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2017年05月29日

カスタマーエクスペリエンスの最前線
『Modern Customer Experience 2017』報告

次に来るチャネル:チャット

 個別セッションから2つ紹介しよう。1つは、「インセプション」、「ダークナイト ライジング」などに出演、俳優として有名だが、プロデューサー、ソーシャル・アントレプレナーとしても活躍しているJoseph Gordon- Levitt氏が、『Hollywood and the Real Impact of a Smarter CX』というテーマでスピーチをした。今後のキーはコンテンツのパーソナライズ。難しいのは、お客様に刺さるバリエーションをどれだけ増やせるか。コンテンツは積極的に共有するが、制作者にどう還元していくか、貢献を評価する仕組みについて語った。

Joseph Gordon-Levitt氏

 もう1つは、『How Today’s Leading Brands Are Tackling Top Customer Service Challenges』というセッションで、Boyd Beasley (Zenimax Media Inc.), James Flatt (D&M Holding Inc.), Darla Johnson(Panera Bread), Amy Patel(Toyota)の4氏がゲスト。業種は異なるが、『次に来るメディアは?』という質問に4氏揃って『Chatだ』と答えたのが印象的。またCX向上には『VOC*を集める』と、これも異口同音に言い、いかに早く、多くの接点から正確に顧客の声を拾いプロダクトに反映するか、そしてchat botがAIでいかに賢くなれるか、ということだ。顧客にアンケートで聞くことが、かなり昔の話に思える。

*VOC:Voice of Customer

Markie AwardsにNECがノミネート

 Markie Awardsは、今回で11回目を迎えるB2Bマーケティング業界で最も歴史と権威があるアワードで、優れた取り組みを行うマーケターに賞が授与される。マーケティング担当者は世界中、誰でもエントリー可能。同イベント初日の夜に、この授賞式が開催され、17部門で受賞者が発表された。受賞者に渡されるトロフィーがオスカー像に似ている通り、授賞式もアカデミー賞を彷彿とさせる華やかさだった。

授賞式の模様

 今回、日本企業では唯一、NECがABM**部門のファイナリストに選ばれていた。日本企業がノミネートされたのは今回が初めて。『この権威ある賞にノミネートされたのは歴史に残る快挙』と、シンフォニーマーケティング代表取締役の庭山一郎氏は語るが、11年で唯一の日本企業ということは、日本のデジタルマーケティングが遅れていることの証左だろう。以前、庭山氏は、『この分野に関して日本企業は少なくとも欧米先進企業より5年は遅れており、その差はむしろ開いていっている』、と言っていたが、『catch upに5年はかからない』とも。賞は逃したが、今後も日本企業がますますノミネートされ、受賞もできるように、とわれわれを含む日本からの参加メンバーは決意を新たに帰国の途についた。日々CX向上に取り組んでいる現場の悪戦苦闘がリアルに感じられた3日間だった。

**ABM : Account Based Marketing

 本イベントの詳細は、”Modern Customer Experience 2017”公式サイトから、各セッションのプレゼンテーション内容、主なキーノートスピーチのビデオなど観られるので合わせてご覧いただきたい。(※英語)

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