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2016年03月30日

インダストリー4.0最新動向、日本・ドイツ・アメリカが目指す未来とは

ドイツ企業のキーパーソンが集結。インダストリー4.0に日本企業はどう備えるべきか(前編)

日本企業の強さは徹底的な顧客志向、なぜそれをものづくりに活かせないのか

――日本企業の弱みと強みについてご意見をお聞かせください。

馬場氏:
 弱みはスピードがないことです。しかし、それは仕方ないと思います。品質や継続的な改善と表裏一体ですから。一方、アメリカはスピードは速いがあきらめも早い。ドイツは日本と似ています。日本人と同様に熟慮型で、品質を落としてまでスピードを追い求めようとはしません。ただ、マーク・ザッカーバーグが「Done is better than perfect(完璧を目指すよりまず終わらせろ)」と言ったように、アメリカの価値観を一生懸命、取り入れようと努力しています。個人はともかく、法人がグローバル化するためには、無国籍化は重要なテーマだと思います。

SAPジャパン
バイスプレジデント
Chief Innovation Officer
馬場 渉 氏

 一方、日本の強みは「顧客志向」でしょう。日本人は、悪く言えばまわりを気にして生きているから「自分はどうしたいのか」が個人も企業もはっきりしない。しかし、相手を観察し、相手を満足させるために徹底的に尽くす点では、日本人は非常に優れています。ただ、ものづくりになると、なぜかその日本人にエラーが起きる。相手がその品質をどう感じるかを無視して、過剰品質でも気にしないですね。

長島氏:
 私も弱みはスピードだと思います。日本人は、それぞれの工程を突き詰めるのは得意ですが、自分のやっていることを伝えるのは不得意です。だから、他の人とベクトルが合わない。その結果、最終的にできたものが、過剰なのか足りないのかわからなくなるのでしょう。これまでは、途中でそれを調整する人がいて何とかやってきましたが、そのやり方ではスピードが上がらない。この日本的なやり方が限界にきていると感じます。

島田氏:
 日本人の強みは「こだわり」だと思います。そんなところにこだわる必要あるのかというところにまで徹底してこだわる。それは強みですから捨ててはいけません。一方、アメリカは「割り切り」です。英語で言えば「good enough」ですね。「こだわり」は諸刃の剣でもあります。こだわらないで良いところにまでこだわると、膨大なムダが生まれるからです。 食品ロスの問題などは典型的です。日本人一人ひとりのちょっとしたこだわりが、膨大なムダを生んでいる可能性があるのです。しかし、そのこだわりのおかげで生まれるものもたくさんある。ですから、こだわるところとそうでないところを分けるべきです。いままでのように、すべてにこだわる余裕は、もうありません。

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