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ITでゴミ問題を解決する

AFP通信ニュースで世界の「今」を読み解く

オープンデータを使った日本での取り組み

 3Rが生まれた日本では、ゴミの分別も進み、現在は多くのゴミがリサイクルされる。一方で私たちの生活の中でゴミの分別や収集方法などまだまだ改善すべき点も残っていると捉え、IT技術を使ってゴミ問題に取り組んでいる事例がいくつかある。その中の一つ、石川県金沢市で開発したゴミ出しアプリが好評だ。 (6)地方公共団体が持っているオープンデータを活用するシビックテックが盛んになりつつある中で登場したソリューションだ。オープンデータは各自治体によりフォーマットが違うため、異なる市町村で統一したアプリを開発するのは容易でないという課題が残っているものの、大阪市などでも類似のアプリが開発され、利用されている。 (7)横浜市ではSNSを活用したゴミ収集を始めた。 (8)

 総務省情報通信審議会が作成した「IoT/ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策の在り方」中間答申案では、海外の事例として、あらゆるもののIoT化を図るスマートシティーの実現によって効率的なゴミ収集が可能になることに触れられている。また、日常的に使用する機器にセンサーをつけるスマートハウスでの高齢者の見守りにも言及している。 (9)

海外におけるIT技術を利用したゴミ収集

 前述の総務省の中間答申案で言及されていたゴミ箱のIoT化は、すでにスペインのバルセロナやアメリカのカンザスシティなどで始まっており、続いてスペインの港町サンタンデールでも導入が進み、ゴミ収集管理のスマート化が広がりつつある。 (10)NECは、スペインのゴミ収集サービス事業者ASCAN(アスカン)と共同で、センサーやビックデータ分析を用いて、スペイン・サンタンデール市のゴミ収集管理サービスをスマート化する事業に参画している。 (11)

 また、廃棄物である牛のふんを利用したバイオガスの利用や、ゴミを焼却することで発電を行うゴミ発電がある。 (12)

米インディアナ州プリマスの農家ホームステッド・デイリーにある、発電機と嫌気性消化装置の設置された施設(2015年7月13日撮影)。©AFP/MIRA OBERMAN

ゴミ問題の解決に向けたIT技術活用

 ゴミ問題の解決策は、ゴミ回収前の分別によりリサイクル率を高めていくことだが、従来はもっぱら人手に依存し、IT技術を使うような動きはなかった。しかし、ゴミ処理においてIoTなどの技術活用が、徐々にではあるが普及しつつある。将来、家庭で出るゴミは家庭内のゴミ箱でAI技術によって自動的に分別されるだろう。そしてその先には、ゴミ収集車が自動運転で各世帯を回りゴミ収集を行う未来が予想される。あるいは、IoT技術で効率的な回収をすることによるゴミ処理工場の低コスト化、さらには収集したゴミを燃料にするような社会が来るかもしれない。 (13)

オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)でゴミの収集作業にあたる、ゴミを電気に変え動力源としているゴミ収集車(2009年5月13日撮影)。©AFP/ROBIN UTRECHT

 一方、新興国に対しては独立行政法人国際協力機構(JICA)が廃棄物分野での協力を行っている。JICAのスキームによって企業で事業化する可能性の調査を支援している。 (14)先進国だけでなく新興国でもIT技術の急激な発展に伴い、IT技術を利用してゴミ問題を解決しようという動きが少しずつだが出てきている。 (15)

(文/有限会社ラウンドテーブルコム Active IP Media Labo、写真/AFPBB News)

AFP通信(Agence France-Presse)

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