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2017年03月28日

次世代のインフラ点検でライフラインを健全に保ち
スマートな社会の実現を目指す

 産業や人々の生活を支える重要インフラの老朽化はどの国でも避けて通れない課題だ。インフラ整備がいち早く進んだ先進国の多くは、その課題を今まさに突きつけられている。安全神話に支えられ、数十年から100年前のインフラがそのまま運用されているケースも少なくない。問題が起きてから対処するやり方では経済は停滞し、人々の安全は脅かされる。NECは先進のセンサー技術やAIを活用することで、重要インフラの保全をサポートし、持続可能な社会の実現に貢献する。

インフラ保全の財源不足と人手不足が深刻に

 先進国を中心に道路、上下水道、港湾、空港、ダム、堤防など重要インフラの老朽化が大きな社会問題になりつつある。産業革命を牽引し、いち早く工業化を成し遂げたヨーロッパの先進国には、100年以上前に造られた“現役”の鉄道橋や水道管が少なくない。また米国の橋の平均建造年数は42年、ダムのそれも52年と言われる。これを受け、全米土木学会(ASCE)は国内にある約1万4000のダムを「極めて危険」、約15万1200の橋を「不完全」と格付けした。

 老朽化したインフラは危険であるばかりでなく、私たちの生活や経済にも大きな影響を及ぼす。例えば、道路の老朽化は事故や交通渋滞の引き金になる。それによって失われる時間や燃料はコストとして私たちに跳ね返ってくる。発電所が停止すれば、鉄道は運休せざるを得ず移動の手段を奪われる。日常生活も仕事も大混乱し、経済活動はストップする。

 各国首脳や国際機関トップらと経済界が交流するG20ビジネスサミットの試算によると、全世界のインフラを一定水準にまで整備するためには、2030年までに最低でも15兆ドル(約1817兆円)が必要だと言う。しかし、先進国の多くはGDPが伸び悩む一方で社会保障費が増大し、財源の確保は極めて難しい。従来のような“スクラップ&ビルド”ではインフラ整備は進まない。

 重要になるのが、現存のインフラをいかに長く使うかという“サステナビリティ”の視点である。国連で策定された「持続可能な開発目標(SDGs)」がそれを象徴する。社会・経済・環境面における「持続可能な開発」を目指すもので、国際社会共通の目標だ。この中には重要インフラの“サステナビリティ”の確保も盛り込まれている。

 問題はその方法論だ。重要インフラはベテラン技術者の技能によって支えられてきた部分が大きい。しかし、先進国では社会が成熟化し、人口も微増か横ばい、中には減少傾向の国もある。長く現場を支えてきたベテラン技術者が少なくなる一方、若手の育成が追いつかず、技能継承がおぼつかなくなっているのだ。

 例えば、地下に埋設された水道管の点検は、水流の音を聞き分けるベテラン技術者の聴覚に頼ってきた。高所・難所での打音検査を安全に実施するためには経験とノウハウが欠かせない。こうした“財産”が引き継がれず失われてしまうと、重要インフラの保全はますます困難になる。

水道管の漏水箇所をピンポイントで検知する

 社会価値創造型企業であるNECは、先進のセンサーネットワーク技術やデータマネジメント技術を駆使し、重要インフラの“サステナビリティ”の向上に貢献する。インフラの状態の見える化を実現するとともに、データの時系列分析による新たな付加価値の創造が可能になり、人材不足や技術不足を補う切り札になる。

 例えば、人の手が届きにくい上水道の管理には「漏水監視サービス」が有効だ。日本国内向けのサービスではあるが、漏水検知分野の専業メーカーとして世界トップクラスの技術と実績を有するGutermann社との協業によって提供されている。

 地下に埋設された水道管のマンホール部の消火栓や仕切弁に、容易に取り外しが可能なセンサーを設置し、その振動を計測することで漏水を検知する。マンホール内部にセンサーを設置するだけなので、特別な工事は不要だ。センサーユニットのバッテリーは連続5年間の使用が可能で、交換の手間をかけずに長期運用できる。

 最大の特長はセンサーデータをクラウドで管理・分析する点だ。複数のセンサーの情報(漏水特有の振動)を相関分析することで、約1メートル範囲内で漏水疑義箇所を特定する。その位置をWeb画面の地図上で表示することも可能だ。

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 水道管は地下に埋設されているため漏水の発生箇所の特定が困難で、数ヶ月以上にわたって放置されることも少なくない。しかし、このサービスを使えば、発生から1週間以内に検知・対処することが可能になる。漏水被害を初期段階で食い止め、他の地下埋設施設への影響や道路陥没など二次被害の防止に役立つ。住民からの通報や専門保守員が現場で発見していた漏水を早期に検知することで、住民の安心感が高まり、自治体のイメージアップにもつながる。

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