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部門・世代を超えた対流で新しい価値を生みだす
~旭化成ホームズの組織づくりとその実践法~

 働き方の多様化やフリーアドレスの導入、オンライン会議の普及により、職場での“ちょっとした対話”や相互理解の時間は確実に減っている。部署や世代を超えた一体感をどう育むのか――これは多くの企業が抱える共通の課題だ。旭化成ホームズでも、部門間の連携強化や新しい価値創出を見据え、半年ほど前からコミュニケーション活性化に向けた取り組みを本格化させてきた。その一環として利用したのが、NECの「Team Building Package」だ。これはインドアの学びとアウトドアでの交流体験を組み合わせた社内イベントで、非日常環境で自然に対話が生まれるよう設計されている。これにより参加者にどのような変化があったのか。旭化成ホームズと企画を支えたNECの担当者に話を聞いた。

SPEAKER 話し手

旭化成ホームズ株式会社

今来 昌二氏

住宅事業集合建築本部
中高層営業部長

大木 涼司氏

住宅事業集合建築本部
事業推進部 テナント・マーケティング室 担当室長
兼 中高層営業部 テナントリーシング責任者

NEC

後藤 淳一郎

スマートリテール統括部 未来創造グループ
プロフェッショナル

部門や世代を超え、組織に“対流”を生み出したい

──旭化成ホームズの事業概要と、現在注力されている施策について教えてください

今来氏:当社は1972年に創業した旭化成グループのハウスメーカーです。耐震・耐火・耐久性に優れた「ヘーベルハウス」を中心に「LONGLIFE」な商品・サービスを提供しています。

 そのなかで当部門が担当するのは、中高層ビルの「へーベルビルズ」です。建物を提供するだけでなく、テナント営業/新業態の企画検討を担い、営業活動と案件創出を両輪で進めています。

 例えば、賃貸マンションの1階店舗に加えてテナントビルなども建築、それをマスターリースし、1階には飲食店などのテナントを誘致する。エリア分析して医療系のニーズが見込める場合はクリニックモールを提案する。その土地を最大限に活かし、オーナー様にご満足いただける価値づくりを担っています。

 近年は入居していただくテナントを決めてから着工するケースが増えており、当部が担うマーケティングや提案活動のニーズが高まっています。

旭化成ホームズ株式会社
住宅事業集合建築本部
中高層営業部長
今来 昌二氏

──価値づくりのためには多様なアイデアが育つ下地づくりが大切ですね。

今来氏:1人の力では限界がありますからね。設計・建築部門や営業部門など組織内の連携を促進し、部門や世代を超えた一体感を醸成する取り組みを、半年ほど前から進めています。

──具体的にどのような取り組みを行っているのですか。

大木氏:企画したビルが竣工後、テナントに飲食店が入った場合はそこを貸し切って、営業、企画、設計、工事関係者も交えて祝賀パーティーを行います。これまでに数回実施しています。無事に竣工し、テナント様も入って、普段顔を合わせない人とも交流できるので、とても盛り上がります。

 これとは別に、年2回ほど、当部内での集合研修も行っています。事業の方針発表や事例共有などを行った後、懇親会やクイズ大会などコミュニケーションの機会を設けています。

旭化成ホームズ株式会社
住宅事業集合建築本部
事業推進部 テナント・マーケティング室 担当室長
兼 中高層営業部 テナントリーシング責任者
大木 涼司氏

コミュニケーションの「原点回帰」を目指す

──なぜ、そうした取り組みを実践しようと考えたのでしょうか。

今来氏:もともと部内の部署は複数のオフィスに分かれていたのですが、今のオフィスに移転してその集約を進めています。

 今のオフィスはL字型のフリーアドレスなのですが、L字の両端の場所で仕事をしていると、1日中顔を合わせないこともある。もちろん、メールやチャットで必要なコミュニケーションは取れるのですが、同じ部に所属しながら、対面で話をしたこともない人や、どんな仕事をしているかわからない人もいる。

