2016年10月03日
「わたしはこうしてデータサイエンティストになった」
第1回 データサイエンティスト女子部 セミナー 開催レポート
講演3:『パネルディスカッション』
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最後に、株式会社ブロードバンドタワー コンシューマ事業本部・データサイエンティスト協会 企画委員の多根悦子氏をモデレーターに、パネルディスカッションを行った。
──(多根氏 : 以下同)データサイエンティストとしての“やりがい”は何ですか?
木下氏:
「第2回データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した同僚と同じ職場で仕事ができることでしょうか(笑)。彼も文系であり、理系でないと難しいと思っていた仕事のハードルを下げてくれました。」
見上氏:
「お客さまと分析結果が共感できた時ですね。数字で裏付けが取れたり、新しい要素が影響していることを発見したりして、それをお客さまと共感できた時がうれしいです。」
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──データサイエンティストとしてのスキルを身につけるためにどんなことをしましたか?
木下氏:
「セミナーに参加したり本を読んだりしました。自分のレベル感にあった本を読めばいいと思います。私は、難しい理論を無理に理解するのはあきらめてツールに頼るようにしました。やってみて“なぜこの数字?”と疑問に思ったところで、初めて理解できると思うのです。」
見上氏:
「統計学を一から勉強し直しました。私も難しい本は不得意で入門書的なものを読みました。先輩データサイエンティストに付いて行き現場で学ぶことも大切だと思います。あとは“段取り力”をお弁当作りで磨くことですか(笑)」
──女性データサイエンティストならではのエピソードは?
見上氏:
「各案件、可能な限り自分自身もエンドユーザとしての体験をするようにします。先ほどの講演で紹介した来客者数予測では、自身も来客者になって体験してみました。また、来客者を観察し、外国人が多いので、外国人客の観察も分析に必要だということがわかりました。余談ですが、靴の色を見て、日本人はシックな色が多く、他のアジアの方はビビッドな色が多いということに気がついたんです。そういうことは、女性ならではの視点かなと思います。」
木下氏:
「“いつ旅行に行きたい?”とたずねると女子はだいたい“9月”と答えます。“女子旅”の企画の時にそういう発想を盛り込めたのは女子ならではだと思いました。」
見上氏:
「データサイエンティストは、外のユーザーとの接する機会が多く、活躍できる場が多い職種ではないでしょうか?」
木下氏:
「一生続けられる仕事だと思います。色んな変化があっても対応できる職種。また、データをいじるのは会社でしかできないので、会社を出れば解放されます(笑)。ワークライフバランスに適した職種ではないでしょうか?」
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会場からの質問を受け付け、パネルディスカッションは終了。その後の交流タイムでは両氏を囲んであちこちに人の輪ができていた。
本セミナーに参加し、これまではどんなすごい人たちなんだろうと感じていたデータサイエンティストだが、壇上で話されたお二人も、ふだんは普通の生活者であることにほっとした。また、文系であってもデータサイエンティストとして活躍できること、自分のレベルを考えた本から入ればいいこと、自分なりのツールを作るなどの工夫をして取り組めばいいことに共感できた。そして、こもりっきりでデータ分析を行っている仕事ではなく、外に出てお客さまと接したり、実際に体験して自分たちの感性を分析に生かしたりできるという職種であることが、強く印象に残った。