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未来企業共創プログラム 開催レポート

「四方よし」の経営モデル

2017年02月02日

※未来企業共創プログラムは、一般社団法人企業間フューチャーセンターの主催、株式会社岡村製作所・大成建設株式会社・NECの共催イベントです。

過去の経験が通用しない、不確実で未知の変化が起きる時代に

 経営環境が激動する今、どのようなマインドを持つべきなのでしょうか。「経営マインド」「イノベーション」「新しい関係性」という3つの切り口で新しいリーダーシップのあり方を「未来企業共創プログラム」では模索します。

 その第1回を2016年12月13日、株式会社岡村製作所の「Open Innovation Biotope "Sea"」で開催しました。タイトルは「四方よしの経営モデル」。CSR・CSVの文脈の中で、近江商人の売り手よし・買い手よし・世間よしの“三方よし”がクローズアップされましたが、さらに一歩進めて、これからの経営マインドを参加者約60名の方々と共に考えました。

 ゲストスピーカーには、“行動派”CSR役員として知られる株式会社伊藤園 常務執行役員・CSR推進部長の笹谷秀光氏、障がい者雇用の第一人者で、全国50社以上のコンサルティングも務めるエフピコグループ 株式会社ダックス四国 代表取締役社長の且田久雄氏をお迎えし、インスピレーショントーク。その後、モデレーターに鎌倉投信株式会社の取締役・資産運用部長の新井和宏氏を据えてのパネルディスカッションと、テーブルダイアログを行いました。

サステナビリティ新時代の経営戦略-「発信型三方よし」で日本型CSVを

 2016年『フォーチュン』誌が選ぶ「世界を変える企業50社」に選定された伊藤園。笹谷秀光氏は「新グローバル時代」「企業の本業力」「発信」という3つのキーワードで、伊藤園を含めた様々な実践事例を交えながら、これからの企業が取るべき方策を示唆しました。

笹谷氏:
 まず、みなさんに考えてほしいのは、今時代が「新グローバル時代」に入っているということです。例えば、パリは、私が駐在した1981年当時は車だらけで排気ガスの多い街でした。しかし、現在は自転車シェアリングの「Vérib」が主流となり、環境がよくなった。ニューヨークではシティバンクが協賛し、日本でも富山市がパリ方式を直接移入してシェアサイクルを実施しています。東京では「ちよくる」が知られていますが、このシステムは大手通信企業が運営しています。このように、企業が本業で環境問題や社会課題に取り組む枠組みができつつあります。環境にもいい、景観にもいい、ユーザーも利用しやすい、都市の再生にもつながる。しかし、1つの会社、1つのセクターだけでは実現できません。だからこそ、多領域にまたがる仕組みが必要になります。

 このような事例を通じて、これからの企業の進む道が見えませんか?切り口は、「CSR」(企業の社会的責任)と「CSV」(Creating Shared Value;共通価値の創造)です。企業価値と社会価値を同時に実現するCSVを説明するのに良い言葉が古くて新しい「三方よし」です。売り手よし、買い手よし、世間よし。まさに本業を通じて社会と価値を共有するCSVを端的に表す言葉です。しかし、「三方よし」には「陰徳善事」という言葉も付随され、「良いことは黙っていて伝わる、男は黙ってやれ、空気を読め」となる訳ですが、グローバルな現代ではこれは通用しません。

 そこで私が提案しているのが「発信型三方よし」です。伊藤園は、耕作放棄地も活用して、農家・行政とともに茶産地育成事業(新事業)を九州4県で展開しています。この事業や茶殻リサイクルシステムが評価されて、2016年9月号の『フォーチュン』誌が選ぶ事業を通じて「世界を変える企業50社」の18位に選ばれたのですが、受賞の背景には「発信」という理由もあると思います。企業が本業を通じて社会に良いことをしていくためには、発信し続けることが大切です。ポイントは「いいね!」と思ってもらうこと。CSR・CSVは、まず周囲の人々に「いいね!」と思ってもらうことが出発点。そして、「なるほど!」と思わせる説明。これがないと「どうせ企業は儲けるためにやっているのでしょう?」と思われてしまう。なるほど感があると、「またね!」と再度指名してもらえるようになる。これを繰り返していると「さすが!」と認めてもらえるようになるでしょう。ここで一番大切なのが「なるほど!」と感じてもらうために発信していくことだと考えています。

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