2016年10月20日
AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く
技術力を活かして、再生可能エネルギー分野で長期ビジネスの可能性を探る新興国
今年6月はじめにリリースされた「自然エネルギー世界白書」では、2015年の再生可能エネルギーへの世界全体の投資額が、過去最高を記録したことが明らかになった(1)。中でも特筆すべきは、新興諸国による支出額が、先進国を初めて上回ったことであろう。また、IRENA(国際再生可能エネルギー機関)によれば、2015年、世界の再生可能エネルギー容量は過去最高となる8.3%の成長を遂げた(2)。地域別ではトップが中米およびカリブ海の14.5%増、アジアは12.4%の成長。いずれも北米と欧州それぞれ6.3%、5.2%に比べて倍以上の勢いである。
一口に新興国といっても、国や地域ごとに推進の目的や戦略が異なり、アプローチも多様であろう。「メガトレンド」という一条の布を織り成す国々を解きほぐし、商機の糸口を探ってみよう。
中米の「クリーンエネルギー優等生」コスタリカ

中米コスタリカのレベンタソン川の水で4基のタービンを動かす水力発電計画は、14億ドル(約1500億円)が投じられ、パナマ運河拡張工事に次ぐ中米第2位の大規模インフラプロジェクトとなる。電力の需給に応じて水量を調整する7平方キロのダムを建造したのは、国営電力供給会社であるコスタリカ電力公社(ICE)。
人口500万人に満たない小国であること、河川や火山に富んだ自然環境、そして主要産業が観光などで工業がないという要因もあるが、コスタリカは昨年、総発電量の99%を水力、地熱、風力、太陽光で賄った、「自然エネルギー普及の優等生」(3)である。さらに今年は5月以降の4ヶ月超、再生可能エネルギー100%を達成中で、これは世界初。
技術の進展によるコスト低下を背景に、先進諸国だけでなく開発途上国でも再生エネルギーへの移行政策に拍車がかかる。コスタリカはその最大の成功事例となった。ここコスタリカでは、再生可能エネルギー100%達成でエネルギーの自給自足という目標に到達した今、次の一手は、生み出した電力の蓄電方法として、電力需要の変動が大きい日本で特に普及した揚水式に乗り出すかもしれない。