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2019年12月09日

「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2019」レポート

デジタル・ガバメントのその先へ
~住民の一生涯を支える近未来の行政と、企業の関わり~

 人生100年時代と言われる現在、NECが考えるデジタル・ガバメントの近未来像は「住民の一生涯を支える」がキーワードです。企業や行政が連携し、さまざまな情報をもとに一人ひとりに合わせたサービスが提供される近未来の様子を「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2019」で紹介しました。

 近未来、私たちは一人ひとりのライフステージに合わせ個人にピッタリ合ったサービスが受けられ、一方では企業や行政は常に新たなビジネス創出や価値の提供が可能になります。

 例えば教育分野では、学習の進み具合やつまずき、得意不得意といった、さまざまな情報を本人の希望に基づき共通のIDに紐付けて管理し、学校や自宅、塾のほか、企業や研究機関などと連携。その情報をもとに、自分の個性や興味関心に合わせた教育を受けられるようになります。さらに生涯にわたってデータを蓄積・連携することで、どこにいても最適な教育を受けられたり、自分の能力を最大限に発揮できる仕事を見つけたりすることが可能になるでしょう。

 また、将来のお金のことも、より安心して向き合えるようになるはずです。例えば、本人同意のもと、自分の資産やライフスタイルなどの情報を行政や金融機関等から収集・連携し、AIが分析。将来に向けた資産形成や住宅購入などの最適なタイミングやプランを提案してくれます。また、健康診断の結果や生活習慣などの情報をもとに将来の健康状態や医療費の予測、保険、税金・相続、老後対策など、住民に寄り添ったきめ細やかなアドバイスとサポートも受けられるでしょう。

 さらに、介護も安心です。行政から受けられる補助や民間サービスなどから、個人の状況に合わせてAIが最適なものを組み合わせて提案。住民は必要なサービスを必要なときに受けられ、サービス提供者もニーズのある人に的確に、またスピーディに提供できます。こうしたサービスの申し込みはワンストップで実現されるため、何度も窓口に足を運んだり、何枚も書類を記入したりする必要はありません。

 NECは、多くの官公庁向けシステムや幅広い業種向けシステムを開発してきたノウハウを活かし、さまざまな企業と行政がつながり、新しいサービス・価値が生まれ住民の暮らしを支えるデジタル・ガバメントの未来に貢献していきます。

デジタル・ガバメントのその先へ
~住民の一生涯を支える近未来の行政と、企業の関わり~

世界の4つの先進事例と日本が学ぶべきポイント

 これまでご紹介した近未来において、本人情報の紐づけのキーとなりうるマイナンバーカードは、現在官民でさまざまなインフラ整備が始まっています。例えばNECの顔認証技術を活用したセブン銀行の次世代ATMがマイナンバーカードに対応したほか、2021年には健康保険証の代わりにマイナンバーカードで医療保険の資格確認が実現される予定です。NEC デジタル・ガバメント推進本部の松見隆子は「海外先進事例から学ぶ日本のデジタル・ガバメントのゆくえ」と題したセミナーにて、さらに先を行く海外事例を紹介しました。

NEC
デジタル・ガバメント推進本部
シニアエキスパート
松見 隆子
国内でもマイナンバーカードの普及を見込み、さまざまなインフラ整備が進む
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 インドでは、インド版マイナンバーと言える国民IDシステム「Aadhaar(アドハー)」の登録が2010年から開始され、2019年時点で登録者は約12億人にのぼります。アドハーの身分証明カードを用いて銀行口座を開設したり、銀行口座に紐付けて政府の助成金を直接受給できたりと、多くの世帯に役立つサービスが展開されています。注目すべきは「Aadhaarをキーに本人確認や電子署名などの機能をもつ公共インフラであるIndia StackがオープンAPIとして提供されていることにより、企業がそのAPIから必要な機能を自由に自社サービスへ取り込むことができる点」です。日本のマイナポータルもAPI※1が整備されてきているところですが、一部の行政サービスでの活用にとどまっており、利便性を実感できる場面が少ないのが現状です、と松見は指摘しました。
※1:「マイナポータルAPI」は内閣府が提供するAPIで、行政が保有する本人の情報を、本人の意思に基づき必要な企業に提供できる機能のこと

 オーストラリアでは、国民の90%以上が健康管理記録「My Health Record」に参加しています。オンライン上に担当医が個人の健康情報や検査結果、処方情報や紹介状を格納、共有する仕組みであり、投薬による重篤な副作用や検査の重複などが避けられ、治療成果の向上が期待されています。このサービスのポイントは、国民のほとんどが参加してサービスが展開されていること、また緊急時、意識がない等により本人の同意が得られない場合は、医師などが情報にアクセスできると法律で規定されていることです。日本でもPHR(Personal Health Record)の整備が検討されていますが、この緊急時の活用用途が具体的に法で示されている点は参考になる要素のひとつでしょう。

 デジタル・ガバメントの先進国、デンマークでは、あらゆる行政サービスをワンストップで利用できる国民ポータルサイト「borger.dk」が存在し、その利用率は93%にのぼります。CPRと呼ばれる国民IDとNem IDと呼ばれる電子署名付きIDがこの市民サービスの利便性を支えています。また公用口座を開設する場合も、日本では給付用の口座を役所に届出ますが、デンマークでは役所にCPRを指定するだけで、口座情報を登録しなくても給付が行える仕組みになっています。

