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AI対談:NECレッドロケッツ監督・データアナリスト

チームの「絆」が勝利の源泉
AIがNECレッドロケッツをサポートへ

2017年08月09日

AIで選手に気づきを与え、実践を人が支援する

──選手のフォーム分析のほかに、どのようなことにAIを活用したいですか。

山田:
 試合後の映像を確認する選手は多いのですが、それは自分の、自チームの、または対戦相手のプレーをチェックするためがほとんどです。もちろんそれは勝つために必要なことですが、よりスケールを大きくしたい。例えば世界一を目指すなら、世界一と言われる選手の映像を見て、自分のイメージに取り込むことが重要です。

 例えば、国際大会の試合を全部AIに学習させて、見たい映像をすぐに見られるようになったらいいですね。いろいろな局面に応じて、トップクラスの選手はどう動いているのか。多くのお手本に接することで、選手の意識やイメージを大きく飛躍させることができると思います。

本橋:
 NECでは画像認識技術を使って、街の防犯や交通調査などの活動をサポートしています。膨大な画像データの中から、条件を満たす人物や車両を瞬時に特定できます。山田監督が今言われたことも、技術的には実現可能です。そう遠くない将来には実用化できるでしょう。

山田:
 それは楽しみですね。AIによって選手の意識が変われば、自分にとって足りないものが見えてくる。技術であればそれを磨くトレーニングが必要だし、プレーを支える体力であればフィジカル面を強化する。AIが気づきを与えてくれることで、上を目指す向上心に火が付くはずです。世界レベルと比較する中で、自分の弱点や強みを発掘し、より高みを目指すためのモチベーションに変えていく。そういう好循環を期待しています。

本橋:
 その他にもスポーツ分野では色々なAI活用が考えられます。チーム強化に向けたスカウティングもその1つです。これは、民間企業での採用をサポートするAIを応用して、選手が将来活躍するかどうかを予測するものです。その他、体調管理をAIがアドバイスするというアプローチもあります。個人に合ったケガをしないためのトレーニング方法や、痛みが悪化する前に休んだ方がいいかどうかなどをAIがアドバイスするわけです。フィジカルトレーニングにあわせた、栄養管理も有効な分野の1つかもしれません。

山田:
 そういうことができるなら、是非、取り入れてみたいですね。その一方で、チームを精神面でサポートしていくのは、やはり人の役目だと思います。選手だけでなく、コーチやトレーナーとコミュニケーションを取り、共通認識を高めていく。人間同士の、こうした意識付けやきめ細かなサポートはとても大切です。何より、個々の力をまとめ上げ、チーム力に変えていくのが監督の役目ですから。

──具体的にはどのような意識付けやサポートを行っているのでしょうか。

山田:
 それぞれの選手の成長に加え、「チーム力」という意識をチームに根付かせることを重視しています。自分のためにチームがあるのではなく、チームのために自分が必要だという意識です。そのためにはメンバー各々の特性を最大限に発揮でき、お互いを高め合える関係性があることが大切です。バレーボールはチームスポーツ。決定率の高いアタッカーや優秀なセッターが集まれば、必ずしも勝てるわけではないのが不思議なところです。

 例えば、明るい性格でみんながモチベートされる特性を持った選手がいます。その選手がいるかいないかで、チームがガラっと変わってしまう。その選手が声を出すだけで、点数に関わっているかもしれない。メンバーチェンジでその選手が入るとチームが活性化する。それで劣勢をひっくり返して勝つこともあります。

 つまり、チームの調和や伸びしろを作ること。仲間同士が活かし活かされる関係の中で、この仲間と共に目指すところへ到達しようと本気で思えること。それが大事ですし、人間同士でしか成しえない部分だと思います。

本橋:
 世の中にはAIが得意なこと、人でなければできないことがあります。それはスポーツの世界も同じ。AIと人が協調することで、より大きな成果を生み出すと私も信じています。AIと人の協調を念頭に、これからもチームの発展、バレーボール界の底上げ、さらには2020年へと少しでも貢献できれば、これほど嬉しいことはないですね。

山田:
 はい、私も今回の取り組みを通じて、スポーツとAIの相性の良さのようなものを実感しています。AIの進化には今後も注目していきたいですね。

──最後にNECレッドロケッツの監督として、今後の展望を聞かせてください。

山田:
 いろいろな繋がりを大事にしていきたいと思っています。チームだけでなく、今回、お声がけいただいたチーム外のご支援も含め、いろんな繋がりの中で、我々はプレーしています。チーム力のさらなる強化を図り、V・プレミアリーグの2連覇を目指す。これが目下の目標ですが、我々が頑張っていくこと、上を目指していくことが、自分たちだけでなく、自分たちの周りに、感動とか頑張ろうという気持ちだとか、何かしらの影響を少しでも与えられたら嬉しいですね。

山田 晃豊

NECレッドロケッツ
監督

NECレッドロケッツのコーチ、全日本コーチ、イタリアバレー留学を経て、2008年に監督に就任。V・プレミアリーグ2014/2015および2016/17でチームを優勝に導き、ともに優秀監督賞を受賞。監督としては2度目、コーチ時代も含めると5度目の優勝経験となる。
本橋 洋介

NEC
AI・アナリティクス事業開発本部
シニアデータアナリスト

データサイエンティストと研究者という2つの顔を持つデータのエキスパート。AIを活用したデータ分析の仕事に従事する一方、実際にお客さまと接することでわかる現場からの課題や要望などを基に、新しいAI技術の研究開発を行っている。

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