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AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く

働く環境と保育事情、世界では今
~ワークライフバランス推進を目指して

2017年04月18日

【4月1日 AFP】都内の羽田空港で、日本航空(JAL)グループの入社式に臨む新入社員ら(2016年4月1日撮影)。©AFP/KAZUHIRO NOGI(1)

 「働き方改革」という言葉は、2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、一億総活躍社会を実現するための横断的課題として登場した。(2) 働き方で今最も深刻な課題は長時間労働であり、毎年多くの人が過労死で亡くなっている。既に英語でも「Karoshi」で通じるが、依然として後を絶たない過労死のニュースは、世界の人々を驚かせている。(3) 欧米など海外と日本の違いは何だろう。環境と意識の両面から改革する必要がありそうだ。

仕事は「立ってする」?

 まず、環境面から働き方を考えてみよう。日本のオフィスでは以前は、役員などを除けば、席次が決まった大部屋で課の単位で島を作って仕事する「島型」が一般的であった。それに対して欧米では、机と机の間に仕切りがあり、プライバシーへの配慮がある。企業管理職は個室が与えられる等、スペースに関して、オフィスの環境は日本と欧米でかなり異なっていた。しかし近年、日本でも徐々にアドレスフリーのオフィスなども増えつつあり、ノマドな働き方を実践するための環境としてコワーキングスペースの増加など我々の仕事の環境は大きく変わっている。

米首都ワシントン(Washingon, DC)にあるRebel Desk店内で、スタンディングデスクとトレッドミルの使い方を説明する共同創業者のキャスリーン・ヘール(Kathleen Hale)氏(2014年5月7日撮影)。©AFP/FABIENNE FAUR(6)

 仕事をする時や会議の際、日本人は椅子に座っている時間が世界で最も長いという調査結果が出ている。日本を含む20カ国を対象にした平日座位時間の国際比較研究で、日本は座位時間が長いグループになり、1日あたり9時間以上座っている人が約3分の1を占める結果になった。また男女間の差はなかったと報告している。(4) 椅子に長時間座ると健康に悪影響を及ばす。一日の総座位時間が長くなるにつれて総死亡リスクが高まるという報告もある。(5)

 このため、最近では昇降可能な机が発売されるようになり、立ったままで仕事や会議を行う企業があるようだ。会議の時間短縮にもつながる。アメリカでも、立ちながら仕事をすることの効果について研究が進んでいる。

日本人はチームワークが本当は得意ではなかった?

 大部屋や島型のオフィスで働くことが多い日本人は、オフィス内でのコミュニケーションが円滑に図られ、チームワークが良いと以前から信じられてきた。逆に個室が多く、プライバシーを尊重するオフィスで働く欧米人は個人主義でチームワークはあまり得意ではないと思われがちだ。しかし、法政大学の武石教授によれば、日本とイギリスで職場や働き方に関するアンケート調査をして比較したところ、イギリスの方がチームワークに対する意識が高いことが示されている。(7)

 もしかすると、日本人はチームワークに対する意識があまり高くないことからオフィスを大部屋の島型にレイアウトすることでミスコミュニケーションを防ぐようにしたのかもしれない。これに対して、アメリカでは1950年以前は学校の教室のようなブルペン型、以後は情報の流れやコミュニケーションなどを考慮したオフィスランドスケープになった。プライバシーを守るために以前は壁で仕切る必要があったが、様々なオフィス家具が考案されてパーティションを工夫するようになり、さらに通信テクノロジーの進歩により、アクションオフィスが登場した。現在では日常的にPCやインターネットを使ってコミュニケーションを図ることから、欧米も日本も同じくネットワーキング型になり、フリーアドレスや社外でのコワーキングスペースが出現してきた。この流れにともない、日本でも欧米でもプライバシーを慎重に取り扱う必要性が大きくなっている。

 こうして働き方の歴史を振り返ると、オフィスのレイアウトや家具の変化と相互作用関係にあることがわかる。さらにインターネットに代表されるテクノロジーの発展により、ハード面での環境は日欧米での差が減少し、将来もますます小さくなるだろう。では、ソフト面ではどうだろうか。

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