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新無線通信技術「LPWA」とIoTで、配送業務を効率化
―LPガス業界の課題解決に向けた新たな取り組み

2017年10月04日

 エネルギー業界は、都市ガスや電気の自由化の波を受け、異業種参入による競争の激化をはじめとした大きな環境の変化に直面している。以前から販売が自由化されていたLPガス業界においてもその影響や危機感は無縁ではない。

 こうした市場状況を受けて、LPガス業界では課題解決によって新たな価値を生み出す、新しい取り組みが始まっている。

 その取り組みとは、業界全体の長年の課題であるLPガス配送業務の効率化を目的とした、新しい無線通信技術「LPWA (Low Power Wide Area)」を利用したIoTの活用だ。LPWAは低消費電力で長距離伝送を実現する通信技術で、機器のバッテリー消費を抑えながら少量のデータ配信が求められるIoT用途での活用が見込まれている。今回、複数あるLPWA対応のネットワーク規格のうち、低価格で広域をカバーできる「Sigfox」を採用した。

 今回のプロジェクトは、エネルギー供給を中心に広く事業を展開する株式会社ミツウロコを中心に、グループ全体の情報システム運用・構築等を担う株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ、「Sigfox」を展開する京セラコミュニケーションシステム株式会社、そしてNECの3社協業によるものだ。

 プロジェクトを進める3社のメンバーに、新たな取り組みに対する狙いやシステムの概要、各社の役割などを聞いた。

最大の狙いは、LPガス配送回数の低減

──はじめに、LPガス業界を取り巻く環境や現状について教えてください。

株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ
取締役 ミツウロコ事務センター長 兼 遠隔指針情報取得・利用事業推進プロジェクト担当
永沼 敬氏

永沼氏:
 現在ミツウロコでは、法人や家庭を合わせて全国約80数万件のお客様にLPガスを供給しています。LPガスの販売は、人の労働力に頼る部分が多い労働集約型のビジネスで、都市ガスや電気といったインフラ構築が主体のビジネスと大きく異なります。

 現在は自由化によって、お客様には多くのエネルギーの選択肢が生まれています。こうした環境変化の中、LPガス会社同士だけでなく、さまざまなエネルギー会社と競争しながら、安定した事業を継続しなくてはなりません。そのためには、LPガスに関わる人手や人的コストの低減が重要で、その鍵を握るのがLPガス配送業務の効率化なのです。

──LPガス配送効率化の具体的な狙いや目的は何ですか。

永沼氏:
 配送業務効率化の狙いをひと言で表すなら、LPガスの配送・交換回数を減らすことです。

 これまでは、お客様のガス使用の実績データ、直近の配送実績の推移、さらに月に延べ1.5回検針するガス使用量など、過去のデータから割り出した予測をもとに、配送業務を行ってきました。しかし、過去のデータにもとづいた従来のやり方では、お客様のガス使用量のタイムリーな把握が困難でした。

 そのため、ガス切れを起こしてはならないというリスク回避の観点から、ガスがまだ残っている状態での容器交換を許容するという、必ずしも効率的でない配送が行われてきました。こうした理由で配送回数が減少せず、人手やコストの負担増大の一因になっていたのです。

 今回は、こうした長年抱えていた根本的な課題を解決するために、新たな取り組みにチャレンジしたのです。

──今回の新たな取り組みの経緯について教えてください。

永沼氏:
 配送業務を効率化するには、まずお客様のガスメーターの指針データを、遠隔からタイムリーに収集・把握するシステムの構築が不可欠です。当社では2014年くらいから、M2Mなどを含めたさまざまな技術やシステム構築の検討を進めてきました。

 人手や配送コストを低減するためのシステムなのに、その構築や運用に多くのコストがかかっては意味がありません。我々の目的にマッチしたシステムの構築に頭を悩ませていた時、新しい無線通信技術「LPWA」や「IoT」を活用した、実現性の高いアイデアや方法を提案してくれたのがNECでした。

株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ
システム統括部 システム企画部 次長 兼 遠隔指針情報取得・利用事業推進プロジェクト担当
高橋 潤氏

高橋氏:
 お客様のガスメーターの指針データをタイムリーに取得したいというのは、LPガス業界にとってまさに長年の課題と聞いています。

 これまで行っていたのは、過去の実績データをもとにした配送予測でしたが、これからは情報収集の頻度を上げて、日次データによるムダのない配送計画を実現したいと考えていました。そうした中、IoTや新たに登場した無線通信技術など、先進のICTに期待したのです。

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