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2016年10月03日

「わたしはこうしてデータサイエンティストになった」
第1回 データサイエンティスト女子部 セミナー 開催レポート

ビッグデータを分析し、ビジネスに新たな価値を生み出す「データサイエンティスト」。「女性の職業としてのデータサイエンティストのあり方」を検討し、働く女性やこれからキャリアを考える女性に向けて積極的に啓発活動を行っているのが一般社団法人データサイエンティスト協会所属の女性が有志で行っている「データサイエンティスト女子部」だ。

平成28年8月1日、東京・渋谷dots.にて『第1回 データサイエンティスト女子部セミナー 「わたしはこうしてデータサイエンティストになった」』が開催された。

本セミナーは女性限定。データサイエンティストに興味を持つ参加者で席は埋まり、会場は和らいだ雰囲気に包まれていた。

松永智子氏(日本IBM・データサイエンティスト協会企画委員)による開会のあいさつ

講演1:『データサイエンティストになって見えたこと』

趣味は「自分センシング」。身のまわりのデータを日々収集、分析

NEC見上紗和子氏が登壇

最初にスピーカーとして見上紗和子氏(NECビッグデータ戦略本部・データサイエンス研究所)が登壇した。

大学時代は“符号理論”を学び、NECに入社後は研究所に配属。先端技術をビジネスに生かしたいと、2013年度ビッグデータ分析の部署に異動した。現在は「社内外の分析案件」「ソリューション企画」「NECの分析プロセス標準化」に従事している。

趣味は「自分センシング」であり、毎日のお弁当の写真を2年間撮り続け、家計簿も11年間つけ続ける等、日々データの収集や数字を計測しているという。

課題抽出とデータ分析で、お客さまのビジネスを改善

見上氏の業務は、お客さまを訪問して課題整理を行う『課題抽出フェーズ』と、実際にデータ分析を行う『分析フェーズ』に分かれる。ここで彼女が携わったある施設の来客者分析の事例をあげ、業務を具体的に説明した。

通常、分析はチームで行っており、コンサル、分析プロマネ、分析技術者と分業している。

今回、コンサル以外は女性のみのチームであった。

まず、お客さまに業務内容や課題をヒアリングし、データの収集を行い、分析する。来客者数を予測するにあたり、過去の来客者数、イベントカレンダー、気象等さまざまなデータをもとに分析するが、分析ツールにはNECの「異種混合学習技術」を使用した。

分析の精度を上げるには、予測と結果のグラフから、予測が当たっていないところを見る。例えば、水曜が予測と違っていれば水曜のフラグを追加するというように調整を行い、改善して行く。

来客数予測を行うことで、人員コストや廃棄ロスの削減などの効果が見込まれ、お客さまには、人手の予測による「経験や勘」でない分析ツールの力を認識していただけた。

データサイエンティストになってわかったこと

「分析は手段」そして「好きこそ物の上手なれ」

データサイエンティストになってわかったことは、「分析は手段」ということ。分析はあくまでも手段であり、ビジネスに生かして成果を出すことが何より大切だ。そしてもう一つ、「好きこそ物の上手なれ」ということだ。自分が興味を持てる分野は理解が早いという。

例えば、先ほどのお客さまの事例では「連休に遊びに行くなら最終日はゆっくりしたいから外すよね」と自分の身になって考えることができるので、予測を行うにあたり「連休何日目」であるかを考慮して分析することを思いつくことができたという。

同僚のデータサイエンティストに仕事のやりがいについて聞いたら「今注目の職業であり、若手でもお客さまから話を聞いてもらえる」「未開拓分野のため参加のチャンスがある」「権限委譲が多い」と言われたとのこと。若手でも責任を持てることが魅力のようだ。

「必要なスキルは、“一般常識”つまりユーザーの気持ちになれること。また“段取り力”も大事です。女性は家事などで鍛えられていますので“段取り力”があると言われたことがあります。」

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