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盛り上がるだけではもったいない。世界的なスポーツイベントを未来に生かすには
いかに安全・安心を確保しつつスムーズな運営を行うか。これはラグビーワールドカップ2019™日本大会など、世界的スポーツイベントの成功に欠かせない要件となる。ただし、これを一過性の盛り上がりで終わらせてはいけない。それを契機に技術やノウハウを未来の資産として残し、進化させていくことが何より重要となるからだ。NECではその実現に向け、産官学民による「共創」を推進。課題先進国日本において、持続可能な共生社会の実現を目指している。
大会の成功をテクノロジーの側面からサポート
着実に進行する少子高齢化の波は、日本社会に深刻な課題を突き付けている。生産年齢人口は年々減り続け、2040年には1995年比で約2700万人も減少するという。一方で国が負担する社会保障給付費は拡大を続け、廃棄される膨大な食品ロスも社会問題化している。都市部への人口集中により、2040年には国内の約50%が消滅可能性都市になるという。さまざまな場面で、需要と供給のバランスを取ることが難しくなっているのだ。
こうした課題を解決するため、NECはSDGsに沿った「7つの社会価値創造テーマ」を策定。その重点テーマの1つが「Safer Cities & Public Services(安全・安心な都市・行政基盤)」である。NECの高精度な生体認証「Bio-IDiom」などの提供を通じ、安全・安心で、誰もが付加価値の高いサービスを公平に受けられる持続可能な共生社会の実現を目指している。
この仕組みは、国内外から大勢の人々が集まる世界的スポーツイベントにも採用されている。NECは今年開催される「ラグビーワールドカップ2019日本大会」のオフィシャルスポンサーであり、ラグビーワールドカップ2019日本大会では、会場となる東京スタジアム・横浜国際総合競技場のメディア関係者入口において、世界No.1(※)の精度を誇るNECの顔認証システムによる本人確認を実施する。これはラグビーワールドカップ大会史上初の試みだ。
(※)2017年、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した動画顔認証技術のベンチマークテストにおいて認証精度99.2%と第1位の性能評価を獲得している
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NECはラグビーワールドカップ2019™のオフィシャルスポンサーとして、「ボランティア管理」のスポンサーカテゴリーを契約しています。
TM © Rugby World Cup Limited 2015. All rights reserved.
「デジタル技術を活用したパブリックセーフティ先進製品やネットワーク製品の提供を通じ、安全な大会運営に貢献しています」と、東京オリンピック・パラリンピック推進本部 集まろうぜ。グループ 部長の山本 啓一朗は話す。「集まろうぜ。」は、大会の成功と、その先の共生社会の実現には大勢の人の力を結集する必要があるとの思いから命名した正式な部署名だという。
また、NECは「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のゴールドパートナー(パブリックセーフティ先進製品&ネットワーク製品)でもあり、NECの顔認証システムは、東京2020オリンピック・パラリンピックでも約30万人の大会関係者の本人確認に利用される。「最先端テクノロジーを活用し、さりげなく見守り、危険を未然に防止する。誰もが安全・安心に集まれる環境を実現し、人々の熱気や感動をしっかり守る。これが世界的スポーツイベントで、NECが目指していることです」と山本は語る。
- (※) NECは東京2020ゴールドパートナー(パブリックセーフティ先進製品&ネットワーク製品)です
世界最大の航空連合との「共創」でより快適な空の旅を提供
安全・安心の確保は、世界的スポーツイベントの成功に欠かせない要件である。しかし、これを一過性の盛り上がりで終わらせてはいけない。「世界的スポーツイベントを契機として、テクノロジーやノウハウを未来のレガシー(資産)として残し、進化させていく。それを産業・経済の発展、持続可能な共生社会の実現につなげていくことが重要です」と山本は主張する。
そのために欠かせないのが、多様なパートナーとの「共創」である。業界や既存の慣習の垣根を越えて課題を共有し、それぞれの強みを掛け合わせ、新たな価値を共に創造していく。「NECは『安全・安心』とともに『枠を越えたつながり』で新たな社会価値の創造に取り組んでいます」と話す山本。この活動を支援する共創プログラムを整備し、さまざまなチャレンジも続けている。
SDGsに象徴されるように、社会課題はグローバルの課題でもある。その解決を図り、持続可能な共生社会の実現を目指すためには、世界と手を携えて取り組んでいく必要がある。「国内にとどまらず、世界に目を向けて共創の可能性を求めています」(山本)。
2019年7月には、世界最大の航空連合スターアライアンスとの協業を発表した。生体認証を活用した本人確認プラットフォーム「Star Biometrics Hub(スターバイオメトリクスハブ)」を共同開発し、2020年3月までに提供を開始する。
このプラットフォームにより、スターアライアンス加盟社のフライト利用旅客は、手荷物預け、ラウンジ、搭乗ゲートなどを顔認証による本人確認だけで通過できるようになる。パスポートや搭乗券の提示が不要となり、待ち時間を短縮しスムーズな搭乗が可能になる。空港および航空会社職員の業務効率化にもつながる。
NECの顔認証システムは、成田空港をはじめとする国内主要空港の搭乗手続きなどにも利用されている。「今回、利用できる範囲が空港からグローバルな航空連合に広がったことで、快適なフライトを世界の空で実感できるようになるでしょう」と山本は期待を込める。
データを利活用する地域活性化の取り組みが各地で進行
共創の取り組みは、もちろん国内でも進めている。和歌山県・南紀白浜エリアで展開する「IoTおもてなしサービス実証」はその1つだ。地域の玄関口である南紀白浜空港で顔情報とクレジットカードなどの情報を登録すると、空港での案内、ホテルの出迎えやキーレス入室などさまざまな”おもてなし”サービスを受けられる。商業施設のキャッシュレス決済による”手ぶらショッピング”も可能になる。
顔認証を空港施設に限定せず、周辺エリアに広げたことがこの実証のポイントだ。「安全・保安対策の高度化だけでなく、観光客やビジネス客の利便性を向上させ、”おもてなし”サービスによる地域経済の活性化に貢献します。来訪者の購買情報や移動経路情報などを基にしたマーケティング分析にも取り組んでおり、キャンペーンやデジタルサイネージ広告に利用することで、さらなる経済効果も期待できるでしょう。既に顔認証は国内6空港(新千歳空港・成田国際空港・羽田空港・中部国際空港・関西国際空港・福岡空港)の税関検査場に採用されています。2020年に向けて東京をはじめとした各都市でも南紀白浜のようなモデルを展開していきたい」と山本は先を見据える。
香川県高松市では高松市、香川大学、香川高等専門学校などと共同で「スマートシティたかまつ」の実現に向けた取り組みが進行中だ。防災関連データを活用して災害対応業務を高度化・効率化し、市域の安全・安心の向上に寄与する。観光客の回遊ルートや人気スポットをデータで分析し、付加価値の高いサービスの提供で観光振興を図る。産学官民の多様なデータを利活用できる環境を整え、地域活性化の施策やサービス開発につなげる。「この実現に向け、地域のデータを収集分析するプラットフォーム構築とデータ利活用を促進する協議会運営の両面をNECがサポートしています」(山本)。
地域活性化やにぎわいのまちづくりには、IoTを含めた多様なデータの利活用が重要になる。「2つの取り組みをモデルケースとして、多くの自治体や企業との共創を通じ、安全・安心かつ魅力あるまちづくりを日本全国に広げていきたい」と山本は展望を述べる(図)。
NECは「安全・安心」と「枠を越えたつながり」を基軸に、今後も国内外の多様なパートナーとの共創を推進し、持続可能な共生社会の実現に貢献していく。