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2019年01月29日

空の産業革命に不可欠な、安全・安心な“空の道”

 社会のあらゆる分野で活用が期待されるドローン。しかし、その実用化を進めていく上では、まだまだクリアすべき課題も多い。特に重要なポイントとなるのが、予期せぬ衝突事故などを防止し、安全・安心な飛行を実現するための仕組みづくりだ。NECでは、長年にわたり航空管制システム事業に取り組んできた経験を活かし、「ドローン運航管理システム」の開発プロジェクトに参画。未来の“空の道”を切り拓く取り組みを進めている。

同一空域を飛ぶ大量のドローンの安全運航をどう担保するか

 ふと何気なく空を見上げると、いろいろな形をしたドローンが空を飛んでいる。ある機体は誰かに届けるための荷物を抱え、また別の機体には高精細カメラが装備され、設備に異常がないか点検作業を行っている──。本格的なドローン時代が到来すれば、こうした風景もごく日常的なものとなることだろう。ただし、現実的な問題を考えると、その前に必ず作り上げておかなくてはならないものがある。それは、用途や目的、事業者の異なる数多くのドローンを安全に飛行させるための運航管理システムだ。

 「もし現在の物流システムがすべてドローンに置き換わった場合、1平方kmの狭い空域に、1時間当たり100機もの機体が飛び交うことになります。当然、ドローン同士の接触事故や、無許可ドローンが迷い込む事態も考えられますし、各事業者の飛行計画調整なども行わなければなりません」とNECの西沢 俊広は指摘する。ドローンの安全・安心な活用に向けては、こうした懸念を解消するための運航管理システムが不可欠なのである。

NEC
未来都市づくり推進本部
ロボットエバンジェリスト
西沢 俊広

 そこでNECでは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」の1テーマである「安心・安全で効率的な物流等のサービスを実現する運航管理システムの研究開発」に参画。民間企業5社の共同で、ドローン運航管理システムの実装/実証に向けた取り組みを進めている。

飛行計画の競合を解決し、安全な飛行が行えることを実証

 現在、研究開発中のドローン運航管理システムは、機能面で大きく2つの層に分けられる。まず1つは、通信キャリアや通販会社といったドローン運航事業者が用いる「運航管理機能」。そして、もう1つは、各事業者からの要請に対しドローンの飛行空域を割り振ったり、飛行許可を出したりするための「運用管理統合機能」だ。後者はさらに「フライト情報・飛行計画の管理」「空域情報の管理」「運航状況の管理」の3つの機能で構成されており、NECでは最初に挙げた「フライト情報・飛行計画の管理」の開発を担当している。

運用管理統合システムによる飛行計画調整の概要
大量のドローンを安全に運航させるためには、それぞれの飛行計画が競合しないよう適切に管理する必要がある。この役割を担うのが、NECも参加する運用管理統合システムだ
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 最終的には、これらの機能を連携させてドローンの安全な飛行を担保するわけだが、実際にドローンを飛ばしてみないことには具体的な問題点も見えてこない。そこで、福島県の南相馬市・復興工業団地内に整備されている東西約1000m、南北約500mの「福島ロボットテストフィールド」でさまざまな状況を想定した飛行試験を行っている。

 「2018年夏に実施した飛行試験では、特定空域において複数の飛行計画が競合する場合の飛行計画調整機能を検証しました」と西沢は話す。そのシナリオは概ね次のようなものだ。

  1. 「物流」「災害調査」「通信塔点検」と異なる目的を持つ3機のドローンが飛行を申請
  2. 飛行計画のルートや離陸時間が重なりあうことを運航管理統合機能が検知
  3. 計画の見直しを各事業者の運用管理機能に指示して重複を解消
  4. 気象条件も確認し離陸を許可

 この飛行試験は無事成功し、それぞれのドローンが時間をおいて順番に離陸する様子が確認されている。

 「今後の飛行試験では、福島ロボットテストフィールドで災害調査、警備、物流、郵送といったの4つの目的を持つドローン10機を飛ばすことを検討中です。機体の数が増えると、人の判断では間に合わないため自動化が必須です。将来的には13km離れた隣の浪江町へもドローンを飛ばし、目視外での試験も行いたい」と西沢。こうした地道な取り組みを1つずつ積み重ねることで、「安全な未来の空の道」が見えてくるのである。

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