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2017年09月19日

パラレルキャリアで叶える、これからの働き方と生き方

みんなが魅力に気づいていないものを、いかにして売れるものに変えるか

──今、ソニーではどんなお仕事をされているんですか?

正能氏:
 「世の中の人に、こういう体験を届けたい」というアイデアをまずは考え、それを社内の技術とかけ合わせて、実現の方法や商品を考える、新商品検討の仕事に携わっています。

 最近は、おうちでゴロゴロしながらスマホで動画を見るときに、いつも手が疲れてしまうので、何とかならないかなと考えたり。自分だったらどんなものがほしいかなと考え続けることがお仕事です。

──言わば「社内ユーザー」ですか?

正能氏:
 どちらかというと「社内一般人」ですね。社内には技術動向や知識力に長けているプロフェッショナルな方がたくさんいるので、そこに「え、それって私たちの生活の中でこう使えるかも!」というエンドユーザーの方の感覚やニーズを掛け合わせていくイメージです。

──ハピキラで今なさっていることについても教えていただけますか?

正能氏:
 地方にある「見た目はイマイチだけど、中身がイケてるもの」をかわいくして、発信・販売しています。こうお話すると、デザインの会社だと思われがちなのですが、デザインだけを変えたところで売れるわけではないので、「つくる」「広める」「売る」をセットでやることで、「きちんと売れるもの」をつくることにこだわっています。

 初めて手がけた商品は、小布施の銘菓「栗鹿の子」です。味はすごくおいしいのですが、なかなか若者が手に取る機会がなかったので、バレンタイン用ギフト「かのこっくり」としてプロデュースし、渋谷のPARCOで2000個を手売りしたのが、最初のお仕事です。

 このお仕事を通して気づいたのは、どんなにいいものをつくっても、それが世の中に知られて、売れる販路にのらない限り、その商品は売れないということでした。この経験から、「つくる」「広める」「売る」をセットでやるようにしています。

長野県小布施町とハピキラの取り組みでは農家とお客様を直接つなぐフルーツBOXをプロデュースし販売

──ソニーとハピキラはどうリンクするのでしょうか?

正能氏:
 ハピキラで取り組んでいるのは、「まだ世の中にはあまり知られていないけれど、これは需要があるのではないか」というものを発掘して、見た目やコンセプトを整え、それが価値になりそうな環境・ターゲットに当てていくというお仕事です。ソニーではアプローチが逆で、まず適切なユーザーニーズや届けたい体験を考え、そこから商品がどうあるべきか、実現のために何が必要か/活用できるかを考えます。

 アプローチは逆ですが、それぞれでのステップでの経験やノウハウは生かせる部分もあります。そして、そのチャレンジそのものが自分自身の成長につながっているとも感じます。

メリットは人とのつながり、デメリットは時間の使い方の難しさ

──パラレルキャリアのメリット、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

正能氏:
 圧倒的なメリットは、人とのつながりです。「ハピキラの正能」が会える人と、「ソニーの正能」が会える人は全然違います。たとえば「ハピキラの正能」としては「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」の委員を務めさせていただく中で、大臣や知事にも意見が言えるものの、「ソニーの正能」にはそれはできません。しかし、そこで知り合った人たちとは「ソニーの正能」としても仕事ができます。これがパラレルキャリアの面白いところです。

──デメリットはいかがでしょうか?

正能氏:
 デメリットというよりもこれは課題ですが、時間の使い方が難しいことです。何にどれだけ時間を使うかをしっかり考えないとすべてが中途半端になってしまうので、私の場合は「人生配分表」というものをつくっています。

 ソニーの仕事とハピキラの仕事と家族と友達と彼氏、それぞれに自分の人生の何%を使うかを決めています。それをグーグルカレンダーで色分けして、見える化して、日々管理しないとどれかに偏る恐れがあります。

──同時に会社の理解がないとできないのではないでしょうか?

正能氏:
 私のような働き方はいくら世の中に「いい」と言われ、社長に「いい」と言われても、最終的には現場の一緒に働いている人たちがどう感じるかがすごく大切だと思っています。だからこそ、現場にとってのメリットもしっかりと示さないといけません。幸い私はソニーが2社目なので、「こういう働き方をしたいのですが、雇ってもらえますか?」という前提で入っていますから、その前提で議論できるのはありがたいですね。何か問題が起きた時、「それでも守る」という上司がいてくれるのも本当にありがたいことです。

──本業と副業という考え方についてはいかがですか?

正能氏:
 ソニーとハピキラのどちらが本業なのかとよく聞かれるのですが、どっちも正能茉優の人生だから、どちらも大事です。(笑)昔はあくまでもハピキラがメインと思っていましたが、今はどっちが主、どっちが優先ということはありません。

自分の人生の主人公は自分という強い意志を持って進みたい

──これから正能さんのような働き方をしようとしている人や、そういう人を雇おうとしている人に何かメッセージはありますか?

正能氏:
 私はパラレルキャリア推進派というわけではありません。個人的には「ビュッフェキャリア」と呼んでいるのですが、好きなことを好きなバランスで、好きなだけやるのが幸せの基本かなと思っています。

 私は単純に、ソニーのお仕事も、ハピキラのお仕事も、両方やりたいからそうしているだけで、サラリーマン一本の人がいても、経営者一本の人がいても、本人が「そうしたい」と思っているのであれば、それが素敵なことだなと思います。

 ただ、現状では、今の私のような働き方をしている人もなかなかいないので、どうしたらいいのか分からない会社もたくさんあると思います。だからこそ、私のような存在が色々と実践していく中で、ひとつずつリスクを把握して、それに対応するルールをつくっていって、こういった働き方もできる世の中になったらいいなと思っています。そういう意味では、ファーストペンギン的な自覚は持っていますね。

──将来的に「こうなりたい」というものはありますか?

正能氏:
 そういう気持ちは、正直ないんです。ただ、好きな場所で好きな人と好きなように暮らしたいので、世界中どこにいても「正能茉優」としてお仕事を頂けるようにしておきたいなとは思っています。

 ハピキラで楽しいのは、自分の好きなことをやっているだけなのに、それが誰かの助けになったり、喜ばれたりして、お金ももらえる自分の好きなことをしていると、結果として世の中が良くなった、という生き方をこれからもしていきたいです。私は「いつの間にかヒーロー」と呼んでいます。

──最後に読者のみなさんにメッセージをいただけますか。

正能氏:
 自分の人生の主人公は、間違いなく、自分です。だからこそ、自分の好きなことを、好きなバランスで、好きなだけやって生きる権利が、私たちにはあると思います。もちろん、いいことも悪いこともありますが、それでいいんです。だって、最終的に自分の人生の成功を決めるのは、自分だから。たとえ失敗しても、自分が「これで成功」と納得できるまでやり続ければいい。でも、やり続けるには、自分のことを信じ続けてあげることが必要です。だからこそ、私も、自分の好きなこと、そして自分の信じられることと真正面から向き合って生きていきたいなと思います。

──本日はお忙しいところありがとうございました。

(聞き手:ビジネス+IT編集部 佐藤友理、執筆:桑原 晃弥)

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