 フリーアドレスは座席が固定されないから、自然と交流が生まれやすいといわれます。それは否定しませんが、思い描いている通りにいくとは限りません。

 またCOVID-19をきっかけにリモートワークをはじめとして働き方の多様化も進みました。在宅勤務ならオフィスに来る必要さえない。メールやチャットを介してずっと一緒に仕事をしていたメンバーがいるのですが、その人と初めて顔を合わせたのは、一緒に仕事をしてから半年後。それもオンライン会議の画面を通じてでした。

大木氏:壁というほど大げさではありませんが、世代間の違いみたいなものもあります。私は40代ですが、20代や30代の人に「昔はこんなことがあった」と話しても通じないことがあります。変化が速い時代になった分、考え方や価値観も変わりやすいのは当然かもしれません。今の状況に置き換えて話すとか、話し方、伝え方を工夫しないと真意がうまく伝わらないことがあります。

後藤(NEC):お二人がお話されたことは、ほかのお客様からもよく伺います。在宅や時短勤務、シェアオフィスなど働き方が多様化しているので、顔を合わせることで自然に生まれるコミュニケーションの機会が減っています。

 オンラインの会議は便利なツールですが、目的が明確な分、コミュニケーションに余白がないというか、必要な情報や意見をやり取りするだけです。「本筋から離れるけど、ちょっと聞いておきたい」ということもなかなか声に出しづらい。以前は普段の仕事のなかで築けた人間関係が築きにくくなっているようです。

NEC
スマートリテール統括部 未来創造グループ
プロフェッショナル
後藤 淳一郎

今来氏:ただ、若手も含めた多様な視点を取り入れていかないと新しい価値づくりはできません。対面のコミュニケーションがしやすい環境を“仕組み”として整備する必要がある。そう強く感じたのです。

自然と会話が生まれ、意外な一面を知ることも

──今回、NECの「Team Building Package」を採用した経緯を教えてください。

大木氏:後藤さんから提案を受けたのがきっかけです。大手ITベンダーのNECがチームビルディングのイベントサービスを提供しているのが面白いなと思いました。説明を聞いて、私から今来に上申しました。

今来氏:イベントの手配は当部の社員が行っていましたが、日程や参加人数を調整して場所を確保したり、実施プログラムを考えたりと手間と労力がかかっていました。これを任せられるならお願いしてみようと思いました。コストも自社でやる時よりリーズナブルです。

──「Team Building Package」の特徴を教えてください。

後藤:インドアでの研修やワークショップを通じた業務軸での共通認識の醸成とアウトドアを使った交流による相互理解の深化を組み合わせたイベントです。目的、期待効果に合わせて、主体的に参加できるインドアでのコンテンツ設計、アウトドアではバーベキューの他に焚火も使いながら非日常感ある交流を設計します。

 頭を悩ませがちな研修内容から会場や資材の手配まで、一気通貫でNECにお任せ頂けます。専門コンサルティング支援含め、ご担当者のチームビルディング業務をサポートしています。

図「Team Building Package」の概要
顧客の組織課題を整理し、インドア×アウトドアによる対面イベントの設計・実施をトータルにサポート。メンバーの一人ひとりが最大限の力を発揮できる組織・環境の土台づくりを実現する

──なぜインドアとアウトドアを組み合わせた設計なのですか。

後藤:多様な働き方で希薄化しがちな“人となり”を知る対話は、リアル体験が最も効果を出しやすいからです。バーベキューや焚き火を囲んだラウンジで、役職や世代の違いを意識せず非日常を感じやすくなります。日常から離れることで、受け身でなく主体的に参加意識を促す。リアルでしか体験できないコミュニケーションで相互理解を深める。アウトドア併用設計はそういう効果を狙っています。

──実際に「Team Building Package」を利用した感想はいかがですか。

大木氏:アウトドアのイベントは飲んで食べて自由に歓談する場です。普段話さない人とも会話が生まれやすいように、くじ引きでチーム分けしました。即興のチームを組んで挑むゲームやバーベキューは本当に楽しかったですね。

