

日本企業の変革を加速し
価値最大化への道のりにドライブする
2024年5月に登場した新ブランド「BluStellar(ブルーステラ)」は、NECの提示する価値創造モデルである。そこには、およそ6年間にわたってNECが自社で実践・実行したDX(デジタルトランスフォーメーション)の知見・ノウハウが盛り込まれている。「BluStellar Agenda」で定義した経営課題に対して、「BluStellar Scenario」はその解決と価値創造への道筋を示したもの。BluStellar Scenarioの適用事例は着実に増えつつある。いくつかの事例を含めて、BluStellar Scenarioの価値創造アプローチを解説する。
DXと経営課題解決を実現
社会価値につながる企業変革をスピーディーに実行
日本企業の変革が勢いを増している。NECの調査によると、意思決定のデジタルの着手率は2023年の49.6%から2025年には97.0%に上昇。さらに2025年には70%がDXの進捗を実感している。NECの木村哲彦はこう説明する。

執行役 Corporate EVP
デジタルプラットフォームサービス BU長
木村 哲彦 (2024年3月31日時点)
「2024年のDXへの取り組み状況は、前年に比べて大きく変化しました。AI(人工知能)や生成AIを本格導入する企業も増えており、経営の重要なテーマになってきました」
NECが2024年5月に発表した新ブランド「BluStellar」は、企業のデジタル化にとどまらず、DXによる経営課題解決をサポートする広範な取り組みである。経営課題は大きく5つの「BluStellar Agenda」に体系化されている。「社会とビジネスのイノベーション」「顧客体験変革」「業務変革」「組織人材変革」「デジタルプラットフォーム変革」である。

「BluStellar Agendaで定義された経営課題を解決するためのビジネスモデルを、NECは『BluStellar Scenario』として提供します。そこには構想段階から参画するコンサルティング、策定したプランを迅速に実装するための技術アセット、システム開発や各種サービス、導入後の運用などが含まれます。DXと経営課題解決をフルサポートするシナリオを用いることで、お客さまは競争力向上につながる施策をスピーディーに実行することができます」と木村は話す。
BluStellar Scenarioは大きく3つの価値を提供することができる。
第1に、経営課題と具体的なロードマップが明確になり、リソースの戦略的なシフト、さらには事業成長を実現することができる。
第2に、実績のあるシナリオをもとに、課題解決に取り組むことができる。これにより競争力を高め、事業成長を図ることができる。
第3に、NECがパートナーとして伴走して煩瑣な業務もサポート。企業は戦略的な領域に集中することができる。

NECのセキュリティ経営改革経験を静岡銀行で生かす
前述した5つの経営課題を解決するため、NECは8つのScenario Groupを用意している。例えば、組織やグループ企業のセキュリティリスク対策という経営課題に対しては、「事業成長を支え続けるセキュリティ経営改革」というScenario Groupが対応する。
![[BluStellar Agenda] Scenario Group コンサル、製品・サービス、オファリング、インテグレーションを組み合わせて、お客さま価値を創出します](images/004.webp)
「一例ですが、近年セキュリティリスクを経営課題と捉える経営層が増加してきています。グループ企業全体の事業継続リスクや、セキュリティガバナンスの不安がその要因です。その場合、セキュリティ経営改革に資するシナリオを提供することができます。こうしたシナリオの数は現在(2025年3月25日時点)、30種類で順次拡充していきます」と木村はいう。
BluStellar Scenarioは企業の課題解決を早期化し、その価値を最大化するための道筋を示したもの。30種のBluStellar Scenarioの先には、具体的なソリューションやサービスが数百種用意されている。例えば、セキュリティ経営改革に役立つセキュリティ経営ダッシュボードやセキュリティ対策SaaSサービスなどである。
「数百種の中には、NEC独自のサービスもあれば、他社のものもあります。有効な技術やサービスを世界から広く集め、それらを組み合わせてお客さまの経営課題解決をサポートします」と木村は語る。
そのNECの特長は3つ。NECが積み重ねた様々な業界に広がる顧客基盤の厚み、コンサルティングノウハウ、システム開発・運用における長年の経験と知見である。これらの強みを生かして、BluStellarの提供実績は増え続けている。
事例の一つとして、静岡銀行における次期OA(Office Automation)環境整備がある。ゼロトラストの導入によりしずおかフィナンシャルグループ内のセキュリティ対策導入時の負荷低減と運用効率化、業務生産性の向上に寄与するプロジェクトだ。
「お客さまのグループ各社は、これまで個別のOA環境を利用されていたため、セキュリティ対策についても各社ごとの対応が必要でしたが、グループ内で共通的なゼロトラストアーキテクチャをご採用頂くことで、一貫したセキュリティ運用による運用負荷軽減を図ることができます。またグループ各社のネットワークを統合し、すべてのデバイスが『共通SASE(Secure Access Service Edge)基盤』を経由して直接インターネットに接続することで、多様かつ最新のクラウドサービスをより安全に利用することが可能となります」(木村)
NECグループで実践してきた情報セキュリティガバナンスと運用負担軽減を同時に実現した経験が生かされる形だ。自社およびグループ企業で先端の技術やサービスを導入し、そこで得られた知見を顧客企業に展開するケースは少なくない。

システムインテグレーターからバリュードライバーへ
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への顔認証システムの導入も事例の一つだ。入場管理で顔認証を用いるだけでなく、店舗などでの顔認証による決済を実現する。スマートフォンからの顔認証登録が可能で、すでに100万人以上が登録済みだ。
「万博会場の内外で利用できる『ミャクペ!』という電子決済サービスのシステム構築は、NECが担いました。ミャクペ!に会員登録した方は、売店や自販機などで顔認証による決済が可能です。顔認証としては、国内最大規模の事例になります」と木村。NECの社内では、社員食堂など様々なところに「顔認証+決済」のサービスがある。自社事例で得たノウハウは、万博会場などにも生かされることになる。

このほか、すでに様々な企業にBluStellar Scenarioが適用され効果を上げていると木村はいう。
「例えば、データドリブン経営へのシフト。NECでは役職に応じて、経営ダッシュボードで必要な数値などを即座に確認できる環境を整えました。このような仕組みをお客さまに提供することで、経営スピードの向上、さらにはイノベーションの実現をサポートしています。また、セキュリティも重要な経営課題。NECが実践を通じて蓄積したセキュリティのノウハウを、お客さまにも役立ててもらいたい。私たちはセキュリティの診断からロードマップ策定、そしてサービス提供までを一気通貫で提供しています」(木村)
約6年前から、NECはDXに本格的に取り組んできた。そして、事業構造とビジネスモデルを変革してきた。これまでの主力事業であるシステムインテグレーションは、バリュードライバーとしてのBluStellarへと生まれ変わりつつある。

「長い歴史のある企業だけに、変革は容易ではありません。いくつもの困難を乗り越えて、NECは大きな変革を起こしてきました。その成果は業績にも示されています。試行錯誤を含めて、お客さまへご提供したDXノウハウやテクノロジー、人材、さらにNEC自身の変革を集大成したものがBluStellarです」と木村。NECはBluStellarを通じて、企業のDXをEnd-to-Endでドライブしていくことで多くの価値を創造していくだろう。

未来へ導く、光となる。