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確定申告やコンビニ交付だけじゃない!
急速に広がるマイナンバーカードの最新活用例とは?

 交付枚数も約1200万枚と、全人口のおよそ10人に1人が所持しているマイナンバーカード(2017年5月現在)。2018年には健康保険証としての利用が始まるほか、ICチップ内の電子証明書や空き領域等を利用した民間活用も増加しており、今後、さまざまな分野での利活用拡大が期待されている。全国で広がるマイナンバーカードの活用の実例と今後の可能性について、NECのキーパーソンに話を聞いた。

NEC 番号事業推進本部
本部長 小松 正人

SUMMARY サマリー

マイナンバーカードの活用シーンが拡大

 マイナンバーカードの用途拡大の動きが加速している。当初はコンビニでの各種証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書など)の交付やe-Taxによる確定申告での電子署名、身分証明書代わりの活用がメインだったが、2018年度からは健康保険証としての活用が開始される予定のため、今後も利用者が増えると予想されている。こうした動きの背景にあるのは政府が行うさまざまな政策だ。政府では"マイナンバー制度を利用して公平公正な社会の実現や我が国全体の生産性向上"を目指しており、この実現のために、官民含めた事務手続のオンライン化推進に必須となる「マイナンバーカード」の普及が欠かせないと考えているのだ。

 「マイナンバーカードを健康保険証として使う政策は2018年度から段階的にスタートし、2020年度から本格運用される予定です。また、総務省はマイナンバーカードの利用者証明機能をスマートフォンのSIMカードに書き込んで使う実証実験を行っており、早ければ2019年から実用化されます。将来、我々が常時携帯するのはICカードではなくスマートフォンとなっていくでしょう。マイナンバー自体が付いたカードを持ち歩かずに、安全に便利な機能だけを使えるようになるわけです。こうした用途拡大や盗難・紛失時の悪用を防ぐ仕組みが確立されたことで、マイナンバーカードの普及が一気に進み、いずれ持っているのが当たり前という時代が到来するでしょう」と語るのは、NEC番号事業推進本部本部長の小松正人だ。

 マイナンバーカードは厳格な本人確認が行えるツールとして有効に機能する。そのため運転免許証に代わる身分証明書としても活用されているが、地方公共団体や企業ではICカードにアプリケーションを内蔵し、職員証・社員証として活用するケースが出始めている。

 「マイナンバーカードに本人を識別するためのIDを記録したアプリケーションを搭載することで、公務員の職員証や企業の社員証として使うことができます。施設の扉に設置したICカードリーダーなどにマイナンバーカードをかざせば、権限を持った利用者だけが入退場できるようになるわけです。NECは内閣官房に、マイナンバーカードを全府省統一の国家公務員身分証として利用できる共通発行管理システムを納入しており、中央省庁では2016年4月から庁舎などへの入館にマイナンバーカードを使い始めています。地方公共団体でも2017年6月、徳島県が都道府県では初めてマイナンバーカードを職員証に採用し、NECの入退管理システムを利用し特定エリアへのセキュアな入退管理を実現しています」(小松)

マイナンバーカードによる入退室イメージ

 一般的に、職員証や社員証などのICカードを作製するには、1枚あたり数千円の媒体費用がかかる。このため膨大な人数を擁する組織では、カード作成のコストだけでかなりの費用負担となる。その点マイナンバーカードは国が当面の間は無料で交付するため、カードの作製費がかからない。さらに、厳格な本人確認をした上で発行されているため、PCログインや勤怠管理、複合機認証といった組織内での多目的利用を考える上でも安心して利用できるメリットがある。生体認証を組み合わせれば複数要素での本人認証も可能となるため、セキュリティ強靱化策の一環としても有効だ。既にNECには内閣官房や徳島県への先行導入が高く評価され、多くの地方公共団体からマイナンバーカードを職員証として利用したいという引き合いが来ているという。