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2016年11月25日

「先んずればビジネスを制す」マイナンバーカードで生まれるビジネスチャンスとは

マイナンバーカードが秘める大きなビジネスチャンスとは?

山口:
  マイナンバーカードが普及することで、厳格な個人認証のインフラが国家レベルで整備されていくのは、IT社会の進展に不可欠なことですね。われわれ企業にとっても非常に大きなビジネスチャンスにつながるはずです。

 今後、企業はどのようにマイナンバーカードを利用したサービス提供の準備を進めていけばいいのでしょうか。

向井氏:
  マイナンバー制度の進展、マイナンバーカードの普及に伴って、紙ベースのアナログな社会から本格的なIT社会へと急速に移行していくことが想定されます。自治体や企業には、この基盤をいかに効果的なIT活用やビジネスにつなげていくかを早急に検討いただく必要があります。

 特に、個人の生活のさまざまなライフイベントにおいてマイナンバーカードを活用し、ワンストップで簡単に手続きが行えるようにするには、やはり官と民との連携や斬新なビジネスモデルの創造が欠かせません。

 例えば、結婚や転勤などで転居する際に、電気やガス・水道の届出やキャッシュカード、クレジットカードの住所・名義変更が一括でできるようになれば大変便利です。これはマイナポータルと官民のオンラインサービスを連携することで実現できます。

 生命保険会社や銀行では、相続時の保険金の受け取りや預金の引き継ぎなどの手続きでサービス向上を図ることが考えられます。さらに自分の健康情報をマイナポータルで閲覧できるようになれば、個人の健康管理に役立てることも可能です。こうしたさまざまなアイデアを、個人情報の保護に配慮しつつどう具現化していくかを、ぜひ企業の皆さんに積極的に検討していただきたいですね。

山口:
  今後マイナンバーカードを誰もが当たり前に持つようになり、それを活用したさまざまなサービスが普及していけば、企業にとって今までにない巨大なマーケットが出現するでしょう。私たちも非常にわくわくしているところです。

向井氏:
  企業から見れば、ワンツーワンのビジネスが今まで以上に展開しやすくなるでしょうね。もちろんデータベースを作る際には個人情報保護法に対処した匿名加工などが必要となりますが、巨大なデータビジネスの市場が一気に拡大する可能性は十分にあります。

 10年前まで誰も持っていなかったスマートフォンが瞬く間に普及したように、マイナンバーカードも一度動き出したら一気に広がっていく可能性が高いでしょう。「先んずれば人を制す」という言葉がありますが、いま語っていたような未来図は、それこそあっという間に実現されていきますから、そこで描くビジネスモデルをいち早く実現した企業が、先行者利益を得られるはずです。

 今後はまさにアイデア勝負の時代になるでしょうから、従来の常識にとらわれない柔軟な発想でマイナンバーカードを有効活用し、さらなる業務改革と国民サービスの向上につなげていただきたいと思います。

向井 治紀(むかい・はるき)氏

内閣官房 内閣審議官(社会保障改革担当室担当)
兼 内閣府 大臣官房番号制度担当室長

1981年、大蔵省(現 財務省)入省。2004年、財務省主計局法規課長、06年同理財局国有財産企画課長などを経て、09年、理財局次長。2010年より内閣官房内閣審議官(社会保障改革担当室担当)。現在、内閣府大臣官房番号制度担当室長のほか、情報通信技術(IT)総合戦略室長代理(副政府CIO)を兼ねる。

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