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2017年03月24日

AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く

高齢化社会と介護の狭間で ICT活用が示唆するワークライフバランスの実現

女性のワークライフバランス実現にむけて

 2010年、厚生労働省は民間事業者にそれまで禁止していた診療記録の外部保存を認めることとした。それによって医療分野における民間事業者によるクラウドコンピューティングを活用した動きがすでに始まっている。

 日常の患者の容体を、医療・介護従事者や患者家族間で共有できる多職種コミュニケーションサービスや、医療機関からのリアルタイムの指示、回答を可能にするサービス、お薬手帳の電子化、24時間見守り支援サービスなど、地域包括ケアシステムの実現にむけてのサービスが進んでいる。そしてさらに介護分野をサポートするもう一つの強力な味方が人工知能(AI)である。

中国・上海での会議に登場した、中国科学技術大学のチームが開発した人型ロボット「佳佳」(2017年1月9日撮影)。©AFP/Johannes EISELE

 人間型ロボット「佳佳」は、人工知能(AI)搭載し簡単な会話や一定の表情を作ることもできる。中国国内でも今後は高齢者介護のために多くの人材が必要になると考えられている。佳佳のようなロボットが、近い将来医療機関や介護施設で患者をアシストするようになるという。(7)

 また東京ビッグサイトでは「ジャパンロボットウィーク」が開催され、介護や福祉、ものづくりの現場で活躍するロボットが集結。育児支援や高齢者の見守りなど、遠隔地から生活を支援するロボットが紹介されるなど、今後のAIに向けられる視線は熱い。(8)

 これらの人工知能(AI)や、地域包括ケアシステムが整備されれば、介護の主な担い手である女性の社会参加の可能性はむしろ増えると見るのは楽観的だろうか。あるいはICTの活用によって、在宅勤務など様々な働き方の可能性、働き方改革へと反映されていくのではないだろうか。女性だけでなく男性にとっても、ワークライフバランスの実現する日がそう遠くないことを期待したい。

(文/有限会社ラウンドテーブルコム Active IP Media Labo、写真/AFPBB News)

(1) AFPBB News 関連記事(2016年9月6日)「10人に1人が100歳以上、イタリア「長寿村」の秘密 研究

(2) 首相官邸ウェブサイト「社会保障制度改革国民会議報告書(概要)平成25年8月6日」

(3) AFPBB News 関連記事(2015年11月4日)「自殺した米俳優R・ウィリアムズさん、「認知症だった」妻明かす

(4) AFPBB News 関連記事(2015年8月25日)「世界の認知症患者、2050年に3倍 報告書

(5) AFPBB News 関連記事(2013年12月12日)「G8認知症サミット開催、25年までに治療法の確立目指す

(6) AFPBB News 関連記事(2013年11月28日)「詩の朗読が認知症患者の記憶に好刺激、英施設で実践3倍 報告書

(7) AFPBB News 関連記事(2017年1月10日)「中国の未来を救う? ヒューマノイド「佳佳」に寄せられる期待

(8) AFPBB News 関連記事(2016年10月19日)「福祉から災害救助まで、ロボット勢ぞろい「ジャパンロボットウィーク」

AFP通信(Agence France-Presse)
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