2017年02月02日
未来企業共創プログラム 開催レポート
「四方よし」の経営モデル
戦力としての障がい者雇用
株式会社ダックス四国の且田久雄氏からは、障がい者雇用を取り巻く現況とともに、障がい者雇用の現代的な意義と可能性をお話しいただきました。

且田氏:
まず親会社であるエフピコをご紹介します。この会場にいるすべての人がほぼ毎日目にしているものを作っています。それはお弁当の容器やスーパーの食品パックなど、樹脂製の使い捨て容器。シェアは45%を超えており、業界ではよく知られた企業で、創業55年を数えます。
平成17年に「障害者自立支援法」が制定され、企業の雇用人数における障がい者の割合を2%以上にすることが定められています。社員100名を超える企業の場合、2%に達しないと1人当たり年間60万円の雇用調整金が徴収され、逆に2%を超えると、1人当たり月額2万7000円、年間で30数万円が企業に支払われるようになっています。
エフピコは、現在、全国で19カ所の特例子会社、A型施設を持ち、342名の障がい者の方を雇用しています。障がい者雇用率は約15%。これはある雑誌の調査では、全国1位の数字になっています。全国のスーパー1万カ所にリサイクルボックスを設置し、その選別センターの従業員の90%以上が知的障がい者です。かつては、大型機械で選別していましたが、機械の減価償却が終わったタイミングに障がい者で試したところ、ベルコンベアだけで処理量が1.5倍になり、選別品質は2倍にアップ、リサイクルペレットの精度も向上しました。この結果を踏まえて機械はすべて廃止して200名の障がい者を雇用しました。多くの企業の特例子会社と異なり、本業としての仕事に従事していただき、大きな成果を生み出しています。
これまでの障がい者雇用は、彼らが「できない」という前提だったため、簡単な発送作業やシュレッダーかけみたいな仕事しかやらせませんでした。これでは彼らも面白くなくて当然です。彼らも私達と一緒。自分が会社、社会の役に立っていると感じて、働く誇りを持って、そこで初めて人間としての成長があります。「障がい者でもできる仕事」ではなく、「障がい者だからこそできる仕事」。そうすることで、企業の収益性やブランドも向上する。三方よしどころか、四方よし、五方、六方よしの仕組みを、まずはみなさんの企業から始めてみてはいかがでしょうか。
NECの四方よし「Orchestrating a brighter world」
イベントも後半になり、鎌倉投信株式会社 取締役・資産運用部長 新井和宏氏のモデレーションによるパネルディスカッションとなります。パネルディスカッションの冒頭では、本イベント共催のNECコーポレートマーケティング本部 本部長代理 山田一宏氏から「NECの四方よし」と題して同社の取り組みを紹介されました。

山田氏:
NECは「Orchestrating a brighter world」というブランドメッセージを掲げ、四方よしに取り組んでいます。世界の潮流を6つのメガトレンドで捉え、社会課題を解決し、さらには社会価値を創造すべく、「Sustainable Earth~地球との共生~」「Safer Cities & Public Services~安全・安心な都市・行政基盤~」など7つの社会価値創造テーマを設定し、ICTを活用した社会ソリューション事業を通じて社会価値創造型企業になると2013年の中期経営計画で宣言しました。課題解決に向けた動きは、国連をはじめとして世界に広がっています。2015年9月の国連サミットで策定された、2030年に向けて貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などの17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」も意識し、三方よしに「未来よし」を加えた「四方よし」を実現すべく、みなさんと協奏・共創し、明るい社会を子どもたちにレガシーとして残していきたいと考えています。
