2016年08月19日
日本企業必見!興隆アジアの新ビジネス事情
フィリピン進出の前に知っておきたい「ビジネス習慣10選」
労働者が強いフィリピンでのマネジメント方法:「労務」編
6. 人事・労務のトラブルが起こる前に人事のスペシャリストを雇うべし
「労務トラブルが起こりやすいのもフィリピンの特徴です。現地労働法制が労働者寄りになっているので、日本や他の東南アジア諸国ではトラブルにならないことでも、フィリピンだと労働管理局に駆け込みが発生することがあります。ニュースでも従業員に訴えられるケースをよく耳にします。特に私たち外資企業は弱い立場なので、注意すべきですね。対策としては、人事で決め事をしっかり作っておくこと。現地で事業を始めるときは、現地事情に詳しい人事のスペシャリストを雇えと言われたことを覚えています」(直鳥さん)
7. 解雇が難しいフィリピンでは全員をしっかり育てる教育が重要
「一般的に、フィリピンの労働法は労働者寄りのものなので、従業員を解雇するのが難しい環境と言えます。パフォーマンスを出せない従業員を解雇するということが難しい。だから、全員をしっかり育てる教育が重要になってきます。若手を育てていくという観点を持って、営業やオペレーションなど丁寧に教えることを心がけるようにしています。ローカルの会社と同じように即戦力となる中途採用を実施することもありますが、外から入ってきた人間に対してもともといたメンバーがついてくるのは難しい面もあり、今は若手からじっくり育てることを特に重視しています」(中澤さん)
日本流はそのまま通用しない:「人材マネジメント」編
8. 特定の従業員だけと仲良くなるとチームワークの乱れにつながることも
「従業員と2人きりで飲みに行くというのは禁止すべきです。これをやってしまうと、この従業員が『私は上司と仲がいいから、現地スタッフのなかでも偉い』という組織とは別のヒエラルキーを作ってしまい、社内のチームワークが乱れることにつながります。以前、副社長が現地の男性社員を気に入って、頻繁に2人で飲みに行くようになったのですが、結果、この男性社員がほかの従業員を従わせようとするようになったのです。それに気付いて止めようとしたら、その男性社員は精神病になってしまったんです。良いことは1つもないですね」(野口さん)
9. 言葉にセンシティブなフィリピン人。マネジメントは言動に気をつけるべし
「フィリピンのひとは言葉に対する敏感度合いが高いので、言葉遣いに非常に気を遣わないとだめです。できるだけ丁寧なコミュニケーションを取ることを心がけることです。私は従業員に何か頼むとき必ず『Could you kindly ~』と言うようにしています。英語に慣れない日本人は特に注意すべきで、命令口調や荒々しい口調は避けるべきですね」(野口さん)
10. 直接「ノー」と言わないフィリピン人。壁を取っ払う努力が必要
「フィリピンのひとは直接『ノー』と言うのを避ける印象があります。部下に仕事を頼むとたいてい『イエス、サー!』と言ってくれますが、別の従業員を通じて「実はこの仕事はやりたくない」と言っていることが伝わってくることもあります。現地では『サー』は「さん」くらいの意味なのですが、ここで日本人が勘違いをしてしまうと壁ができてしまって、従業員の本音が聞き辛くなるので、極力その壁をなくすような対応をすることが望ましいですね」(直鳥さん)
以上、フィリピンでのビジネス習慣10選を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。フィリピンだけに当てはまることではないですが、海外でビジネスをするときの鉄則は、現地の文化やひとを理解することと言われています。
今回ご紹介したビジネス習慣10選は、フィリピンのビジネス習慣やひとを理解して、日本の個人や企業はどう考え・行動するのが好ましいのかというヒントになったと思います。
若年層が多く消費意欲旺盛な国、フィリピン。この国の発展とともに拡大・成長する日本企業が増え、日本の活性化につながることを願います。
(取材・文:細谷元(Livit Singapore))