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2016年08月19日

働く大人の学びと成長

原 晋氏(前編)~組織を強くするのは、グレーゾーンのある自由な議論だ~

提案型営業マンが「三方良し」のビジネスモデルを創出

──サラリーマン時代に経験された仕事の中で、特に印象的なものはありますか。

原氏:
 サラリーマン時代、中国電力で営業所とサービスセンターで働いたのち、エコ・アイスの提案営業を経験しました。その時の業績が評価され、中国電力が立ち上げたベンチャー企業・ハウスプラス中国住宅保証の営業企画課長に抜擢されました。さまざまな経験を得られましたが、ハウスプラス中国住宅保証時代に手掛けた「ラジオCMを使ったマーケティング」は中でも特に印象に残っています。

 ハウスプラス中国住宅保証は、第三者機関が建物を評価して、公的な評価書を発行する仕事を行っていますが、当時はほとんど知名度がありませんでしたので、地元広島で絶大な人気を誇る球団、広島カープの試合が放送されるラジオCMに目をつけました。

 それまで、ラジオでマンションデベロッパーのCMが流されることはありませんでしたが、そこに「住宅保証付きのマンションを買おう。ライオンズマンションの大京は全戸、住宅性能評価付き」といったCMを流しました。ナレーションを担当したのは、ほかならぬ私です。ラジオにはCMの広告料が入り、デベロッパーは安心なイメージを売れますし、我々はCMを通じて知名度を獲得できるということで、次々と契約が取れるようになりました。

 営業マン時代にいつも考えていたのは、商品の説明ではなく、「お客さんにどうすれば喜んでもらえるか」ということです。パンフレットを持って行って、いくら商品の説明をしても、それは単なる自己満足に過ぎません。それよりも、その商品を元にお客さんにどんなメリットを提供できるのかを考えて、初めてうまくいきます。

──素晴らしいアイデアですね。ベンチャー企業だとご苦労も多かったと思いますが、まさにアイデアで道を切り開かれたのですね。

原氏:
 新しい制度ですし、新規事業の立ち上げは正直しんどかったですね。チラシ配りやポスティングなど、何でもやりましたし、なかなかお金が入らず、「このままだと倒産するぞ」と社長に言われたこともありますが、チームの中で活発に議論し、あれこれ知恵を出しながら好きにやったのが良かったのだと思います。

 私は、陸上でも仕事でも、もっと議論をすべきだと考えています。最近の風潮として、グレーゾーンがなくなって、AかBになってきていますが、本来グレーゾーンがないと世の中はうまくいかないのではないでしょうか。

 本当はAの中にもいろんな意見があるはずなのに、AかBかを選ばなければいけない。Bを選んだらもう出世が望めないとなると、みんなが上司に迎合するようになりますが、こういう企業は発展しません。みんなで自由に議論して、戦って、決まったら「ノーサイド」で一致協力をするということが大切なのではないでしょうか。

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