2015年12月11日
日本企業必見!興隆アジアの新ビジネス事情
インド進出の前に知っておきたい「ビジネス習慣10選」
「ポスト中国」とも言われるBRICsの一角インド。毎年安定的に10%近い高い経済成長率を維持しており、アジアを代表する将来有望国です。インドに進出する日系企業が年々増えていることからも、同国がいかに魅力的なマーケットであるかを伺い知ることができるでしょう。
その最大の魅力は、やはり「人口規模」でしょう。2014年時点でインドの人口は約12億6000万人。さらに毎年約1600万人増えていると言われています。さらには、2022年までに中国を抜き世界最多になるとも。同国のGDPは、2014年時点で、約2兆50億USドルで世界第9位。人口増を背景に、今後その順位を上げていくでしょう。
しかし、インドは南アジアに位置することもあり、私たち日本人にとってはあまり身近に感じられないかもしれません。本シリーズでは、インターネットで調べただけでは知り得ない、しかし進出する前に知っておきたい現地ならではの「ビジネス習慣」を、現地で活躍する日本人ビジネスパーソンへの取材を交えてご紹介します。
今回はインドビジネスで役立つ正しい情報をお届けすべく、カシオのインド法人社長である中正男さん、現地の知財事情に詳しいフェリシテ・IPコンサルティング・インディアの奥啓徳さん、ゼンリンのインド支店長である二宮祐さんにお話を伺いました。

ニューデリーはインドの首都機能が置かれている行政区だ。写真は通勤風景だろうか、車やバイクが排気ガスと埃にまみれて移動している

デリー郊外の新興エリアで、近年急速な発展を遂げつつあるグルガオン。デリーに拠点を置いていた企業がグルガオンをはじめとする周辺エリアにオフィスを移しているからだ。
「仕事の関係作り(部下・パートナー企業)」編
1.相手が大事にしていることを大事にすることが重要
「ディワリ(インド人にとっての正月)のパーティーや結婚式への参加や贈り物は重要」と中さん。二宮さんも同じように考えているようです。
「取引先等を招く、あるいは取引先に招かれるパーティーでは必ずと言っていいほど、最後は「ダンシング・タイム」になります。事前に流行りのステップをYouTubeで調べて真似てみたりすると盛り上がります。普段の真面目さとのギャップがあればあるほど、「インドをよく理解している珍しい日本人ビジネスマン」と親近感を持ってもらえるかもしれません」(二宮さん)
2.距離を縮めるにはお酒ではなくインドの国民食で
「インドではお酒を飲まない人も多いので、日本でのノミニケーション(飲み会)が通じない場合が多いです。よって、ディナーではなくランチを共にすることで心の距離を縮めるようにしています。そのときのメニューはもちろん、インドの国民食の一つとも言えるカレーです」(奥さん)
3.お互いのために強い要求が不可欠
「部下に仕事を頼んだら、しつこく進捗をチェックしなければなりません。昔、インド駐在員で流行ったインド川柳で、「言えばやる 言わねばやらぬ 何事も」というのがありましたが、当を得ていると思います。インドでは「要求回数が少ない」=「重要事項ではない」と相手に勝手に解釈されることも珍しくありません」(中さん)
4.進捗チェックは厳格に・協力したい姿勢(気持ち)を伝えることがポイント
「インドの方は非常に時間に寛容です。逆に言えば、時間や期限を守りません。そのため、あらかじめ期限に間に合わないことを想定して、スケジュールを組んでいます」と奥さん。
二宮さんは具体的な対処法を紹介してくれました。「相手の人格に対しては性善説、相手のオペレーションには性悪説が必要だと思います。相手の言う納期は(内心では)100%信じていません。ただし、確認方法についてはソフトな表現を極力使うことが重要です。「あなたの評価をより一層上げたいと思っている」といったニュアンスを伝えるようにしています」
5.賞賛は全員の前で、叱る場合は個別に
「業務における信賞必罰は必須です。褒めるときは徹底的に皆の前で褒め、叱るときは個室にて1対1で実施しています。また、交流が特定の社員など個人に偏らないようにランチには月に1回、自宅には年に1回は均等に招くように心がけています」(二宮さん)

「仕事・生活のインフラ」編
6.食材の冷凍保存は日本ほど当たり前にできない
「停電が多い上に夏の気温は50度を超えるため、出張などで家を長期に空ける際は生命線である日本から持ち込んだ牛・豚・魚が入った冷凍庫に、さらにアイスキューブを入れています。帰宅時にアイスキューブの形がなくなっていれば、停電があったことになるので中味はすべて廃棄せざるを得ません」(二宮さん)
7.取引先にはインドのネット事情の悪さを事前告知するほど
「ネット環境は悪いです。3Gで接続していても、日本人の感覚的には2Gで接続しているようなものなのでかなりストレスです。インドのネット環境がよくないことは取引先に事前に告知しておいた方がよいでしょう。ただ、日本人はネットがスムーズに使えて当たり前の環境にいるので、なかなか理解してもらえない難しさも実感しています。(奥さん)