2017年01月24日
AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く
深刻化する食品ロス問題と、食にまつわる社会的ニーズの変化
「食品ロス」問題の理解向上と解決への道のり、日本では?
わが国では、消費者庁をはじめ関係府省(内閣府、消費者庁、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)が2012年度から毎年1回「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」を開催、食品ロスの削減を目指している。消費者の認知度を上げる取り組みとしては、消費者庁ウェブサイトに専用ページ「食べもののムダをなくそうプロジェクト」を設けて食品ロスの現状や課題を伝えている。そのような中で、昨年は6月に第11回食育推進全国大会が福島で行われたほか、10月に東京で「もったいないを見直そう~食品ロス削減シンポジウム~」も開催し、約200名が集まる大きなイベントとなった。
こういった政府主導の動きとともに、民間での「食育」の試みもある。奈良県河合町の西大和学園中学校では、昨年11月、大手食品メーカーによる出前授業で、トランプ米大統領の離脱発言によって今後の行方が注目される環太平洋経済連携協定(TPP)などとともに、「食品ロス」についてクイズ形式で理解を深めた。同じく昨年11月、東京都北区の女子聖学院中学校で開かれたキャリア教育の講演会では、大手コンビニチェーンの女性社員から店舗の経営や品揃えに女性の視点が欠かせないという話があった。家庭の台所を切り盛りする女性の知見が食品流通産業に活かされることが、食品ロスの削減につながるかもしれない。
食品の製造や流通に関わる企業では、需給予測を熟練担当者の経験と勘に頼ることが多いが、気候変動や嗜好の多様化により、予測が年々困難になってきている。ICTを活用したビッグデータ分析で予測の難しい食品の需給予測を高精度化・自動化することにより、食品ロスを減らし、真の意味で豊かな食生活を実現できないだろうか。
(文/有限会社ラウンドテーブルコム Active IP Media Labo、写真/AFPBB News)
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