2016年10月03日
最先端のセキュリティと省電力技術を駆使した「NEC神戸データセンター」を徹底解剖
2016年4月、NECの西日本におけるフラグシップデータセンター、「NEC神戸データセンター」がオープンし、先日特別に見学の機会を得ることが出来た。同データセンターの特徴を表わす3つのキーワード、「安全・安心」「効率」「ハイブリッド」に対して、自然災害対策、セキュリティ、省電力、ハイブリッドクラウドの観点からポイントを紹介していきたい。

自然災害に強く、万一の時も電力供給は万全
NEC神戸データセンターの特徴である「安全・安心」。その第1のポイントは、自然災害に強いという点である。同データセンターは神戸市に立地し、主要活断層から7㎞離れた、N値(※)60以上の強固な地盤の上に建設されている。ハザードマップ想定対象外で液状化についての心配もない。また、海岸線からは約9㎞離れた海抜約100mの場所に位置し、水害の危険性は極めて低い。
※N値 : 地盤の強度を示す数値で、50以上は極めて高いとされる。
また、建屋自体が「免震構造」となっており、建屋の下に地震の揺れを建物に伝わりにくくする『すべり支承』と『積層免震ゴム』が設置されている。それにより、万一の大地震にも耐えうる構造になっている。


すべり材が鋼板の上を滑る「すべり支承」(左)とゴムの柔らかさで振動を吸収する「積層ゴム」(右)で地震の揺れを建物に伝わりにくくする
第2のポイントは、電力供給についての万全な備えである。NEC神戸データセンターの受電設備は、2カ所の変電所から本線・予備線の2系統の電力供給を受けており、片方の変電所が停電しても対応可能だ。一般的に立地の関係により、2カ所の変電所から受電できるデータセンターは少ない。また、変電所が両方とも停電したとしても72時間連続無給油運転が可能な自家発電装置を有している。万一の際にも万全といえよう。
厳重かつ効率性も追求したセキュリティ対策
「安全・安心」の第3のポイントはセキュリティ対策である。入館に際し、非常に厳しいセキュリティ対策が実施されており、利用者が、預けているサーバのラックを開錠するまでに幾つもの厳しいチェックを受ける。その中で特筆すべきは「ウォークスルー顔認証システム」の導入だ。
一般的にIDカードによる認証だけでは盗難や紛失等により、なりすましの可能性がある。よって生体認証とIDカードを組み合わせることにより、本人確認を確実に行う。ここでは、世界No.1(※※)の精度を誇るNECの顔認証技術を用いて、カメラを意識することなく、歩きながら顔認証を行う「ウォークスルー顔認証システム」を採用している。我々もカメラを意識することなく、スムーズに入館することができた。セキュリティと利便性を両立した画期的な仕組みだ。
※※米国政府機関主催のコンテストでトップ評価を獲得


入館時に顔情報を登録(左) IDカードでドアが開き、歩きながら顔認証し次のドアが開く(右)
同データセンターでは、警備室と中央管理室により、24時間365日の監視が行われている。中央管理室においてはNECのビル管理システムを使用し、データセンターの設備全体を監視し、例えば、各ラックや空調設備に電気が確実に供給できているか、またラック扉が開きっぱなしになっていないかなど、様々な観点で監視が行われている。異常があれば即座に処置を施す体制がとられている。
また、同データセンター施設の周囲においては、外部フェンスの監視カメラとNECの「行動検知システム」の組み合わせにより外部からの不正侵入を防止する。
本システムは人間の不審な行動を発見するだけでなく、予兆をも検知するものである。例えば小動物ではなく人のフェンス乗り越えを検知したり、ものの置き去りなどを検知することにより、警備室と連携してインシデント発生を未然に防止する。
