2017年03月31日
IoTは、おもてなしをどう変えるのか。―訪日外国人を対象にした実証実験を実施
パーソナルデータをもとに、キメ細かなおもてなし。
「IoTおもてなしクラウド」の活用でサービスは、実際にどう変わるのか?アメリカ人のファミリーを例に、実証実験の内容をもとにした将来のサービス像を、具体的に紹介してみよう。
〔設定〕日本を旅行で訪れた祖父母、父母、その息子と娘という、6人のファミリー。
【到着した空港では】
羽田空港に到着したファミリーは、まず交通系ICカードを購入した。パスポート情報、母国言語の種類、アクセシビリティ、食事の好みなどのパーソナルデータは、それぞれのスマートフォンを使って、事前に母国のアメリカで「おもてなしクラウド」に登録済み。購入した交通系ICカードを、自分のスマートフォンにかざして、自身の情報と紐づけをした。カードには個人情報が記録されないため、セキュリティ面でも安心だ。
【リムジンバスのチケット売り場では】
続いてファミリーは、リムジンバスのチケット売り場へ。空港からホテルに向かうためには、リムジンバス利用を事前におもてなしクラウドで選択していたためだ。購入したチケットの料金は現金のやり取りを行うことなく、属性情報を紐づけた交通系ICカードを使って支払った。

【ホテルでは】
リムジンバスに乗ったファミリーは、無事に予定通りの時刻にホテルに到着。バスのドアが開くと、そこには車いすを準備したホテルのスタッフが待っていた。バスの到着時刻や祖母が車いすを利用することが、なぜホテルではわかっていたのか?その理由は、バス会社からICカードを用いて宿泊者の名前やファミリーの属性のほか、バスの発着時刻、バスの位置情報などが、ホテル側へ事前に伝達されていたのである。
ホテルのカウンターへ向かったファミリーは、ICカードを提示してスムーズにチェックイン。パスポートのコピーなど面倒な手間もなく、簡単かつスピーディに手続きが行えた。

【レストランでは】
ファミリーみんなが楽しみにしてきたのが、日本での食事。夕食でファミリーは、食べたい和食メニューをそれぞれ頼んだ。運ばれてきた料理に、一同は驚いた。特にオファーしたわけでもないのに、娘に運ばれてきたのはアレルギーに配慮した食材を使って調理されていた。さらに、祖父母に届いた料理は、薄味にアレンジされていたほか、コーヒーを飲まない母にはさりげなく紅茶がサービスされた。
こうしたひとりひとりに合わせたキメ細かなおもてなしを実現できたのは、入店時にファミリーそれぞれが、ICカードかざしていたからだ。利用者の許可のもとに、レストランでもクラウド上にある個人情報を利用していたのだ。
【ショップでは】
日本旅行の大きな楽しみのひとつがショッピング。あれこれ買い物したファミリーが、買い物の免税手続きの際にICカードを提示することによって、ショップはパスポート情報を確認。手続きにかかる時間や手間も少なく、ストレスのないショッピングが楽しめた。

ホテルで、レストランで、そしてショップで。日本の快適なサービスにファミリーみんな大満足だった。