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2016年09月16日

働く大人の学びと成長

原 晋氏(後編)~常勝チームのつくり方は「引っ張り、声を聞き、巻き込む」こと~

 2015年、2016年と箱根駅伝を連覇した青山学院大学陸上競技部。同大学の駅伝選手たちは、それまでの駅伝選手のイメージを大きく変える「明るさ」や「わくわく感」を持っていたことで大いに注目されました。伝統校の選手とは違うカラーを持つ選手たちを、いかにして育て鍛え強くしたのか。かつて「伝説の営業マン」と呼ばれた青山学院大学陸上競技部監督の原 晋さんに、陸上と仕事に共通するチーム哲学や人材育成の秘密をお聞きしました。

原 晋(はら すすむ)氏
青山学院大学 陸上競技部 監督
『フツ――の会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』
株式会社アスコム

強いチームを作るためには、チーム哲学の定着と平等感が必要

──青山学院大学陸上競技部は、今や箱根駅伝の3連覇を目指すほどの強豪チームになりました。強いチームを作るためには、優秀な選手をスカウトして育てることが重要だと思いますが、どのような基準でスカウトしているのでしょうか。

原氏:
 陸上競技は、成績が数値としてはっきり表れるので、基本的にはそのデータがスカウトの基準になります。それに加えて、「青山学院大学らしいカラーの選手」を採用するようにしています。

 青山学院大学らしいカラーの選手とは、例えば、表現力が豊かで、自分の言葉で会話ができて、しっかりと勉強する人。そして、努力を惜しまない人です。青山学院大学では、陸上競技部の選手だからといって単位が免除されるわけではありません。勉強がいやで、講義に出なくなると単位も取れませんし、それがストレスになって陸上に真剣に向き合えないのでは困るのです。ビジネスにおいても、その組織のカラーを意識して人を採用することは重要ではないでしょうか。

──それでは、採用した選手を育成していく時には、どのようなことを心がけているのでしょうか。

原氏:
 1つは、チーム哲学の定着です。目標が何分何秒だと、答えはそこしかありませんが、みんながアイデアを出せるキーワードにしておくと、いろんな答えが出ます。例えば、「輝きのある選手」だと、「自分はどう輝くか?」を選手一人ひとりが考えることができますし、複数の道筋が出ます。

 もう1つは平等感です。ビジネスにおいてもそうですが、きつい仕事でも正しく評価されると、やりがいにつながります。しかし、そこに平等感がないとやりがいは生まれませんし、不満ばかりが募ることになります。

 私は、正当に人を評価するためには「まずチャレンジさせる」ことが大事だと思っています。「彼はうちのエースだから」とか「彼はこの仕事は向いていない」というように、固定概念で決めつけてしまうのは大変危険です。リーダーの役割とは「誰がそこに来ても輝けるようにする」ことなのです。

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