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2017年01月12日

AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く

世界の防災技術と防災ビジネスの可能性

 互いに地続きの欧州諸国では、隣国の災害への関心が高く支援も積極的になる。しかし情報と経済がグローバル化している現代社会で、たとえ地球の裏側で起きている災害でも他人事としてはおけない状況である。そのような中で、地震先進国・日本から防災・減災を学ぼうと、世界中が注目している。

2016年に世界で起きたM6以上の地震

イタリア北部マラネロのフェラーリ本社で、警察犬と「握手」するアンゲラ・メルケル独首相(2016年8月31日撮影)。©AFP/GIUSEPPE CACACE−−【9月1日 AFP】ドイツのメルケル首相は8月31日、イタリア中部で300人近くが犠牲になった地震で倒壊した小学校の再建を、ドイツ政府が支援すると約束した。(1)

 2016年、欧州で起きた大地震といえば、イタリア中部で8月24日にM6.2の地震により約300人が死亡した記憶も真新しいうちに、また10月26日にもM5.5、M6.1、そして同月30日朝にはM6.6の強い地震が発生した。1万5000人以上が家を失ったのみならず、数々の歴史的建造物が受けた被害も甚大であった。

 2016年には、世界中でM6以上の地震が相次いでいた。

日付 場所 マグニチュード(M)
2016/1/4 インド 6.7
2016/1/25 モロッコ沖 6.1
2016/2/6 台湾南部 6.4
2016/3/3 インドネシア沖 7.8
2016/4/11 アフガニスタン北東部 6.6
2016/4/14 熊本 6.5
2016/4/16 熊本 7.3
2016/4/17 エクアドル 7.8
2016/7/30 北マリアナ諸島 7.7
2016/8/24 イタリア中部 6.2
2016/8/25 ミャンマー沖 7.8
2016/9/2 ニュージーランド沖 7.1
2016/10/17 中国北西部・青海省 6.4
2016/10/26 イタリア中部 6.1
2016/10/30 イタリア中部 6.6
2016/11/14 ニュージーランド 7.8
2016/11/22 福島県沖 7.4
2016/11/25 エルサルバドル沖 7.0
2016/11/26 中国新疆ウイグル自治区 6.5
2016/12/7 インドネシア・スマトラ島 6.5
2016/12/9 ソロモン諸島 6.9
2016/12/17 パプア・ニューギニア沖 7.9

 (AFPBB News記事より表作成)

 もはや地球上のどこも安全とは言い難く、防災・減災はグローバル課題である。

世界が注目する地震先進国・日本発の防災技術

 嬉しくない呼称ではあるが「地震先進国」日本の動向に世界が注目している。

 11月22日の福島県沖地震と津波を各国メディアがこぞって速報したのもそれ故である。フランスのAFP通信をはじめ、米CNNテレビ、英BBC放送、中国ニュースサイトの新華網や人民網、台湾の中央通信も相次いで速報した。(2)

 そんな中で、日本人研究者や研究チームが欧米の学会で注目されている。

 地震予知の分野では8月、東京大学と東北大学の地震学者チームがこれまで確認されたことのなかった地球深部の地震波「脈動S波」の検出に初めて成功したと米科学誌「サイエンス」が発表、地震や海上の嵐の検知に役立つ可能性への期待が高まった。(3) 9月にも、巨大地震の発生確率は大潮の時期に上昇するという東大チームによる研究結果が英科学誌「ネオ・ジオサイエンス」に発表され、話題になった。(4)

 災害時の救助や復興を支援する技術の分野も期待されている。4月に千葉市美浜区の幕張メッセで開催された、小型無人機(ドローン)の最新技術や機体を紹介する第2回「国際ドローン展」会場では、特に災害支援やインフラの点検、空撮、測量を目的としたドローンが注目を集め、実用例の紹介や飛行デモンストレーションが行われた。

【4月22日AFPBB News】千葉市美浜区の幕張メッセで昨年開催された、小型無人機(ドローン)の最新技術や機体を紹介する第2回「国際ドローン展」。©AFPBB News(5)

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