「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2019」レポート
顔認証で演出するストレスフリーな心躍る旅行とは
知らない土地への旅行は、日常では得られない心躍る体験と未知の気づきの連続です。一方で、宿まで行きつけるのか、大きな荷物を持って移動するのは煩わしい、アレルギーがあるけれど安心して食事ができるだろうか、など面倒なことや心配事が尽きないのも事実です。
人それぞれの願いを叶える最適でストレスフリーな旅行ができたら、どんなに嬉しいことでしょう。NECは、生体認証を活用した共通のIDで、複数の場所やサービスにおいて顧客へ一貫した体験を提供する新しいコンセプトを「I:Delight」と称し、今後、さまざまな分野での展開を行っていきます。「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2019」の会場では、「NEC Future Tour in 202X」と題して、来場者の方々に初めて日本を訪れる海外からの旅行者になっていただき、街全体がつながって、ひとり一人に合わせた最適なサービスが受けられる「I:Delight」の世界観を表現。少し先の未来の旅行を体験していただきました。
顔を見せるだけで自分自身に合ったサービスを受けられる心地よさ
「I:Delight」で体験できる新しい旅行は、日本に向かう飛行機のなかから始まります。今回の旅行者であるメイさんは、機内で空港から目的地までのルートを検索。電車やバス、タクシーなど複数の交通機関を使った最適なルートがただ表示されるだけではなく、現地に到着する前に予約と支払いを済ませることができます。これで、交通機関を乗り換えるたびに、不慣れな場所でも運行スケジュールの確認やチケット購入で悩む心配はなくなりました。
飛行機は、いよいよ日本に到着。メイさんは、空港で、宿泊する旅館のチェックインを顔認証で行います。名前や予約番号を入力することなく簡単に完了でき、その場で手荷物も預けました。言葉が分からない場合でも、顔を見せるだけで、簡単に手続きができてしまいます。荷物は宿泊する旅館まで届けてもらえるため、手ぶらで観光に出かけることができます。
訪れた街、NEC Cityでは、観光施設、店舗やレストランなどで顔認証サービスを受けることができるのです。旅行者は、顔情報や自身の登録した情報の開示範囲を自分自身で決めることができます。その範囲のなかで、一人ひとりに合わせた最適なサービスが事前に整えられ、顔を見せるだけで利用できるようになるのです。
情報共有が可能にするさりげない「おもてなし」
空港を出たメイさんは、機内で予約したバスの乗り場に向かい顔認証で乗車。お気に入りのアイドルのライブ会場である「NEC ARENA」に直行しました。入場はもちろんチケットレス。入場ゲートをくぐると、手元のスマートフォンに予約していた座席までの最適なルートが案内され、スムーズにたどり着くことができました。
ライブを満喫したメイさんは、和食レストランへ食事に向かいました。メニューを選ぶ際、オーダー用端末で顔認証すると画面表示が変化し、自分に合ったメニューが表示されました。えびアレルギーを持ったメイさんのメニューは、えびを使った料理がなくなり、食べても問題のない、個人の趣向に合わせた料理が紹介されました。食は、楽しい旅を彩る大切な要素です。アレルギーや宗教上の理由から、特定食材を食べられない人もたくさんいます。しかし、文化が違う言葉も通じない外国で、要望に合ったレストランを探し、メニューを選ぶのは難しいことです。これであれば、簡単に、食事を安全に楽しめます。
和食を堪能したメイさんのスマートフォンに、食事をした特典として提携しているお土産屋さんからプレゼントクーポンが届きました。事業者にとっても、より商品に興味の高いお客さんを呼び込む効果的な手段になることでしょう。
食事を楽しんだメイさんは旅館に到着しました。事前にチェックインを済ませてあるので、手続きをすることなく、そのまま顔認証で自分の部屋に入ることができます。預けた荷物も部屋に届いていました。
旅行の最終日、メイさんはクーポン券が使えるお土産屋さんに立ち寄りました。ショッピングの決済ももちろん顔認証でできます。そして、購入した商品と一緒に、クーポンを持つ人への来店プレゼントをもらって、大満足で店を出ました。スマートフォンのアプリには、買い物をした店舗や金額などの明細が届いています。
街中どこでも、いちいちカバンから財布や鍵、チケットを取り出すことなくスマートフォンだけで、快適で楽しい「自分にぴったりの旅」が体験できました。
こうした一人ひとりに合わせたスマートな旅は、生体認証によって素早く旅行者を識別し、街全体でデータを安全に連携・活用する仕組みが支えています。NECは、そのために必要なソリューションをトータルに提供します。その際、個人情報の扱いは、プライバシー、公平性など人権の尊重を最優先に考えています。
新しい旅行を支える仕組みの整備は始まっている
快適な旅行体験の実現への取り組みは、旅の入り口である空港で、すでに始まりつつあります。成田空港では、NECの顔認証技術を活用した新しい搭乗手続き「One ID」を2020年春からスタートする予定です。
これまではパスポートと搭乗券を常に持ちながら荷物を預けたり、保安検査場の入り口や搭乗口を通過したりする必要がありました。導入されるシステムでは、チェックイン時にパスポートと顔情報、チケット情報を1つのトークンにまとめます。そして、その後の荷物を預けたり、ゲートを通過する手続きは、すべて顔だけで済ませられるように設計されています。これにより、旅行者のストレスが軽減、空いた時間を有効に使えるなど満足度の向上につながります。同時に、搭乗ゲートなどで行列をつくることなく、旅行者の動線をスムーズにすることができるため、空港の運営も省力化し、飛行機の搭乗待ちをなくして定時運行が可能になる効果も期待できます。
また、2019年4月15日から、第3ターミナルの税関検査場で顔認証技術を活用した電子申告ゲートの運用が日本人旅行者を対象に開始されました。
この電子申告ゲートでは、スマートフォンアプリで携帯品・別送品申告書を作成・QRコード化し、電子申告端末にかざすことで申告を行い、ウォークスルー顔認証でゲートを通過することができます。これによって、旅行者はスムーズに検査場を通過できるようになり、税関検査場の混雑緩和と旅行者の待ち時間の短縮につながります。8月27日からは、利用対象が外国人の旅行者にも拡大。2020年春からは、第1ターミナル、第2ターミナルに加え、羽田空港、関西空港、福岡空港、中部空港、新千歳空港での運用も始まる予定です。
税関検査のように、高い信頼性が求められる用途に顔認証を適用するためには、高い判別精度と旅行者がストレスを感じない高速な検知が欠かせません。また、さまざまな環境で安定した認証ができる技術も求められます。NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核である、世界No.1の認証精度※を誇る顔認証技術だからこそ、こうした厳しい要求に応えることができるのです。
この「空港ソリューション~税関検査場電子申告ゲートを中心としたSmart Airportの取り組み~」は、デバイスからサイネージまでトータルにデザインし、顔認証によるウォークスルーという技術力を生かした総合的なサービスデザインであることなどが高く評価され、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2019年度グッドデザイン賞においてグッドデザイン・ベスト100を受賞しました。NECの顔認証技術は、さらに多くの場所で活用が広がり、近い将来の旅行の姿をより価値あるものに変えていくことでしょう。