2016年12月08日
AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く
トランプ次期米大統領で、世界の産業界はどう変わるのか
2016年11月8日アメリカ合衆国大統領選挙において、世論調査を覆してドナルド・トランプ氏が勝利したことが、世界中に大きな波紋を及ぼしている。ビジネスマンとして荒波を乗り越えながら巨万の富を築いてきた、成功の秘密とは?トランプの危機管理術や交渉術を分析し、今後の世界でどこに追い風が吹くかを予測してみた。ビジネスの新潮流に乗り遅れないように今から準備しておこう!
トランプ氏勝利と各国の反応
ドナルド・トランプ氏の当選が伝えられると、アメリカと同盟関係にある諸国からは祝辞の中にも慎重な態度が滲み出ている一方で、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相やフランスのマリーヌ・ルペン国民戦線党首など極右派の政治家からは早々と称賛が寄せられた。トランプ氏当選による各国の反応を地域ごとにまとめてみた。
まず欧州では、トランプ氏の勝利によって幕を開けた「不確実性の時代」(フランソワ・オランド仏統領)に対応するために「団結」しようとの気運が高まっている。
それに対しアジアは、「中米関係を高度に重視」(習近平国家主席)、「日米両国は揺るぎない同盟国」(安倍晋三首相)、「米韓が協力して北朝鮮に圧力をかける方針は不変」(パク・クネ大統領)と、二国関係を重視。
中東ではイスラエル、パレスチナ自治政府がともに「次期大統領と(平和に向け)協働」をアピールした。
「国境に壁を建設し、その費用を払わせる」というトランプ氏の公約に対して矢面に立たされたメキシコは、祝意と協働姿勢を示す一方で「壁の費用負担はわれわれの構想にはない」(クラウディア・ルイスマシュー・サリナス外相)と拒否。
国境に壁といえば、カナダのソーシャルメディア上には、米国人を締め出すために米国との国境に壁を築こうとジョークを飛ばす投稿もあふれた。(2) 実際、トランプ氏の勝利が確実になってきた11月8日遅く、移住方法を調べようとカナダ移民省のウェブサイトにアクセスが殺到し、一時ダウンする騒ぎまであった。カナダ側でも不動産業者や過疎地域の自治体は、顧客獲得や人口増加につながると歓迎している。