 普段はあまり積極的に発言しない人が、実は肉の焼き方にとてもこだわりを持っていたり、ある人はかいがいしく皆に取り分けたり、意外な一面を知ることもできました。

 お互いに、どんな仕事をしているのか聞き合ったりもしました。オフィスでは顔を会わせても、そんなことは聞けませんからね。誰がどんな情報や人脈を持っているのかもわかったし、イベント後にオフィスで会った時は自然と言葉を交わすようになりました。

旭化成ホームズが行ったアウトドアのイベントでの様子

今来氏:私も初めて会話できた人が何人もいます。参加者も非常に楽しんでくれました。誰も取り残されることがないように、まずコミュニケーションの機会をつくることが狙いだったので、イベントは大成功でした。

「クライアントゼロ」で培った知見とノウハウが強み

──イベントを実施するまでの流れと、当日のプログラム構成について教えてください。

後藤:事前に3、4回打ち合わせを実施し、今までの取り組みやイベント開催の狙い、参加者の年齢構成、普段のコミュニケーション頻度などをヒアリングします。これを元にグループワークのグループ分けからインドアコンテンツの企画、アウトドアでの仕掛けを考えていきます。

 バーベキューと焚き火ラウンジは自由トークタイムにして自然と会話が生まれるようにし、チーム対抗戦のゲームを行うことで、一体感を醸成できるようにしました。

大木氏:インドアの研修やワークショップは当社が有しているプログラムで運営しました。今回設計をお願いしたのは主にアウトドアイベントの方で、くじ引きでチーム分けするのも、事前の打ち合わせの時に決めました。

──なぜNECがこのような体験型イベントを提供できるのでしょうか。

後藤:NECは低迷期を脱するために、自らが社内文化の変革に取り組んできました。なかでも重視したのがコミュニケーション改革です。

 NECは大きな組織なので部門やレイヤが多岐にわたり、互いの接点が少なかったのです。部門やレイヤの壁を超え、タテ・ヨコ・ナナメのつながりをつくる。一方通行ではなく対話形式でビジョンや指針について共通認識化することでメンバーが自由に意見を出し合い、モチベーションや目標意識を高める。そういう仕組みづくりについて試行錯誤を重ねました。

 改革は2018年からスタートし、社員のエンゲージメントスコアは5年間で20ポイントも向上しました。

 「Team Building Package」には、まず自らが実践する「クライアントゼロ」に基づく知見やノウハウが活かされています。このサービスを利用して、若手主任層対象のイベントを行った部門では、実施前に54%だったエンゲージメントスコアが93%になりました。営業組織とSE組織の横のつながりに課題を持っていたグループ会社では、参加者の90%以上が新しい仲間と業務のつながりができたと回答しました。我々が試行錯誤して辿り着いた手法は、同様の課題を抱える企業や組織のコミュニケーション活性化に貢献できるはず。こうした思いからサービスをパッケージ化し外販することにしたのです。

──今回のイベント開催を振り返って、今後の展望をお聞かせください。

今来氏:参加者の反響も非常にいいので、利用して本当に良かった。ぜひまた利用したいですね。その時は体験設計をもっと工夫して、コミュニケーションがさらに活発になるような仕掛けを考えたい。NECの提案に期待しています。

大木氏:今度はアウトドアだけでなく、インドアのプログラム設計もお願いしたいですね。部全体のイベントはもちろん、プロジェクト単位のイベントでも利用したい。

今回、インドア研修については旭化成ホームズ自身が行ったが、そこから内容等も含めてNECにアレンジを任せることも可能だ

 NECでは、イベント後のアンケート設計や振り返り支援など、効果測定から次回施策へのフィードバックまで継続支援も可能です。

今来氏:人と人とのコミュニケーションはビジネスの基本です。働き方の自由度は高まっても、対面のコミュニケーションは大切にしたい。今後もチームワークと社員のエンゲージメント向上に取り組み、それによってシナジーを高めることで、お客様にご満足いただける価値提供に努めていきます。