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2016年10月03日

インダストリー4.0最新動向、日本・ドイツ・アメリカが目指す未来とは

スマートコンストラクションが切り開く未来。コマツが語る、なぜ建機のICT化が必須なのか

建設現場のすべてを「見える化」するのが「スマートコンストラクション」

──2015年には、KOMTRAXをさらに進化させた「スマートコンストラクション」を開始しました。

黒本氏:
 2015年2月より開始した「スマートコンストラクション」は、建設現場の課題を解決し、「未来の現場」を実現させていく、建設現場向けソリューションです。

 2013年から作業機の自動制御を実現したICT建機の市場投入を行っています。ダントツ商品であるICT建機を最も効果的に使ってもらうためには、お客さまの工事全体のプロセス改善に深く関わる必要があると考え、始めたのがスマートコンストラクションです。新たにクラウドプラットフォーム「KomConnect(コムコネクト)」を開発し、建設現場に関わるあらゆる情報をICTで見える化して、つなげることで現場の生産性や安全の向上を図っています。

ICTブルドーザー D61PXi-23(出典:コマツ提供)

──KOMTRAXから始まったコマツのIoTの最新形が「スマートコンストラクション」で、その中核をなすクラウドプラットフォームが「KomConnect」ということですね。

黒本氏:
 KomConnectは、以下のようなお客さまの施工管理項目をワンストップで提供するプラットフォームです。

  1. ドローンや3Dレーザースキャナー、建設機械の運転席に搭載されたステレオカメラなどを活用した「現況の高精度測量」
  2. 施工完成図面の「3次元化」
  3. 土質や地下の埋設物について、事前に調査し解析する「変動要因の調査・解析」
  4. 施工計画シミュレーション機能により、条件ごとに異なる施工パターンを提案する「施工計画の作成」
  5. 3次元データ化された完成図面による、ICT建機の「高度に知能化、自動制御された施工」
  6. 完工後の施工データ活用
スマートコンストラクションの全体像(出典:コマツ提供)

黒本氏:
 KomConnectをプラットフォームとして人、機械、土など建設現場に関わるあらゆるデータを見える化し、連携することで、さまざまな価値を提供することが可能になります。

──「利用」が価値を生むビジネスモデルですね。

黒本氏:
 生産財である建設機械の価値は、それを使ってお客さまのビジネスに貢献することです。前述のKOMTRAXが契機となり、弊社のKPIも、「お客さまにどうやって儲けていただくか」「そのためにどんな価値を提供するか」という点にシフトしていきました。たとえば、お客さまとコマツ代理店の会話の内容は、従来は建機の性能、スペックの話が中心でした。

 これが今は、「どのような運転方法だと燃費が良いか」などという「使い方」の話も多くするようになっています。

──貴社はいち早く取り組まれていたわけですが、製造業の世界ではようやくIoTやインダストリー4.0に注目が集まっています。こうした言葉をどのように捉えていますか。

黒本氏:
 個人的にはCPS(サイバーフィジカルシステム)という言葉が、本質的な事象を一番とらまえていると思います。

 人間は目が見えて、耳が聞こえて、鼻で匂うことができます。その中でどう動くべきかを考えていますよね。それが、これからは森羅万象の裏側の属性値がわかるようになります。自分のやりたいことややりたい方向性について、サイバー空間でデータが取れる、しかもそれが本質的だったりするわけです。我々の営み、インダストリーの仕組みそのものが大きく変わる転機だと思います。

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