デジタルトランスフォーメーションによるロジスティクス革新
国際物流総合展2018 NECブースレポート
昨今の物流にまつわる課題として、グローバル競争の激化、深刻な労働力不足、求められるサービス水準の上昇等があげられますが、今や物流業界に留まらず、様々な業種、企業に影響を及ぼしています。これらの課題を解決するために重要となるのが、サプライチェーン全体の最適化であり、そのサプライチェーンをつなぐロジスティクスの役割はさらに大きなものとなっています。
NECグループは、2018年9月11日(火)~14日(金)に東京ビッグサイトで開催された国際物流総合展に出展。「デジタルトランスフォーメーションによるロジスティクス革新」をテーマに、最新のAI・IoTを活用したソリューション等、製造業/卸売業/小売業から物流業まで様々な業種にご活用いただける最新のソリューションをご紹介しました。
今回はその中から、特に人気の高かった展示をご紹介します。
大好評!Futureゾーン「人とAI・IoTが協調する物流現場」
労働力不足、サービス水準の上昇等への対応が急がれる中、荷待ちの長時間化、トラックの低い積載率といったリソースの非効率な活用状況が業界の大きな課題になっています。
NECは柔軟な物流を支える、変化に強い物流現場を目指し、「近未来の物流現場」を具現化した世界をご紹介しました。AI・IoTを中心としたNECの先端技術を一堂に集め、AIコックピットによる物量・要員予測から、ピッキング-搬送-検品-出荷まで、近未来の物流現場の一連の流れを体感できるデモンストレーションを公開。単なる現場の自動化に留まることなく、サプライチェーンと物流現場が連動することにより、在庫や要員、車両といった物流リソースが最適化される近未来をご覧頂きました。
多数のお客様にご来場いただき、これからの物流現場を作り上げていく参考にしたいとのコメントを頂きました。
スループットを見える化し、サプライチェーン全体の最適化を支援!
製造業のサプライチェーンにおいては、各工程におけるモノの滞留(淀み)を見える化し、それらを解消していくことが最適化の近道です。
メーカーとして長年進めてきたNECの自社生産革新から得られた知見を基に作られたのが、スループット向上を実現する「SCM Performance Monitoring」。全体最適の観点で設定した、造る(工程)・運ぶ・構える(ストックポイント)の基準値と実態の値が適正か、どこに淀みがあるかを見える化することで、サプライチェーンにおける最適な流れの作り込み、スループットの最大化を実現します。
更に「運ぶ」の領域においては、グローバル物流の可視化を実現する「Neosarf/logistics」と連携することにより、洋上在庫を含めた在庫管理が可能となり、在庫適正化に貢献します。
会場ではモノの動きを把握するデモンストレーションを製造業のお客様を中心にご覧いただき、サプライチェーン改革の進め方について多数のご相談を頂きました。
初出展!物流最適化をもたらす、需給最適化プラットフォームとは?
