2016年10月20日
AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く
技術力を活かして、再生可能エネルギー分野で長期ビジネスの可能性を探る新興国
豆腐作りの廃水から再生可能エネルギーを得るインドネシア

美味しくて身体にも良い、日本人が大好きな食材、豆腐。インドネシアにもタフ(tahu)という食材がある。日本の豆腐より硬い。共通点は、もちろん大豆製品であることだが、もう一つ、大量の水を使って作られることである。
インドネシア・ジャワ島の豆腐作りが盛んなカリサリ村では、豆腐の製造過程で出る廃水を利用して再生可能エネルギーを作り出す画期的な技術が導入されている。廃水にバクテリア処理を施し、発生したバイオガスはパイプで直接民家のストーブに送られ、スイッチ一つでクリーン燃料として利用される。長期的には、村全体で使用する明かりの電力供給量の確保を目指す。
利点はまず何より安価であること。かつて頼っていた交換式ガスタンクの約3分の1で済む。さらに、かつては豆腐作りで何千リットルもの廃水が近隣の川に流され、下流の水路や水田を汚染していた。バイオガスへの転換で臭い匂いがなくなっただけでなく、コメの収穫量も増え、一石二鳥以上の効果である。
発展途上国では、先進国と違って、石油や石炭などのエネルギーに頼る過程を経ずに、初めから再生可能エネルギーに向かうケースが多い。インドネシアもその一つで、電力供給の遅れを逆手にとって再生エネルギー導入に乗り出した(4)。インドネシア全体の発電量に占める再生エネルギーの割合を2025年までに25%にすることを目指す(ビジョン25/25)。数年前までほとんどの世帯で電化率ゼロだった村で、太陽光、風力、水力、豚のふんまで発電に利用して、2025年までに再生可能エネルギー100%を目標に、オランダの非政府組織「Hivos」が始めたプロジェクトなども、この国家戦略の一部である。
インドネシアに限らず、新興国には国内産業を守るための様々な外資規制がある。インドネシアでは2年に一度この外資規制を見直し、特に伸ばしたい産業分野への外資規制を緩和している。再生可能エネルギー分野もその一つである。参入するならば今が好機であろう。