は1945年のインドネシア独立戦争から始まり、1958年に平和条約が締結されてから今年で57年が経ちます。日本貿易振興機構(JETRO)の最新の報告によると、在留邦人は1万7893人で、進出している日系企業の数は約1500社に上ります。
いまや中国、インドに続く経済成長国とも言われているインドネシア。日本企業の投資件数や投資額は年々増えています。本シリーズでは、インターネットで調べただけでは知り得ない、しかし進出する前に知っておきたい現地ならではの「ビジネス習慣」を、現地で活躍する日本人ビジネスパーソンへの取材を交えてご紹介します。
今回お話を伺ったのは、不動産サイト「HOME’S」を運営する株式会社ネクストの現地合弁子会社で不動産サイト「Lifull(ライフル)」を運営する加藤年紀さん、家電をはじめとした電化製品の価格比較サイト「Pricebook」を運営する辻友徳さん、リクルートの現地合弁子会社ホテル予約サイト「PegiPegi(ペギペギ)」の中嶋孝平さんです。


インドネシアの首都ジャカルタの渋滞(撮影:岡徳之)
「仕事の関係作り(部下・パートナー企業)」編
1.現地の食事や言語を一緒に楽しむ
「お互い同じ人間であり、相手を尊重することが大事だと思います。もちろん日々の業務の中で、日本では考えられないこともたくさん起こりますが、仮に自分の上司が外国人になったときに、自分がその上司の意図をすべて汲み取れるかと言うと、それもなかなか難しいはずです。円滑なコミュニケーションを図る上では、非常に簡単なことは「笑顔で声をかける」といことです。インドネシア人はとても人懐っこく良い笑顔をします。日本人がよく言われるのは、「愛想が悪い」ということです。なるべく現地の食事や言語を一緒に楽しむということも彼らは歓迎してくれますので、日頃から機会があれば一緒に過ごすと良いのではないでしょうか」(加藤さん)
2.メンツを立てるという華人社会のルールを心得る
「インドネシア人は非常にフレンドリーで、仲良くなるとすごく近い距離感で接するようになります。親日的で、日本のことが好きなひとが非常に多いです。しかし、気を付けなければならないのは、中華系の人たちとのコミュニケーションです。非常にメンツというものを大切にしますので、それを傷つけるようなことをやってしまうと、ちょっとやそっとではリカバリーできないほど関係が悪化してしまいます。彼らのビジネスは代々、家の名前で行われていることとも関係しており、これは日本の核家族サラリーマン社会との大きな違いです。華人社会は主に同族ビジネスで成り立っているということを理解し、どんなに親しくなったとしても常に相手を立てることを意識したコミュニケーション、交渉が大事です」(中嶋さん)
3.時間についてはマイクロマネジメント
「時間感覚の相違が非常に大きな問題につながります。どちらかと言うと、パートナー企業と協業したり、仕事を依頼するときに納期が遅れがちに。相手がたとえ日系企業の日本人社員であってもです。経験上、その企業に日本人が少なく、業務をたくさん抱えている方、もしくはインドネシアなので遅くても仕方がないと考える方と仕事をすると、そのリスクが高まります。そのコントロールはとても難しいですが、そもそも業務を内製化することが可能か、同業者で他にも信頼できる方がいないかを踏まえて、どの会社と付き合うべきかを判断することが大切です。自社の社員については、適切な人材採用と納期を守ることが当たり前であると考える文化を作ることができれば、日本の日系企業のレベルと同等とまではいかないまでも、そこまで大きな問題にはならないでしょう」(加藤さん)
「しつこいくらい進捗チェックをするようにしています。そして、イベントなど大きなマイルストーンを先に設定してしまい、お尻をずらせないようにするのが1つの手です。どうしても間に合わせねばならないギリギリの状況になると、馬力を出して頑張ってくれます」(中嶋さん)

「仕事・生活のインフラ」編
4.Googleマップを活用して最新の交通情報を得る
「ジャカルタと言えば渋滞。渋滞と言えばジャカルタ。空港から市街地まで、空いていれば車で30~40分ですが、混んでいると2時間、最悪のケースは4~5時間という体験談も聞きます」(中嶋さん)
「インドネシアでは、やはり渋滞の話題が多く出ます。これに関しては、自分が解決できる問題ではないので対応がとても難しいです。しかし、まったく対応する術が無いわけではありません。現在はGoogleマップを見ると、時間帯ごとの渋滞情報まで分かりますので、市内、工業団地など、行き先別の渋滞状況を把握し、最短経路を計算するようにしています。ピークの時間を避けるだけで、1時間の移動を10分に削減できることも。ピークにはまってしまうと、逆に10分が1時間にもなります。能動的に情報を取りに行き、計画を立てる必要があります」(加藤さん)
5.オフィスの通信回線は2本引いておく
「雨が降ると固定回線、モバイルの両方のインターネットがつながりづらくなることがあります。また、道路工事で誤ってインターネットケーブルを切ってしまい、一帯がネット不通になることも頻繁にあります。その復旧工事に数時間から数日かかることが日常茶飯事なので、通信会社2社から回線を引いたり、モバイルWi-Fiやオフィスの近くのネットが使えるカフェをいくつか覚えておきます。また、ウェブサーバーが数時間落ちることもあるので、海底ケーブルを経由して海外サーバーの使用もあわせて検討するのがオススメです。プロバイダのスタッフに復旧依頼をしても3回に1回は遅れてきます。変更連絡もなしに約束の翌日に来ることも。」(辻さん)