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2017年09月28日

地方創生現場を徹底取材「IT風土記」

島根発 「Edtech」が離島を活性化 全国が注目する海士町の地方創生戦略

 島根県の隠岐諸島にある海士町(あまちょう)が取り組む教育による町おこしが注目を集めている。島にある県立隠岐島前(おきどうぜん)高校の生徒たちの学習支援のため公立の学習塾を設立。最新ICT技術を積極的に取り入れ「遠隔授業」を行うなど独自教育プログラムを展開している。こうした取り組みが評価され、一時は廃校も危惧された高校には全国から生徒が集まるようになり、町の活性化の大きな原動力になっている。

海士町の玄関口、菱浦港

600キロ離れた高校との討論

 「今回のテーマはODA(政府開発援助)です。インドネシアとアフリカのルワンダ、どっちの国を優先させるべきだと思いますか。その理由も含めて考えてみましょう」

 海士町にある公立の学習塾「隠岐國学習センター」は今年7月、NECネッツエスアイが提供する「SmoothSpace(スムーススペース)」を利用して宮崎県えびの市の県立飯野高校と「遠隔授業」を行った。当日は、隠岐島前高校の生徒4人が参加。生徒たちの前には、壁2面にL字型にスクリーンが備え付けられている。スクリーンには、島から約600キロ離れた距離にある飯野高校の生徒たち。講師が投げかけたテーマについて、双方の生徒たちが意見を述べ合った。

築100年の古民家をリニューアルした隠岐國学習センター。センター裏手の丘の上に隠岐島前高校がある

 「ルワンダは遠いので支援をしても日本にリターンは期待できない。インドネシアの方がいいと思います」
 「インドネシアは経済的にそれほど困っていないのでルワンダを優先した方いいと思います」

 日本に近いインドネシアと日本から遠いルワンダとの比較を通じて、日本が途上国に対して経済的な支援を行うODAのあり方について考える授業だ。

 この「SmoothSpace」とは、大型スクリーンとプロジェクションマッピングの技術を活用したもので、離れた空間同士を等身大で投影できるため、臨場感持って接続することができる。SmoothSpaceでスクリーンに映し出された飯野高校の教室は立体感があり、まるで同じ教室で机を並べているような感覚になる。

L字スクリーンを使った宮崎県立飯野高校の生徒たちとの遠隔授業の様子(隠岐國学習センター提供)

 参加した隠岐島前高校2年の青山みずほさんは「600キロも離れているのに、普通に授業が受けられ、友達に話しかけるように会話や意見交換ができるんです。初めて遠隔授業を受けた時は本当にびっくりしました」。同学年の加藤千翔(ちか)さんは「最初はインドネシアを優先すべきと考えていましたが、飯野高校の生徒たちの意見を聞いて、ルワンダへの支援も大切だと感じました。説得力のある意見でした。自分にない考えを知るきっかけになりました」と遠隔授業による意見交換で大きな刺激を受けたようすだった。

遠隔授業に参加した加藤千翔さん(左)と青山みずほさん。飯野高校の生徒たちとの授業に大きな刺激を受けている

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