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2016年03月28日

地方創生現場を徹底取材「IT風土記」

京都発、ICT授業の効果は? 初の”見える化”にチャレンジ

 IT機器の普及にともない、電子黒板やタブレット端末を利用した授業が話題を集めている。実態はどうなのか、どんな効果が得られるのか。明らかにしようという試みが始まっている。京都市立西京高校附属中の生徒にタブレットPCを配って授業に使い、機器を使った宿題を出して回答内容を分析する実証研究「京都ICT教育モデル構築プロジェクト」の現況を追った。

ICT授業の促進を、効果の〝見える化〟に挑む

ICT機器を使った公開授業(京都市立西京高校附属中)
※写真は京都市教育委員会提供

 京都大学、京都市教育委員会、NEC、日本マイクロソフトの4者がスクラムを組み、京都市立西京高校附属中を舞台に昨年4月から始まった同プロジェクトはいま、1年間の実証研究 の内容を分析し、成果を発表する大詰めの段階を迎えている。

 プロジェクトを主導した京都大学学術情報メディアセンターの美濃導彦教授は「1年間やってきて課題が多いことが分った」と率直に言う。

 ひとつはシステムの課題で「授業中に無線LANにつながらないとか、電子黒板を使うときにデータを読み込めないとか、そういう問題がかなりの頻度で起った」と美濃教授。システムをストレスなくスムーズに使えるようにするという技術的な問題は「メーカーに協力してもらって手厚くやれば解決できる」と指摘している。

生徒が持ち帰ってくれない

 予想外だったのは「生徒が自宅にタブレットPCを持って帰ってくれない」ことだった。せっかく先生が宿題をパソコンで出してくれても放課後やってしまうとか、持ち帰らずに朝早く学校にきて解いてしまう。

NECの森田浩文・パートナーズプラットフォーム事業部長代理(左)と日本マイクロソフトの滝田裕三・文教本部パートナーズアライアンスマネージャー

 中学生は教科書やノート、資料集に体操着など教科ごとに必要な荷物が多い。しかも実験対象校の中学は「中高一貫校なので、生徒の通学範囲が広い。一般の中学生より通学時間が長いのです」(京都市教育委員会の関智也学校指導課課長補佐)。「タブレットだけだと約600グラムなのですが、キーボードやACアダプターも入れると1キログラムくらいになってしまう」(NECの森田浩文パートナーズプラットフォーム事業部長代理)。結果として全体の7割の生徒は端末を持ち帰って学習したが、学校に機器を置いたままにしている生徒もいた。

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