 国民ポータルサイトや官民データ連携では「国民の使いやすさ、国民にとって何が便利かを視点にシステムが作られていること。日本のマイナポータルも徹底した使いやすさ、利便性を追求する必要があります」と松見は強調します。

 アメリカの空港で行われている旅行者認証システムの事例では、税関・国境取締局において顔写真を含む入国者のデータを一時的に管理し、生体認証による入出国が可能になっています。さらにこのシステムは航空会社も利用でき、例えば紙の搭乗券の代わりに顔認証で本人確認を行うなど、乗客の利便性も向上しています。松見は「日本では空港の入管・税関・検疫などが縦割りになっており、官民の円滑なデータ利活用に向けた抜本的な取り組みが必要」と指摘しました。

世界の4つの先進事例。日本が学ぶべきポイントを紹介しました
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行政窓口の効率化とEBPM※2を支援

※2 EBPM(Evidence Based Policy Making):証拠に基づく政策立案

 展示ブースでは、デジタル・ガバメントに関連する現在の取り組みやソリューションを紹介しました。

 その1つが、行政手続きにあたり住民が事前にスマートフォンなどを使ってWebから申請書を作成できる「NEC 窓口改善ソリューション」です。今回は参考出展として、転入届の手続きを例に、申請書の作成に加え、本人確認と申請書記載内容の審査をシームレスに実現する、セルフ手続き端末を展示しました。この端末は、役所以外の場所に設置することを想定し、簡易な手続きであれば、住民が職員と対面しなくてもセルフで申請を完了できるように配慮しています。具体的には、顔認証と顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカードや免許証、在留カードなど)を組み合わせて行う本人確認、AIによる審査サポート、必要に応じて遠隔地にいる職員とビデオ通話ができる機能等を備えています。住民目線では、待ち時間や窓口での手続きの時間が短縮できます。地方公共団体側から見れば、窓口業務の効率化により、少ない職員数でも住民サービスの向上が可能になると期待されています。

住民がセルフで行政手続きを完了できるよう各種機能を搭載した、セルフ手続き端末

 また、EBPMを支援する取り組みとして、地図情報システム(GIS)を活用し、地方公共団体が保有している住民情報を施策に活かすユースケースを紹介しました。住民や社会保障・税に関するデータを、地図上に乗せて面で捉えることで、それまで気付かなかった地域課題の発見や解決法の検討につなげられるというものです。

 例えばコミュニティバスの路線変更を検討する場合、高齢者の住まいの分布や、住民が通う病院の位置、既存のバスルートといったデータをGISに取り込み地図上に視覚化することで、路線の見直しを検討しやすくなります。こういったデータに基づく施策や政策の推進は、住民への説明責任を果たす場面でも有効です。

住所リストだけでは見えにくかった、利用者とバスルートの関係なども、地図上に視覚化できることで新たな対応策が打てるようになります

Society5.0時代の子どもの学びと先生の指導を支援

 教育分野では、「Society5.0時代の新しい学びを支える教育プラットフォーム」をテーマに、学習コンテンツ事業者と地方公共団体、学校、塾、家庭をつなぐプラットフォーム「Open Platform for Education」と、その学習用端末「NEC Chromebook Y1」を紹介しました。

生徒一人ひとりに合わせた学習の展開と同時に教職員の作業負荷の軽減を実現するプラットフォーム

 先生や児童・生徒はポータルにログインすればシングルサインオン(SSO)で教育クラウドのさまざまなコンテンツを利用でき、デジタル教科書で学んだことをグループ学習で連携させるといった使い方も可能になります。さらには今後、子どもたちの学習履歴が蓄積されれば、一人ひとりに応じた教材を提示するなど、学習コンテンツ事業者とNECのデジタルノウハウを組み合わせ、Society5.0時代の学びの環境も提供できます。

 また、文部科学省の新指導要領では主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を重要視しており、どのように協働学習を進めるか、その手法を模索する先生は少なくありません。NECでは子どもたちの声や感情からグループ学習の様子を見える化する「協働学習支援サービス」を開発中で、これまで京都市の小・中学校で実証事業を行っています。

デスクトップディスプレイにみえるのが「協働学習支援システム」

 音声認識エンジンと音声感情解析エンジンを組み合わせ、グループ学習の机に設置したマイクで子どもたちの声を収集し、テキスト変換して先生の端末に表示します。各テキストには色別で子どもたちの感情(平常、怒り、喜び、悲しみ)が表示されるため、先生はグループのどの子どもがどんな感情で発言しているのかを把握することができ、複数に分かれたグループ学習でも適切な指導が可能です。教育クラウドではこういったサービスも利用できるようになります。

 今回の展示内容は、主に地方公共団体の窓口業務の効率化や教育分野にフォーカスしたものですが、NECではさまざまな社会課題に対し、行政のデジタル化、またその先の官民のデータ連携で新たなビジネス創出を支援し、住民の一生涯を支える「デジタル・ガバメント」の未来を実現します。

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