DXの「今」を俯瞰し「未来」の指針を示す
経営変革のコンパス
2023年7月、NECは国内IT企業として初※1となるDXに関するCxOレポート、『DX経営の羅針盤2023〜CxOから学ぶベストプラクティス〜』を制作・発刊した。
調査で浮き彫りになった日本型DXの現状と課題は何か。同社の井出昌浩氏が振り返り、展望する。
- ※1 NEC調べ(発表時時点)
CxOのリアルな本音からDXの実態と課題に迫る
「企業が成長し続けていくために、DXは不可欠です。ただ、その目的や道のりは企業によって異なります。どんな企業がどういった課題をいかに乗り越えたのか。その具体的プラクティスを体系的に提示したいと考え、調査を開始しました」
本レポート制作の背景を、企画発案者の井出氏はそう語る。
調査にあたっては、50名近いCxOにインタビューし、200名以上のDX推進リーダー層へのアンケートを実施。そこから見えてきた日本企業の取り組み実態や課題を分析したのが、66ページにわたる『DX経営の羅針盤2023〜CxOから学ぶベストプラクティス〜』だ。
本レポートでは、「社会とビジネスのイノベーション」「顧客体験変革」「業務変革・デジタルプラットフォーム変革」「組織人材変革」を、企業が直面する4つの経営課題と捉え、アジェンダごとに調査結果を発表。さらにそこから得られた考察と提言、課題解決の道すじを示すとともに、早稲田大学 鷲崎弘宜教授との対談による「DX生存戦略の本質」にも迫る内容となっている。
CxOの生の声が数多く収録されているのも、本レポートの特長だ。
「みなさんが口をそろえておっしゃるのは、『DXの推進には、CEO・社長の覚悟が必要』だということ。DXは企業戦略と一体であり、それを推進できるのはトップの熱い思いと覚悟に他ならないのです」
だからこそ、経営層にも響く構成を心がけたという。もちろん、DXに携わるすべての人にとって、必見の一冊であることは言うまでもない。
「健全な危機感」を持つことが変革への第一歩に
調査を通じて確認できたのは、ここ数年で「業務のデジタル化」には大きな進展が見られたということ。Covid - 19が契機となったデジタル普及も、その一因となったようだ。
一方で、個別のデジタル化を超えた業務全般に及ぶデジタル化や、データを一気通貫で可視化し意思決定まで含めてデジタル化する域には、まだ発展と改善の余地があるという。
「そもそもDXの本質は、デジタル(D)の活用ではなく、変革(X)にあります」と井出氏は語る。そして、変革の原動力となるのは、「健全な危機感」であるという。
「これはあるCDOの言葉なのですが、健全な危機感というのは、企業のありたい姿と現状のギャップに自問自答すること。危機感のなさは停滞につながるため、常に課題を見つけて共有し、解決に努めなければなりません。それが組織としてDXを推進していく力となるのです。つまり、危機感や変革への感度を高めておくことは、経営者やCxOの責務ともいえるでしょう」
DXを実現し、企業成長するためには目指す姿やそのための取り組み、優先順位などを全社で対話し、言語化していくことも重要だ。また、産業そのものを変革して、サスティナブルに成長していくという思考も欠かせない。
「そうしたアンテナ感度を高め、視野を広げていただくための一助として、『DX経営の羅針盤』をご活用いただけると幸いです」
戦略から技術デリバリー・定着化まで一気通貫でDXの実践を支援
NEC自身もまた、DXによってコーポレートトランスフォーメーションに取り組んできた企業である。その実践値を糧に、企業のDX課題解決を目指して創設されたのが、コンサルティングサービス事業部門だ。
「NECには、自社でテクノロジーを持つという強みがあります。戦略を策定するだけでなく、技術アセットの活用やデリバリーも含めたDX支援を一気通貫でご提供できるのは、当社ならではの特長です」
テクノロジー企業としての強みに、コンサルティングの知見を掛け合わせたのが、同社独自の「DXオファリング」だ。実務経験豊かな約500名のコンサルタントチームが、企業の経営課題を見極め、最適化されたソリューション群から選定・導入まで一気通貫に実施することで、短期間かつ信頼性の高いDXを実現する。
「DXの推進には、経営トップ自らが強い意志を示し、組織全体を変革していく必要があります。NECはその全プロセスに伴走することで、お客様の変革をお手伝いします」
『DX経営の羅針盤』は、その経験と実績の賜物でもある。まずは手に取って現在地を知るとともに、変革のリアルに触れ、少し先を見てみてさらに次の実践をしてみてはいかがだろうか。
NECでは今後もインタビューや調査を通年実施し、定期的にレポートを刷新する形で、企業のDX推進に貢献していくという。