2016年06月29日
地方創生現場を徹底取材「IT風土記」
和歌山発、始動した「ふるさとテレワーク」、白浜プロジェクトの成果と課題
移住後もきめ細かな支援
移住後も手は抜かない。「白浜って全く特別な場所ではない。空港が近くて海も綺麗でと皆さん言いますが、そんな場所は日本全国どこにもある。温泉も至る所にある。移り住んできた人達をどうしたら引き留められるか、どうしたら白浜という場所をもっと好きになってもらえるかをずっと考えています」と坂本さん。

おいしい店を紹介したり、海の近くに初めて住む人にマリンスポーツを教えたり、東京から来たばかりで友達がいない人や、恋人募集中の人たちに出会いの場を企画したり。去年の秋には地元の秋祭りにも参加してもらった。御輿担ぎや獅子舞のためにひと月くらい練習して毎晩お酒を飲めば、新しく来たIT企業は何をしてるかわからなかった町民も祭りに参加した人と友達になれる。妻子と一緒に移住したセールスフォース・ドットコムの吉野隆生白浜オフィス長も「地元企業の社長を紹介してくれたり、魚釣りを教えてもらったり、坂本さんには公私ともにお世話になっています」と話している。

坂本さんというキーパーソンの存在に加え、移転したチームの仕事の生産性が上がったのは、社員同士のコミュニケーションがすべてオープンになっていることも大きい。「みんなのコミュニケーションや業務の進捗状況、成績がガラス張りなんです。日本企業では難しいかもしれないが、我が社はこれが当たり前。サテライトオフィスでも東京本社でも仕事の業績を適性に評価しなくてはならない。お互いに不信感があるなかで成功するはずはない」と吉野さんは胸を張った。