近年、社会課題として取り上げられている食品ロス・廃棄。各企業の努力だけでは解決できないほど、大きな問題となっています。
NECはこのバリューチェーン上の需要と供給のミスマッチをタイムリーに解決すべく、2018年2月にメーカー、卸・物流、販売の需給を最適化する「需給最適化プラットフォーム」の提供を開始しました。
需要予測結果や在庫情報、販売実績をサプライチェーン上の取引先企業と共有し、NECのAI技術である「異種混合学習技術」で分析。本プラットフォームをバリューチェーン全体で活用することで、予測精度の向上や情報共有スピード向上が可能になります。それにより、最適生産による過剰生産防止、在庫配置、トラック手配の最適化といった物流の最適化をもたらし、バリューチェーン全体の最適化を実現します。
特に食品ロス問題に関心の高いお客様に興味を持っていただき、業種の壁を越えて社会課題を解決する重要なプラットフォームになると好評をいただきました。
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労働力不足、解決のカギはAI!物流リソースマネジメントサービス
物流現場でも問題となっている、労働者不足や高齢化。倉庫管理や配送計画等の経験豊かな管理者や作業要員の確保が困難になっており、より効率的な業務プロセスの設計や人員配置の適正化が求められています。
今回はAIを活用した、働く人に合わせて業務を最適化する「物流リソースマネジメントサービス」をご紹介。需要予測に基づく要員計画、作業者のニーズや資質に合わせた最適なマッチング、庫内作業の最適化・効率化を3つのAI技術(異種混合学習、RAPID機械学習、自律適応制御)で高度化していく流れをデモ動画にてご覧いただきました。
NECは本サービスにより、労働力の安定的な供給をサポートし、物流業界における労働力不足問題を解決してまいります。
生体情報×IoTで物流ドライバーの安全・安心を見守り
ドライバーの健康起因での事故が懸念されています。事業所から遠く離れたドライバーの安全、健康管理をどのように行えばよいのでしょうか。
NECは感情分析ソリューションを用いた、物流ドライバーの見守りをご提案します。ドライバーにウェアラブルデバイスを装着してもらい、収集した心拍変動データをもとに感情分析ソリューションによって、覚醒度と快適度を判定します。覚醒度の低下が著しい場合、ドライバーに体調異変や眠気が起きている恐れがあるので、本人へのアラート通知により休憩を促し、ドライバー本人の安全と長期の現場離脱を未然に防ぐことを目指しています。
そしてドライバーの体調変化をリアルタイムで見える化することにとどまらず、蓄積されたデータをもとにAIによって各ドライバーがパフォーマンスを発揮しやすい勤務シフトを提案する、などのユースケースをご紹介しました。
物流の最前線を支えるドライバーの安全・安心、そして働き方改革の推進を目指した新たな解決策として、様々な業界のお客さまに関心を持っていただきました。
人とロボットの協調を実現!物流ロケーションにフィットするロボットによる搬送サービス
労働力不足が深刻化する物流現場では、自動化・省力化への期待が高まっています。
一方、自動化ロボットの導入に際しては、ロケーションや移動経路などの制約条件がある場合が多く、自動化ロボットに人や現場が合わせなければいけないケースが多々あります。
今回ご紹介したソリューションでは、NEC独自の無線制御技術と協調制御技術により、ロボットを小型化・低コスト化・統合制御し、煩雑で時々の変化も大きい物流現場での稼働を実現。既存の台車や折りたたみコンテナをそのまま活用でき、また、搬送対象の変更にも搬送ロボットを変更することなく対応可能なため、導入・維持コストを低減します。
本ソリューションは、NECフィールディング株式会社 川崎テクニカルセンターにおける構内物流業務(水すまし)への導入シミュレーションを実施しています。シミュレーション結果として、現場運営の大幅な見直し、作業者の負担増、通路幅の拡幅といった自動化導入のためのコストは抑えつつ、搬送作業に関わる作業者の総作業時間を1/3以下にすることを見込んでいます。
今回は複数の機器が協調して動作するデモンストレーションをご覧いただきました。人とロボットが協調する物流現場が実際に体感できたとのお声をいただきました。
物流現場作業の省力化、効率化!物流センター向けコモノソータ
インターネットの普及に比例して、購買プロセスが変化し、インターネット経由での購買が増え続けています。それに応じて、通販事業に参入する企業も少なくありません。
NECは今回、5cmまでの厚みで多様な形状の薄物の荷物を高速に仕分けする小型ソータを出展しました。バルク荷物にまとめて投入できたり、個別投入時に両手で同時投入ができたり、ニーズに応じて方面別に荷物をシュートやコンテナ、スタッカ内などに集積区分ができる等、物流現場での運用を意識した機能を多数実装しています。
荷量が増大している健康食品やサプリメントの通販商品をはじめとした、小型荷物の仕分け作業の省力化に貢献します。